2023年9月17日日曜日

ウチワヤンマ

 トンボやチョウはどうも面倒くさくて滅多に撮らないんですが、今回はウチワヤンマ Sinictinogomphus clavatus です。別に追いかけていたわけでもないんですが、こちらが歩く前をハンミョウみたいに、近づくと飛んで少し先の手すりにとまり、そこまで歩いていくとまた飛んで、ということを何度か繰り返した後、最後にとまった照明器具の金枠が気に入ったのか今度は近寄っても逃げないので、折角なので撮らせてもらいました。たまには大きな虫もいいですね。




(2023.09.04・明石公園)

2023年9月15日金曜日

巣(?)に隠れるキボシカミキリ

 最近は歳のせいか虫探しも他力本願になりつつあって、この日もいつもの虫仲間が「キボシカミキリが桑の葉の間に隠れている」というので現場まで案内してもらいました。

行ってみると、クワの葉の間から白黒だんだらの触角が覗いていました。葉には噛み切られた形跡があります。

そっと後ろに回ってみると、本体が見えました。巣というよりはほんの一時的な隠れ場所程度のもの知れませんが、コイツが身を隠すために葉に細工を施したのは確かなようです。カミキリムシがこんなことをするとは全く知りませんでしたが、教えてくれた当人によればこのキボシカミキリ Psacothea hilarisでは時々見かけるとのことでした。

もっとよく見ようとして葉をかき分けると、やっぱり動き出しました。

(2023.09.04・明石公園)

2023年9月14日木曜日

トゲナナフシ

 この公園にもトゲナナフシ Neohirasea japonica がいることは分かっていましたが、ここ数年は道に落ちた死骸しか見ていませんでした。ところがこの夏はこれが3度目。ただしはじめの2度は虫仲間が見つけてくれたものだったので、自力で見つけたのはこれが最初、実に久しぶりの発見なのでした。
薄暗い林の中で、アラカシの幹の周りに生えたひこばえの低い枯れ枝につかまっていました。体長75mmくらいの大型の個体です。試しにちょっとつついてみても全く動きません。もともと逃げ足の速い虫ではないので、敵が迫っても完成度の高い擬態に頼りひたすら枯れ枝になりきってやり過ごす、という戦略なんでしょうね。






(2023.09.09・明石公園)

2023年9月13日水曜日

イタチムシの一種(Polymerurus ?nodicaudus)

 イタチムシの仲間(腹毛類)は池の水などを採ってきて顕微鏡で覗いていると割合普通に見つかる動物ですが、伝統的(?)にプランクトンとしては扱われていないようで、手持ちの何冊かの「プランクトン図鑑」ではほとんど取り上げられていません。唯一の例外は最近出た「プランクトンハンドブック・淡水編」で、「底生性で、意外とふつうに見られる」とあります。厳密な定義に従うと底生性ならばプランクトンではなくベントスだということになるんでしょうが、それを言えばほとんどのアメーバ類をはじめ、なじみ深い多くの生物がプランクトン図鑑から消えることになるでしょう。専門家向けのものはともかく、一般向けの「プランクトン図鑑」にはぜひこのイタチムシにもページを割いてほしいものです。
今回のイタチムシですが、たまに見かける大型の種で、ずばりイタチムシという和名の与えられた Polymerurus nodicaudus という種ではないかと思います。いつもはこちらのような小型種ばかり見ているので、こんな立派な奴に出会うとうれしくなります。



頭部(左下)に見える円いものが口です。


横向きになったところ。画面左を向いた腹側に繊毛が密生していて、この運動によって泳ぎます。腹毛類の名の由来です。

(2023.07.19・明石公園の池にて採集)


2023年9月11日月曜日

ヒメトビケラの一種(?Hydroptila sp.)の幼虫

 プランクトン観察のために水田で採ってきた水の中に、こんなものを見つけました。筒形の巣に入った小さなトビケラの幼虫で、ネット上の情報を参照するとヒメトビケラ科で間違いなさそうです。同科の中でもヒメトビケラ属 Hydroptila の可能性が高いと思っていますが、こちらの方は確かとは言えません。この仲間の成虫は以前に一度だけ撮影しています(こちら)。
巣は小さな砂粒などを綴って作られています。両端が開いていて、時々長い体を反転させて反対側から顔を出すところは、類縁は遠いのですが以前のブログに出したフサゴカイの幼生を思い出しました。




巣に絡まったアオミドロを食べていました。

動画です。
終盤では巣の表面に棲みついた(?)繊毛虫やイタチムシが見えます。


(2023.08.11・神戸市西区にて採集)

2023年9月9日土曜日

ボクトウガの幼虫

 大量の樹液を流してハナムグリやスズメバチを集めているアベマキの樹皮の割れ目から、ボクトウガ Cossus jezoensis の幼虫が顔を出していました。

いかにも肉食らしい顔つきです。

顔を出していたのも束の間、せっせと大あごを働かせて樹液でペースト状になった木屑を周りに積み上げ、すぐに見えなくなってしまいました。

これは別の日、やはり樹液を流すコナラの幹で、キョウトアオハナムグリの足元を上ってくるのを見つけました。


よりよい場所を求めて引越しでしょうか。

樹皮の隙間にもぐり込んでいきます。

間もなく完全に姿を隠してしまいそうです。

(1~2枚目/2023.08.22、3~6枚目/08.27・明石公園)


2023年9月8日金曜日

クヌギシギゾウムシ

 アベマキのドングリにシギゾウムシのなかまがきていました。何度も場所を変えながら口吻を突き刺しています。殻斗に顔を埋めるように深く穿孔しているので、やがて産卵に移るのだろうと思って見守っていたのですが、ドングリの状態が気に入らないのか、それよりもこちらが邪魔をしたせいか、産卵を始めることなくやがて立ち去ってしまいました。いつものように保育社の甲虫図鑑を調べてみると、クヌギシギゾウムシ Curculio robustus のようです。クヌギとアベマキに実に産卵、とありました。





保育社の甲虫図鑑の検索表では、本種は「触角第2中間節は第1中間節より長い」。


(2023.09.01・明石公園)