2020年11月6日金曜日

ヤガの一種(?)の孵化

 シャリンバイの葉の裏で蛾の卵塊を見つけました。ヤガ科の一種ではないかと思います。大半の卵が黒っぽく変色していたので、寄生バチでも出てこないかと期待して持ち帰ったのですが、早くもその日の夜、孵化してきたのは本来の蛾の幼虫たちでした。

見つけたのはお昼前でした。

夕食後の8時過ぎに見に行くと早くも数匹、孵化していました。

さらにあちこちの卵から幼虫が顔を覗かせています。

小さいながらに大顎には鋭い歯。

頭が出ました。

こちらでも。

頭が出ると後は簡単です。

孵化した幼虫はまず卵殻を食べます。別に自分の出てきた殻でなくても良いようです。


夜10時過ぎには9割がたの卵が孵っていました。

(2020.10.27・明石公園にて採集)

2020年11月3日火曜日

コナラの葉裏の不明幼虫

 コナラの葉の裏にくっついていた幼虫です。ダニヒメテントウ属(Stethorus)かと思いましたが、以前見たものと比べるとかなり大型で、形も違います。他のテントウ類かも知れませんが、とりあえず甲虫類には間違いないでしょう。

この個体で体長約3.8mm。

体表には細かな毛が多数生えていて、毛の先には水滴のような粒々がついています。

頭を引っ込めたまま、じっとして動きません。

こちらは別個体。ヤノイスアブラムシ Neothoracaphis yanonis の無翅虫を食べようとしていたようですが…。

硬くて歯が立たないのか、あきらめたようです。

これは小型の個体で。体長約2.4mm。やはり全身に水滴状の粒を纏っていますが、外敵を防ぐ役にでも立つんでしょうか。

(2020.10.27・明石公園)

2020年11月2日月曜日

コマユバチ科の一種

 コナラの葉裏にいた小さなハチです。コマユバチ科 Braconidae の一種には間違いなさそうですが、亜科の見当はつきません。頭部と複眼が大きくてちょっと可愛らしい感じがします。触角が(片方切れていますが))体長より長く、腹部が小さいので♂かも知れません。





(220.10.27・明石公園)

2020年11月1日日曜日

シリジロメナガヒゲナガゾウムシ

腐朽の進んだ伐採木の木口に集まっていたシリジロメナガヒゲナガゾウムシ Phaulimia confinis です。枯れ木の上などで時々見かける種で、以前のブログにも出していますが、こんなに多数集まっているのは初めて見ました。

菌類を食べているんでしょうか。

体長は大きな個体で6mm、小さなもので4.5mmくらい。

これは小さめの個体ですが、白いお尻が見えます。

なんと言っても印象的なのはこの顔ですね。

(2020.10.27・明石公園)

2020年10月31日土曜日

シラカシムネアブラムシ

 アラカシの葉の裏に白い綿毛のようなものが付いて風にそよいでいました。シラカシムネアブラムシ Xenothoracaphis kashifoliae だと思います。

最初この葉を見ただけでは何者か分からなかったのですが…。

こちらのコロニーを見てムネアブラムシの仲間らしいと分かりました。

皿を伏せたような形で脚の見えない固着型のものと、アブラムシらしい形で長いワックスを伸ばしたもの、それに有翅虫もいます。

この固着型の個体は無翅型の成虫のようで、以前BABAさんが出産の様子を紹介されています。

大きなもので体長約1.4mm。

これらは有翅型の幼虫ではないかと思います。体長約1mm。



1匹ひっくり返っていました。

少数ですが有翅虫もいました。

体長約1.7mm、翅端まで約3.2mm。

このコロニーは葉の表に出来ています。必ずしも裏ではなく、陰になった側が適しているということかも知れません。

(2020.10.27・明石公園)

2020年10月29日木曜日

ナシミドリオオアブラムシの有翅胎生雌と幼虫たち

いつもナシミドリオオアブラムシ Nippolachnus piri が繁殖しているシャリンバイを見に行くと、多くの葉の裏で大きな有翅成虫1匹と多数の小さな幼虫からなるコロニーが見られました。

中央の有翅成虫は胎生の♀で、周りを取り巻いているのはその♀から生まれた幼虫たちのようです。

この♀はまだ出産を始めて間がないようです。

こちらのコロニーでは幼虫がかなり大きく成長しています。

上と同じ♀です。

これも同じ。

同じ♀をもう1枚。
「アブラムシ入門図鑑」によればナシミドリオオアブラムシは「二次寄主のナシ・ナナカマドから9月下旬~10月に一次寄主のシャリンバイ・ビワに戻る」とありますが、私はまだシャリンバイ以外では見たことがありません。この公園ではそのシャリンバイでほぼ一年中見られるので、同図鑑にある「一次寄主で周年見られる系統」に該当するのではないかと思っています。

同種に関しては以前のブログで何度も取り上げているので、主な記事にリンクを張っておきます。

出産:2010.04.27
孵化・羽化・産卵:2012.01.20
口吻でぶら下がる幼虫たち:2017.05.10

(2020.10.27・明石公園)

2020年10月28日水曜日

Aaroniella sp.(クロフチャタテ科)

 以前のブログでも何度か出しているクロフチャタテ科 Aaroniella 属の一種です。樹幹で見つかる種で、多くの場合樹皮の凹凸の間に細い糸を縦横に張ってその下に潜んでいます。糸には排泄物と思われる粒々がちりばめられ、扁平な体型や姿勢、黒っぽい体色とも相俟って隠蔽効果満点で、慣れないとなかなか目にとまりません。反面カムフラージュに自信があるせいか動きは鈍重で、数センチの距離にレンズを近づけてしつこく撮影を続けてもまず逃げ出すことのないチャタテです。

アラカシの幹の成虫。

糞(多分)を散りばめたクモの巣のようなテント。

下にいたのは幼虫です。

こちらはエノキにいた成虫と幼虫。

別のエノキの成虫と幼虫たち。

(2020.10.16/27・明石公園)