2025年6月23日月曜日

ヒラタハナムグリの交尾

 木立の中の薄暗い場所に、最近になって伐採されたヤマモモの幹がそのまま転がされています。何か来ていないかと立ち寄ってみると、垂直になった切断面からなにやらとび出していました。

ヒラタハナムグリです。

穴からほぼ全身を乗り出して、お尻の先だけで支えられている格好です。以前にもこんな状況を見たことがありました。

穴の中を覗き込むと、やはりもう一匹。

交尾中なのでした。お腹の大きさからみて、穴の中にいる方が♀でしょう。


各種の花の上で普通に見られるヒラタハナムグリですが、それらはすべて♂だそうで、♀には訪花性がなく、朽木の中や枯れ木の樹皮下で過ごしていて飛ぶこともほとんど無いということです。2例見ただけでは何とも言えませんが、このような交尾スタイルもこの虫では普通なのかも知れません。

(2025.06.19・明石公園)


2025年6月22日日曜日

イノコヅチカメノコハムシの終齢幼虫

 昨年の記事と同じ場所のイノコヅチに、今年もイノコヅチカメノコハムシ Cassida japana が集まってきていました。しばらく前から成虫や幼虫を見かけていたのですが、この日はお尻の先に脱皮殻を4つ付けた終齢(5齢)幼虫ばかりでした。体長は5mm前後です。

葉の上で、こんな風にお尻を立てているものも多いのですが、葉に触れたりして警戒させるとたいていすぐに葉面に降ろしてしまいます。この個体は協力的でした。

上と同じ個体。

これは葉裏にいた別個体。


せっせと葉を齧っていました。

真上から。


(2025.06.17・明石公園)

2025年6月21日土曜日

カバイロキバガ

 イノコヅチの葉に乗っていたカバイロキバガ Dichomeris heriguronis です。普通種で、多分何度も撮っているはずですが、ブログに出すのは初めてだと思います。翅端まで10mmばかりの小さな蛾ですが、三角翼みたいなすっきりしたデザインと反り返った下唇鬚がなかなかかっこいいですね。幼虫はバラ科のサクラやモモなどの葉を食べるそうです。





(2025.06.17・明石公園)



2025年6月20日金曜日

産卵するオナガバチの一種(Megarhyssa sp.)

  昨日の記事の、Megarhyssa sp.の♂たちが集まっているのを見た日から4日後、♂の数も減って静かになったエノキの伐採木で、同種の♀が産卵管を突き立てていました。まだ伐採される前に産卵されたヒラアシキバチの幼虫を探しているのでしょう。既存の虫孔も利用しているようですが、5cmほどもある長い産卵管が根元まで材に挿入されていくのは何度見ても驚きです。来年(1年1世代として)この♀の子孫が生まれてくるまで、伐採木がこの状態で置かれていればいいのですが。またそれより前に、今年もヒラアシキバチが羽化してくるのかも気になります。





(2025.06.17・明石公園)


2025年6月19日木曜日

♀を待ち受けるオナガバチ(Megarhyssa sp.)の♂たち

 一昨年の夏にヒラアシキバチの産卵、そして昨年にはそれに寄生すると思われる2種のオナガバチ(大型の未記載種 Megarhyssa sp.とオオホシオナガバチ M. praecellens)の産卵が見られたたエノキの枯れ木は、その後伐採されてしまいました。しかし切り分けられた幹はそのまま元の場所に置かれていたので、数週間前からMegarhyssa sp.の♂がちらほらと姿を見せはじめ、やがて♀が産卵しているのも確認できました。

そしてこの日の朝様子を見に行くと、その伐採木の一か所に数匹の♂が集まっていました。

頭を中心に向けてじっとしています。やがて♀が出てくる兆候だと思われましたが、しばらく見ていても変化がなく、まだまだ時間がかかりそうなのでいったんその場を離れて他の虫を探しに出かけました。

1時間少々ぶらついてから戻ってくると、かなり賑やかな状態になっていました。♂の数は10匹ほどに増えていて触角を盛んに動かし、数匹は腹部を群れの中心に向けて突き出しています。以前何度も見た光景ですが、公園内のエノキの立ち枯れがほとんど消えてしまったせいもあってここ数年は見る機会がありませんでした。


ライバル同士これだけひしめき合っていても喧嘩するでもなく、お互い相手を排除しようという様子が全く見られないのがちょっと不思議です。

過去に何度か見た場面では、♂たちが腹端を押し付けているあたりにやがて小さな穴が開き、それと同時に数匹の♂が一斉にその穴に腹部を差し込み、という運びになるはずなのですが、今回はなかなか事態が進展しません。

やがて腹部を突き出していた♂たちも元の姿勢に戻ってしまい、それでも全員がしきりに触角を動かしています。

何度かその場を離れて時間を潰しながら見守っていましたが、一向に♀は現れず、反対に♂たちも段々と興奮が冷めていくようです。まだ♀の準備が出来ていなかったんでしょうか。3時間後には最初に見た時と変わらない状態になってしまいました。いずれこの場所から♀が羽化して出てくることは確実と思われましたが、それが何時間後になるのか見当もつきません。久しぶりにその瞬間を見たかったのですが、未練を残しながら退散しました。

4日後。あれから何時間後に出てきたのか、♂たちが集まっていた場所の真ん中に脱出口が開いています。近くで産卵している♀も見られましたが、残っている♂はごく少数でした。

スマホで動画も撮りました。

画質は良くありませんが、雰囲気を分かっていただけると思います。

今回は見ることができませんでしたが、10年以上前に撮った♀の脱出シーンはこちらこちらに出しています。

(2025.06.13/17・明石公園)

2025年6月17日火曜日

トゲナナフシ中齢幼虫

 トゲナナフシの幼虫がだいぶ大きくなっていました。約1か月前の若齢幼虫と同様、虫仲間のYさんが見つけたものを撮らせてもらったものです。体長は約37mm。前回に比べると2倍以上の大きさで、小さなトゲもポツポツと出てきてトゲナナフシらしくなってきました。


(2025.06.07・明石公園)

2025年6月16日月曜日

マイマイガ終齢幼虫

 今年はマイマイガ Lymantria dispar の幼虫が多いようだと思っていたら、アカメガシワの葉にちょっと見たことがないくらい大きな奴が乗っていました。体長は80mm弱。図鑑やネット情報でも終齢で60mm前後とされているので、平均よりかなり大きいことは間違いないでしょう。鮮やかな模様や密生した剛毛の束に思わず見とれてしまいました。ちなみに、孵化したばかりの1齢幼虫はこちらに載せています。
マイマイガは10年に一度くらい大発生すると言われていますが、それが数年続いた後、ウィルスや病原菌の流行によって突然終息することが多いようです。このあたりでは2013年に大発生後の大量死が見られました。今年は、少なくともこのあたりではまだそれほど増えているようには見えませんが、ひょっとしたら来年あたりの大発生の兆候かも知れません?






頭部の特徴的なハの字型の黒紋。密生した毛の間から単眼が光っているのが見えます。

(2025.06.07・明石公園)