2024年5月20日月曜日

マドガ

 この季節によく見かけるマドガ Thyris usitata です。最普通種で、その上昼行性なので撮影する機会も多いはずなのですが、調べてみるとこれまで一度も出していませんでした。よく見るとなかなか綺麗なガです。



中脚を、前翅に沿わせるように持ち上げています。

(2024.05.18・明石公園)

2024年5月19日日曜日

ヒメグンバイの産卵

 ようやくヒメグンバイ Uhlerites debilis の産卵を撮影することができました。クヌギやコナラ、アベマキなどに極めて普通なグンバイムシで、春から夏にかけてはこちらのような、葉裏の主脈に並んだ産卵痕もいくらでも見つかるのですが、産卵の場面はこれまでどうしても撮影することができなかったのです。それがこの日は幸運にも、それぞれ別の木で2匹の産卵行動を見ることができました。

最初の♀です。頭上のアベマキの葉裏で、主脈の上に陣取っているグンバイが見えたので引き下ろして覗いてみると、ちょうど産卵管を差し込んでいました。

数枚撮るうちに産卵を終えたようで、やはり警戒しているのかそのまま立ち去ってしまいました。腹端から粘液のようなものが出ているように見えます。

すぐ近くの別の木、昨年10月に大量の成虫が集まっているのを見た同じアベマキですが、ちょうど産卵管を突き刺したばかりのメスがいました。周りをうろついていた別個体が手前にぼやけて写っています。



産卵中の♀が気になるのか、他個体も見守って(?)います。足元の黒い球は排泄物でしょう。

産卵管を抜いたところ。ここまで6~7分かかりました。

同じ♀が、今度はさきほど産卵したあたりに口吻を立てています。

深く突き刺すでもなく、口吻の先で探っているように見えます。

やがて口吻を立てていたあたりに産卵管を突き刺しました。以前掲載したナシグンバイの産卵でも同じような行動を見ましたが、産卵管のための下穴でもあけているんでしょうか。

上の部分拡大。産卵管には細かな筋が多数入っています。


所要時間はやはり6分ほどでした。先の2例と同様、産卵管を抜いた後に粘液のようなものが盛り上がっていますが、これはやがて固まって産みこまれた卵を守る役目を果たすのではないかと想像しています。

(2024.05.11・明石公園)

2024年5月18日土曜日

クワキヨコバイの一種の交尾

 この季節、草の葉や木の枝をちょっと揺するといくらでも飛び出してくるヨコバイですが、このクワキヨコバイ属(Pagaronia)には非常に多くの種が含まれていて酷似種も多く、こんな写真で種を同定するのは無理なようです。アラカシの幹で交尾していました。
写真では上が♀だと思いますが、雌雄でだいぶ体色が違います。以前のブログに出したペアにも同じ違いがあるので、個体変異ではなくもともとの雌雄差なのでしょう。


(2024.05.11・明石公園)

2024年5月17日金曜日

イボタガ若齢幼虫

 ネズミモチの葉裏についていたイボタガ Brahmaea japonica の幼虫です。体長6mmほどで、2齢くらいでしょうか。虫好きの間では人気の高いイボタガですが、これまで成虫を一度見たことがあるだけで、近所の公園で繁殖しているとは思っていませんでした。体の前後に長い突起を備えていますが、終齢では失われるそうです。






おまけで、以前一度だけ見た成虫です。


出勤途中、自宅近くの街路樹にとまっていたのをコンデジで撮ったものです。

(幼虫:2024.05.04・舞子墓園/成虫:2009.04.11・神戸市垂水区)

2024年5月13日月曜日

ギシギシクチブトサルゾウムシ4階建て

 ギシギシの葉の上を何やらゴミのようなものが動いていくのが見えて、はじめミノムシかクサカゲロウの幼虫あたりかと思ったのですが、ファインダーを覗いてびっくり、小さなゾウムシが4匹、縦に重なっていたのでした。昨年も掲載したギシギシクチブトサルゾウムシ Rhinoncus jakovlevi です。おそらく1匹の♀に求愛する♂が次々と乗っかっていった結果だろうと思いますが、この状態で葉の上を倒れもせずに歩き回っているのには感心しました。ゾウムシの体長は2.5mm前後で、全体の高さは5mmくらいになると思います。


やはり一番下の、♀と思われる個体が体も一番大きいようです。




最後におまけ。別の日に撮った、ギシギシの葉を齧る本種です。


(2024.05.02/5枚目のみ04.12・神戸市西区伊川)

2024年5月12日日曜日

マダラトベラキジラミ

 トベラの葉の裏でマダラトベラキジラミ Cacopsylla sp.1 が羽化を始めていました。この種は未記載種で和名も仮称ということですが、最新の情報を確認しているわけではないので、今頃は正式な名前がついているのかも知れません。トベラにつくキジラミには他に同属のトベラキジラミ C. tobirae という種もあって、この公園でも見られますが、両種は体や翅の斑紋の違いで簡単に見分けられます。この日見た成虫はどれも羽化後間もないようで体色の薄い個体ばかりでしたが、時間がたつとこちらのようになるはずです。

脱皮殻と♂成虫。

これも♂で、体長は約2.7mm。

これは♀で、体長は約3.2mm。雌雄は腹端の形で区別できます。

まだ翅の伸びていない成虫もいましたが、レンズを近づけると葉の表に回ってしまいました。

この写真では腹端が見えにくいのですが、♂でした。

主脈の上で脱皮中の幼虫。

5分足らずで出てきました。これで終齢だと思います。

(2024.05.02・明石公園)


2024年5月11日土曜日

サトオオトガリキジラミの終齢幼虫

 昨日の記事に出したオオトガリキジラミ属の幼虫を撮影してから2週間後、成虫が見られないかと期待して同じアキグミを見に行きました。ところが成虫はおろか葉裏の幼虫も、脱皮殻すら全く見つかりません。ようやく見つけたのは葉の表に乗っていたこの1匹だけでした。大きさから見て終齢と思われます。改めていつもお世話になっている「山陰地方のキジラミ図鑑」を見てみると、オオトガリキジラミ属3種のうちサトオオトガリキジラミ Epitrioza yasumatsui のみ成虫だけでなく終齢幼虫の写真の掲載されていました。見比べると、トウグミの葉表に乗っていたのはこの種で間違いないでしょう。ただ、説明文には「幼虫はゴールを形成せず,葉の表側に張り付いている」とあります。とすると2週間前に葉裏についていた若齢幼虫は誰なんでしょうか。グミ類にはグミキジラミもつくそうですが、ネット上の画像を見ると明らかに別種です。分からなくなりました。

体長は約3.3mm。

横から。

前から。ちゃんと立派な複眼があります。

(2024.05.11・明石公園)