2024年10月10日木曜日

クヌギハケタマフシに産卵する Neanastaus albitarsis(ナガコバチ科)

 先日出した、クヌギハケタマフシに産卵するカタビロコバチを撮影していると、その同じ葉の上で、この Neanastaus albitarsis がやはり同じ虫こぶの上で産卵を始めました。
美しいナガコバチ科のハチですが、タマバエ類に寄生することが知られていて、過去に一度だけ見た産卵シーンもイスノキミタマバエに寄生されたと思われるイスノキの実(イスノキミコガタフシ)に対するものでした。タマバチの虫こぶに産卵しているといってもその寄生の対象が虫こぶ形成者のタマバチなのか、あるいはその寄生者や同居者なのか分かりませんが、いずれにせよ10年以上おつきあいしているこのハチの産卵を見たのはこれで2度目なので、個人的にはちょっとした収穫でした。







(2024.09.29・明石公園)


2024年10月7日月曜日

クヌギハケタマフシに産卵するカタビロコバチの一種

 先日のイソウロウタマバチに続いて、同じクヌギハケタマフシに産卵しているカタビロコバチの一種を見つけました。こちらと同じ状況ですが、触角や脚の色に違いがあるので同種ではないでしょう。体長は2.3mmほどです。
山岸健三さんの「寄生蜂の解説」によれば、カタビロコバチ科は「大半は寄生蜂で,植物に虫こぶをつくる昆虫や茎にもぐる昆虫などに寄生するが,一部の種類は植物食で,種子を食害する種もある」とのことです。中には直接昆虫に寄生するのではない、いわゆる同居バチもいるそうですが、このブログでもこれまでにいろいろな対象に産卵するカタビロコバチを掲載しています(2012.10.152013.08.24,2020.05.192020.06.052023.10.23)。

たくさんの虫こぶの間を歩き回って寄主を探しています。

産卵部位が決まると、まず腹部を曲げて産卵管の先端をあてがい、

穿孔が始まると産卵管が鞘から離れて虫こぶに入っていきます。


目いっぱい挿入しました。
この後も、多数の虫こぶに産卵を繰り返していました。

(2024.09.29・明石公園)


2024年10月5日土曜日

ナシグンバイ卵に産卵するホソハネコバチ(?Anagrus sp.)

 過去に何度も出しているのですが、ナシグンバイ卵に産卵するホソハネコバチを見つけました。体長0.4mm足らずの極小サイズのハチで、Anagrus 属の一種だと思っているのですが、確実ではありません。サクラの葉裏でナシグンバイの産卵跡を見つけるととりあえずこのハチが来ていないか探してみるのですが、10Xのルーペを使っても見逃してしまいそうな大きさなので、この日見つけたも前回から3年ぶりです。1匹だけでしたが、葉をつまんでレンズを近づけても悠然と歩き回り、何度も産卵管を突き刺していました。
グンバイムシの卵では、以前にネジキの葉裏でトサカグンバイの卵に産卵していると思われる別種のホソハネコバチを撮影したことがあります。その他にもヒメグンバイやアワダチソウグンバイなど、非常に個体数の多いグンバイは何種類もいて、それらに寄生するハチがいないはずがないと思って探してみるのですが、まだ見ていません。










(2024.09.24・明石公園)


2024年10月4日金曜日

クヌギハケタマフシに産卵するイソウロウタマバチの一種

 アベマキの葉裏が無数の虫こぶ(ゴール)で覆われています。

クヌギハケタマフシだと思います。クヌギハケタマバチ Cerroneuroterus japonicus というタマバチが犯人だそうです。

その虫こぶの間をうろつくハチが1匹。

これもタマバチの一種です。

虫こぶに産卵しています。

何度も場所を変えながら産卵していきます。

タマバチの仲間には自ら虫こぶを形成してそれを食料として育つものの他に、自分では虫こぶを作らず、他種のタマバチの虫こぶに産卵してその中で成長する、イソウロウタマバチ族と呼ばれる一群があるそうです。これもその一種でしょう。

