2020年12月17日木曜日

ヒメネコゼミジンコ?(Ceriodaphnia ?pulchella)

昨日の記事のシカクミジンコ属の一種と一緒に採集したネコゼミジンコの仲間です。日本産ミジンコ図鑑には国内産のネコゼミジンコ属8種がすべて図示されていますが、その中で該当しそうなのはヒメネコゼ Ceriodaphnia  pulchella ネコゼ C. quadrangular アミメネコゼ C. reticulata の3種です。写真で確認するにはかなり微妙な違いしかありませんが、体長が小さい(約0.48mm)ことや殻の網目模様が見えにくい、などの特徴からヒメネコゼミジンコの可能性が高いと判断しました。

育房に卵を持った♀です。



育房の卵は発育を始めています。殻のピントの合った部分に網目模様が辛うじて見えます。

大きな複眼の下に見える小さな黒点が単眼、その前から突き出しているのが第1触角です。

後腹部。

動画も同じ個体です。


(2020.12.13・明石公園 桜堀にて採集)

2020年12月16日水曜日

シカクミジンコ属の一種(Alona SP.)

 昨年のこの時期にシカクミジンコ?(?Alona quadrangularis)として掲載したものによく似ていて同じく♀ですが、前回の個体では認められなかった殻の縞模様がはっきり見え、またひと回り小型(体長約0.55mmに対して0.4mm)です。日本産ミジンコ図鑑でシカクミジンコ♀の体長とされる0.55~0.90mmの範囲からかなり外れるので、体長0.32~0.52mmのコシカクミジンコ A.rectangula の方かも知れません。





二つの黒点は上(吻に近い方)が単眼、下が複眼ですが、大きさはほぼ同じに見えます。

後腹部。鋭い羽状肛刺が並んでいます。

ピントを手前にずらすと側面に並ぶ櫛状肛刺が見えます。

(2020.12.13・明石公園 桜堀にて採集)

2020年12月4日金曜日

ウシオダニ科の一種

先日掲載した大量のフジツボのノープリウスと一緒にネットに入ってきたダニの一種です。いつもは無視しているのですが、このダニは大きな眼があってちょっと面白そうなので撮影してみました。
“海のダニ”で検索して見ると、いつも見ている害虫屋の雑記帳(ブログ人の保存版)でよく似た画像が紹介されているのが見つかりました。ウシオダニ科 Halacaridae の一種だそうです。やはり大きな眼がついていて体型もそっくりなので同じ仲間だと思います。カバーガラスの下の隙間を時々背腹反転しながら歩いていました。

ここではは背面を向けています。大きな眼が目立ちます。

こちらは腹面。


カバーガラスの下面を歩いていて、脚の爪がよく見えます。

ふたたび背面から。

動画です。


(2020.11.13・西舞子海岸にて採集)

2020年12月2日水曜日

ナシミドリオオアブラムシの産卵

 シャリンバイの葉の裏で産卵中のナシミドリオオアブラムシ Nippolachnus piri を見つけました。以前にも見たように、産卵後卵の周囲の葉面に粘液を塗り付ける動作も見られました。この粘液は風雨などで卵が剥がれ落ちないように固定するためか、あるいは寄生者などの外敵から守るためかよく分かりませんが、卵から離れて広い範囲に塗り付けていることや、たまに微小な虫がこの粘液に捕まっているのが見られることを考えると後者の役目も果たしているのではないかという気がします。

ちょうど腹端から次の卵が覗いています。




出てきた卵は長さ約0.9mm。

1枚目から7、8分で腹端を離れました。

1個産み終えるとそれに続いて腹端から分泌した粘液を周囲の葉面に塗り付け始めます。

粘液は産み付けた卵の直近だけでなく、その周囲広い範囲に塗り付けるようです。

この動作はかなり念入りに、7、8分続きました。

これは別の葉ですが、時々このように小さな虫が粘液に捉えられているのが見られます。ただ、明らかに寄生者や捕食者と思われる虫が犠牲になっているのはまだ見たことがありません。

(2020.11.26・明石公園)


2020年11月30日月曜日

カクレミノのアオモンツノカメムシ

 アオモンツノカメムシ Elasmostethus nubilus のホストとしてはヤツデが知られていますが、近所の公園ではヤツデで見られることは少なく、同じウコギ科のカクレミノでより多く見られます。

2枚重なったカクレミノの葉の間にたくさんの黒い影が見えます。

拡げてみるとやはりアオモンツノカメムシ。

幼虫と成虫が入り混じっていますが、ちょうど羽化の時期のようで、幼虫はほとんどが終齢です。

羽化直後の、体色がまだ薄い成虫もいます。

葉の表で日向ぼっこをしている成虫もいました。

(2020.11.26・明石公園)

2020年11月25日水曜日

ニッポンオナガコバチ・メスの誕生と待ち受けるオスたち

 この10年来、毎年のようにニッポンオナガコバチ Macrodasyceras japonicum の発生を見ているクロガネモチの木で、赤い実のついた枝に多数の♂たちが集まっていました。実の中で羽化し、脱出してくる♀を待ち受けているので、こちらも♂と一緒に待っていれば♀の誕生を見ることが出来るはずです。スチール写真は以前にも撮ったことがあるので、今回は動画でその瞬間を狙うことにしました。

今回は静止画は撮らなかったので、上の写真は二つ目の動画からの切り出しです。
たくさんの実をつけたクロガネモチの枝のあちこちに♂が集まっている中で、特にその動きの激しい場所があれば♀の出現が近い徴です。今回は午前中一杯粘って2匹の♀の脱出を撮ることが出来ました。普段は持ち出すことのない三脚を準備し、風に揺れる枝をカメラ側から伸ばした半田付け用のアームの先に固定して撮影しています。背景音は鳥の声に散策する人の声、公園の樹木を伐採するチェーンソーの音に遠くを走る電車の音等々です。

まず1匹目。


次は2匹目。♀は動画の途中で一度頭を出しますが、頭上♂たちの争いに怖れをなしてか、引っ込んでしまいます。


このニッポンオナガコバチについては以前のブログをはじめたころから何度も記事を書いていますが、その主なものは昨年9月のクロガネモチの実に産卵するニッポンオナガコバチの末尾にリンクをまとめています。

(2020.11.17・明石公園)

2020年11月22日日曜日

ヒラタアブ幼虫に産卵するヒラタアブトビコバチ

 ヤブガラシの葉の裏で、ヒラタアブの一種の幼虫に産卵しているトビコバチがいました。以前のブログでも一度紹介したヒラタアブトビコバチ Syrphophagus nigrocyaneus だと思います。


前回見たのと同様に、片方の後脚を持ち上げてその下から産卵管を伸ばしています。

ヒラタアブ幼虫の後端部に移動して再び産卵管を突き刺しますが、刺される方は全く動きません。

産卵姿勢はやはり同じで、産卵管以外、ホストの体には触れていません。余計な刺激を与えるのを避ける為ではないかと推測していますが、真相は如何に。



ヒラタアブの種名は分かりませんが、幼虫の体長は約4.5mm、ハチは1.7mm。刺点を変えながら何度も産卵を繰り返しているようでした。
以前、ヒラタアブの蛹に産卵するのを見たヒラタアブコガネコバチ Pachyneuron groenlandicum は、このヒラタアブトビコバチに2次寄生するそうです。

(2020.11.16・明石公園)