2024年7月21日日曜日

立ち枯れのエノキに産卵するオオホシオナガバチとMegarhyssa sp.

 昨年8月にヒラアシキバチの産卵を見たエノキの立ち枯れに、期待通り2種のオナガバチが産卵に来ていました。お馴染みの、大型の未記載種 Megarhyssa sp.オオホシオナガバチ Megarhyssa praecellens です。これまでこの公園では Megarhyssa 未記載種の方が普通でオオホシオナガバチはあまり多くは見かけなかったのですが、この日は数が逆転していました。両種とも主にヒラアシキバチに寄生しているのではないかと思っていますが、同種内でも体長の個体差が非常に大きいことを考えると他にも複数の寄主が存在するのかも知れません。
この日来ていたのはほぼ♀ばかりで、幹を歩きながら盛んに産卵管を突き刺しています。産卵に適した場所は決まっているようで多数のハチが一カ所に集まってきますが、特に争う様子もありません。静かに黙々と(?)産卵に勤しんでいました。
あいにくの曇天の上に場所も林の中で非常に暗く、背景が真っ暗にならないよう無理やりの低速シャッターで撮ったものですからどのカットも盛大にブレてしまいました。普段から小昆虫のフラッシュ撮影が主で三脚を持ち歩く習慣が無いのですが、こんな時には欲しくなります。

大きな Megarhyssa 未記載種と産卵中のオオホシオナガバチ。

上のオオホシはこの種としてもかなり小型の個体です。

仲良く並んで産卵中の大小のオオホシオナガバチ。

穿孔を始めたばかりの Megarhyssa 未記載種。背伸びをするような格好で腹部を目いっぱい持ち上げて産卵管を突き立てます。

こちらはオオホシオナガバチ。

材に入っていくのは細い産卵管だけなので、それを左右から包んでいる鞘は二つに分かれ輪を描いて外に残っていきます。

前翅の黒紋が和名の由来でしょう。

Megarhyssa 未記載種(上)とオオホシオナガバチ、どちらも大型の個体です。それにしても、この大きい方の種が未記載と教えてもらってからずいぶん時が経ちますが、ほんとにまだ記載されていないんでしょうか。

(2024.07.04・明石公園)

2024年7月6日土曜日

ヒメバチ科ウスマルヒメバチ亜科の一種(Lissonota sp.)

 アラカシの切り株の上をせわしなく歩き回るハチがいました。旧ブログにも出したウスマルヒメバチ亜科の一種(Lissonota sp.)だと思います。目立つ特徴もない黒いヒメバチですが、外見よりもその動きで同じ種と分かりました。
歩きながらも産卵管を常に前方に伸ばしていて、樹皮の割れ目などに次々と突き刺していくのですが、数秒以上同じ場所にとどまることはほとんどありません。産卵管の先で寄主を探しているだけのように見えますが、あるいはその間に素早く産卵を済ませているんでしょうか。15分ばかり追い続けたくさん撮りましたが、動きが速すぎてピンボケばかりでした。







(2024.07.04・明石公園)

2024年7月4日木曜日

ウズラカメムシ

 普通種ですが当ブログでは初登場のウズラカメムシ Aelia fieberi です。イネ科の草の細い茎や穂にとまっていることが多いのですが、これはイタドリの葉の上に載っていました。ちょっと変わった風貌のカメムシです。




(2024.06.20・明石公園)


2024年7月3日水曜日

アカメガシワの花外蜜腺に来たトビイロシワアリ

 トビイロシワアリ Tetramorium tsushimae はこのあたりでも最普通種ですが、いつもの公園の中でも私が好んで歩くような林の中ではあまり見かけない種です。開けた草地のような環境を好むらしく、この日もそういう、日当たりの良い場所に生えたアカメガシワの花外蜜腺に集まっているのを見つけました。和名通り、頭部から胸部にかけて皺だらけのアリです。






(2024.06.25・明石公園)

2024年7月1日月曜日

カシルリオトシブミと揺籃

 先に出したキボシツツハムシヒメコブハムシを撮影したのと同じ場所のイタドリで、揺籃を巻くカシルリオトシブミ Euops splendidus を見つけました。作業はすでに最終段階のようです。撮影を始めると、揺籃の周りをぐるりと一周した後元の葉の上に上がり、やがて立ち去ってしまいました。普通は最後に葉に繋がる部分を噛み切って揺籃を地面に落とすはずですが、邪魔が入ったので途中で切り上げたのでしょうか。この公園でもごく普通に見られるオトシブミですが、とても敏感で、葉を巻いている最中でも近づくと簡単に落下してしまいます。この個体はよく見ると右の触角を失っていて、すぐに逃げなかったのはそのせいかも知れません。




ここで揺籃を切り落とすと予想したのですが、

やがて向きを変え立ち去ってしまいました。

(2024.06.13・明石公園)


2024年6月29日土曜日

交尾中のイトカメムシ

 アカメガシワの葉の上で交尾していたイトカメムシ Yemma exilis です。今年は全国的にカメムシの大量発生が話題になり、大概の日本人ならカメムシがどんなものかは知っていると思いますが、この虫を見てカメムシと分かる人は多くないでしょう。弟分のヒメイトカメムシはこのあたりではキリの葉以外でほとんど見たことがありませんが、こちらはそれほど好き嫌いが無いようで、様々な植物の上で見かけます。近づくと雌雄繋がったままゆっくりと歩きはじめ、浅い被写界深度に2匹を収めるのにちょっと苦労しました。


ちょうど♀が、何かの虫の死骸を見つけたようです。

(2024.06.20・明石公園)


2024年6月28日金曜日

ヒメコブハムシの幼虫

 先日ヒメコブハムシの産卵を撮影したイタドリの群落を約3週間後に見に行くと、期待通り糞ケースを背負った幼虫がいました。最初、多くの食植性の幼虫のようにイタドリの葉っぱについているだろうと漠然と考えてしばらく無駄な努力を続けた後、ふと気が付いて産卵場所と同じ葉柄の付け根のあたりに目を向けるてようやく、細長い塔の形をした糞ケースが見つかりました。同じ枝の3カ所についていた10個足らずの糞ケースはどれもほぼ同じ大きさ(高さ2.3mm前後)で、同じ卵塊から生まれた兄弟かも知れません。撮影を始めると葉柄を茎をひょこひょこと歩きはじめるものもいました。



同じコブハムシ属の糞ケースでも、こちらこちらに比べるとかなり細身です。色が濃くて縦に畝が走っているケースの上部5分の3ほどが、もともと卵を蔽っていた部分だと思います。

意外に速く歩きます。


試しに1個、葉の上で倒してみると、中から幼虫が身を乗り出してきてすぐに起き直りました。

周りを探すと、まだ孵化していない卵塊も見つかりました。周囲の齧り跡は、母虫によるものと思われます。

(2024.06.20・明石公園)