クヌギハケタマフシに産卵するタマバチは以前にも出していますが、同種かも知れません。やはり以前の記事の、同じくアベマキにできるクヌギハマルタマフシに産卵するタマバチも、おそらくイソウロウタマバチの一種でしょう。またこちらの、ノイバラにできるバラタマフシに産卵していたタマバチも同じ仲間だと思われます。他に、イソウロウタマバチ族でありながらアラカシの実に自ら虫こぶを作る Synergus itoensis という種も見つかっていて、こちらがおそらくその種だと思っています。
ところで、このクヌギハケタマフシを形成するクヌギハケタマバチ Cerroneuroterus japonicus については、これまでネット上にも画像が見当たらずどんな姿をしているのか見当がつかなかったのですが、今回あらためて探してみるとこんな記事が見つかりました。これまでこの種に与えられていた複数の学名を一つに整理したという内容ですが、単性世代と両性世代を繰り返すというこの仲間の習性も一因となって、同じ種が過去に9回も新種として記載されていたそうです。
さて、その記事には二つの世代の成虫の画像が載せられているのですが、胸部・頭部にオレンジ色の部分のある両性世代の成虫が、以前に掲載したものによく似ていることに気づきました。アベマキの新葉裏に産卵しているのを何度か見ていて、同じ場所で当の虫こぶもよく見られるので、同種の可能性が高いと思います。

(2024.09.17・明石公園)


2024年9月25日水曜日

キリの葉のタバコカスミカメ

 キリの幼木の大きな葉を裏返すと、このタバコカスミカメ Nesidiocoris tenuis がたくさんついていました。
このカメムシを初めて見たのは約5年前で、やはりキリの葉の裏でした。この公園には大きく成長したキリの木は少ないのですが、幼木はいたるところに生えてきます。その葉では必ずと言って良いほどヒメイトカメムシが群れているのですが、タバコカスミカメが見つかる場所は限られていて、この日見つけたのも5年前に初めて見た場所の近くでした。
今回は交尾中のペアも多く、またヒメイトカメムシの死骸を吸汁しているものもいました。タバコカスミカメはアザミウマやコナジラミなどの農業害虫を捕食するため生物農薬としての利用が進められているようです。キリの葉に集まっているのは、粘つく腺毛に捕まった微小昆虫が目当てなのかも知れません。関係があるのかどうかわかりませんが、農林省のサイトを見ると、このカメムシが好むゴマとクレオメを増殖に利用する方法が紹介されていて、調べてみるとどちらの植物にも葉に粘着性の腺毛が存在するようです。

交尾中のペア。ヒメイトカメムシのように逃げ回らないので撮影は楽でした。

左が♀で、産卵管が見えます。

よく見ると、ヒメイトカメムシの脚の先あたりに口吻を突き刺していました。おそらくすでに死んでいたものだろうと思いますが、あるいはこんなに大きな獲物を襲うこともあるんでしょうか。


あちこち刺点を変えて吸汁しています。

ヒメイトカメムシと同様、粘着性の腺毛の間を自由に歩き回れるように特に適応しているのではないかと思います。

体長約1.5mmの幼虫。

(2024.09.17・明石公園)


2024年9月19日木曜日

タケノホソクロバの卵と若齢幼虫

 ササの葉を捲っていると、きれいに並んだ小さな卵が見つかりました。


俵の形をした卵は長さ0.6mmくらい。それぞれ端の方に赤い点が見えます。

何の卵だろうと考えていると、一緒に虫探しをしていたいつものお仲間が、すぐ近くの葉で小さな毛虫の集団を見つけました。タケノホソクロバ Fuscartona martini のようです。体長は2.8mmほどしかないのでまだ1齢か2齢でしょう。以前のブログにもう少し成長したものを出しています。

チャドクガの幼虫のように仲良く並んで葉を齧っていて、食べ進んだ後にはきれいに葉脈だけ残っています。

お尻からはきれいな緑色の糞。

食事中はなかなかお顔が見えません。

こんな顔です。

大変無駄のない食べ方ですね。

(2024.09.10・明石公園)

2024年9月13日金曜日

お尻の先に排泄物をくっつけて運ぶアザミウマの幼虫たち

 ノゲシの一種と思われる草の、菌類に寄生されて白っぽくなった葉の裏をルーペで調べていると、小さなアザミウマの幼虫がたくさんいました。ほとんどが腹端に排泄物の球をくっつけたまま歩き回っています。何のためにそんな荷物を持ち歩くのか知りませんが、こういう行動は以前にも何度か見たことがあって(こちらこちら)、アザミウマの幼虫ではよく見られる習性なのではないかと思っています。体長は0.5mmから0.8mmくらいで、どこかに成虫がいないかと探しましたが見つかりませんでした。








(2024.09.06・明石公園)