2020年12月21日月曜日

泳ぐ二枚貝ベリジャー幼生

 以前のブログも含めて二枚貝のベリジャー幼生 veliger larva は何度も出していますが、種が異なるのか成長段階の差もあるのか、面盤を拡げて泳ぐ姿にいろいろ違いがあって、何よりも繊毛の動きの美しさに惹かれて見つけるとつい時間を費やしてしまいます。今回は動画のみです。


(2020.11.13・西舞子海岸にて採集)

2020年12月19日土曜日

アオミドロの核

お目当ての微生物が押しつぶされないようにスペーサー代わりに入れていたアオミドロですが、ついでにその核を撮ってみました。

糸状藻類はいろいろありますが、こんなふうに葉緑体が螺旋状に巻いていればアオミドロの仲間です。

細胞の中心にピントをずらせていくと、核が見えてきます。

細胞の中にアメーバが居座っているみたいです。

こちらは葉緑体の間隔が少し詰まっています。


これは更に詰まっています。

さすがに見づらいですが、核の存在はどうにか分かります。

動画です。


(2020.12.13・明石公園 桜堀にて採集)

2020年12月18日金曜日

エリヒゲムシの一種(Sphaeroeca sp.)

 円い細胞が球状に集まった群体で、はじめウログレナの仲間かと思ったのですが、黄色っぽいウログレナと違ってほとんど無色で目立ちません。シャーレの中をワムシやミジンコ類に混じってたくさん浮遊しているになかなか気づかなかったくらいです。最初長短3本の鞭毛を持っているように見えましたが、倍率を上げて見ると短い2本に見えたのは鞭毛ではなくエリヒゲムシ類の「襟」らしいと分かりました。
その線で探してみると plingfactory:life in water というサイトで Sphaeroeca volvox の画像が見つかりました。群体や細胞の形、鞭毛や襟の状態などほぼ同じで、この仲間に間違いないでしょう。いつも参照している原生生物情報サーバでは、スファエロエカ属 Sphaeroeca(襟鞭毛虫目・コドノシガ科) は「群体を形成。自由遊泳。群体は球状で表面に細胞が集まる。」とあります。

この時見た群体の中ではやや小さい方で、直径がこの倍くらいある群体も多数見かけました。

鞭毛の運動でゆっくり移動していましたが、ウログレナなどに比べるとはるかに不活発でゆるやかな動きです。

各細胞から群体の中心に向かって細い柄が伸びています。


一見すると長い鞭毛の両側に2本の短い鞭毛が出ているようです。

ちょっと無理がありますが、前の写真から一部拡大してコントラストも上げたものです。鞭毛の基部を囲む襟はささら(筅)のように短い毛が集まってできているようにも見えます。

動画です。


(2020.12.13・明石公園 桜堀にて採集)

2020年12月17日木曜日

ヒメネコゼミジンコ?(Ceriodaphnia ?pulchella)

昨日の記事のシカクミジンコ属の一種と一緒に採集したネコゼミジンコの仲間です。日本産ミジンコ図鑑には国内産のネコゼミジンコ属8種がすべて図示されていますが、その中で該当しそうなのはヒメネコゼ Ceriodaphnia  pulchella ネコゼ C. quadrangular アミメネコゼ C. reticulata の3種です。写真で確認するにはかなり微妙な違いしかありませんが、体長が小さい(約0.48mm)ことや殻の網目模様が見えにくい、などの特徴からヒメネコゼミジンコの可能性が高いと判断しました。

育房に卵を持った♀です。



育房の卵は発育を始めています。殻のピントの合った部分に網目模様が辛うじて見えます。

大きな複眼の下に見える小さな黒点が単眼、その前から突き出しているのが第1触角です。

後腹部。

動画も同じ個体です。


(2020.12.13・明石公園 桜堀にて採集)

2020年12月16日水曜日

シカクミジンコ属の一種(Alona SP.)

 昨年のこの時期にシカクミジンコ?(?Alona quadrangularis)として掲載したものによく似ていて同じく♀ですが、前回の個体では認められなかった殻の縞模様がはっきり見え、またひと回り小型(体長約0.55mmに対して0.4mm)です。日本産ミジンコ図鑑でシカクミジンコ♀の体長とされる0.55~0.90mmの範囲からかなり外れるので、体長0.32~0.52mmのコシカクミジンコ A.rectangula の方かも知れません。





二つの黒点は上(吻に近い方)が単眼、下が複眼ですが、大きさはほぼ同じに見えます。

後腹部。鋭い羽状肛刺が並んでいます。

ピントを手前にずらすと側面に並ぶ櫛状肛刺が見えます。

(2020.12.13・明石公園 桜堀にて採集)

2020年12月4日金曜日

ウシオダニ科の一種

先日掲載した大量のフジツボのノープリウスと一緒にネットに入ってきたダニの一種です。いつもは無視しているのですが、このダニは大きな眼があってちょっと面白そうなので撮影してみました。
“海のダニ”で検索して見ると、いつも見ている害虫屋の雑記帳(ブログ人の保存版)でよく似た画像が紹介されているのが見つかりました。ウシオダニ科 Halacaridae の一種だそうです。やはり大きな眼がついていて体型もそっくりなので同じ仲間だと思います。カバーガラスの下の隙間を時々背腹反転しながら歩いていました。

ここではは背面を向けています。大きな眼が目立ちます。

こちらは腹面。


カバーガラスの下面を歩いていて、脚の爪がよく見えます。

ふたたび背面から。

動画です。


(2020.11.13・西舞子海岸にて採集)

2020年12月2日水曜日

ナシミドリオオアブラムシの産卵

 シャリンバイの葉の裏で産卵中のナシミドリオオアブラムシ Nippolachnus piri を見つけました。以前にも見たように、産卵後卵の周囲の葉面に粘液を塗り付ける動作も見られました。この粘液は風雨などで卵が剥がれ落ちないように固定するためか、あるいは寄生者などの外敵から守るためかよく分かりませんが、卵から離れて広い範囲に塗り付けていることや、たまに微小な虫がこの粘液に捕まっているのが見られることを考えると後者の役目も果たしているのではないかという気がします。

ちょうど腹端から次の卵が覗いています。




出てきた卵は長さ約0.9mm。

1枚目から7、8分で腹端を離れました。

1個産み終えるとそれに続いて腹端から分泌した粘液を周囲の葉面に塗り付け始めます。

粘液は産み付けた卵の直近だけでなく、その周囲広い範囲に塗り付けるようです。

この動作はかなり念入りに、7、8分続きました。

これは別の葉ですが、時々このように小さな虫が粘液に捉えられているのが見られます。ただ、明らかに寄生者や捕食者と思われる虫が犠牲になっているのはまだ見たことがありません。

(2020.11.26・明石公園)