先日、ヨツモンヒメテントウの古い記事にいただいたコメントに、この冬はアカアシノミゾウムシ Orchestes sanguinipes をほとんど見かけない、とありました。気になったのでその後何度かケヤキの樹皮下を調べてみたのですが、確かに少ないようです。以前なら、ほんの小さな樹皮のかけらの裏にぎっしりとひしめき合っているような光景も珍しくなかったものですが、今回あらためて探してみると、あちこち散発的に1匹、2匹といった大変寂しい結果でした。ごく最近まで珍しくもない普通種だと思っていた虫が、次々と希少種の仲間入りをしていきます。
写真は、川の土手に生えたケヤキの樹皮下で見つけた、色違いの2匹です。
2025年2月23日日曜日
アカアシノミゾウムシ
2025年2月10日月曜日
クロハナカメムシとツヤヒメハナカメムシ
冬場のケヤキの樹皮下では常連のカメムシ、クロハナカメムシ Anthocoris japonicus とツヤヒメハナカメムシ Orius nagaii です。後者は以前ヒメハナカメムシ属の一種として出していたものと同じだと思いますが、日本産ヒメハナカメムシ類の分類と同定の検索表により、この種としました。判別点は、前胸の四隅に剛毛がないこと、前胸背・小楯板の毛が明らかなこと、頭部前葉は淡色、前胸背は毛が少なく,点刻も疎で光沢が強いこと、などです。両種とも捕食性で、後者では真冬の樹皮下でアブラムシを捕えているのを見たこともあります(こちら)。
2025年2月8日土曜日
チャバネキクイゾウムシ?
これもケヤキの樹皮の下から出てきたもので、キクイゾウムシの一種です。この仲間はどれも小さくて名前調べも難しいのですが、甲虫図鑑や日本産ゾウムシデータベースなどを参照した結果、赤褐色の上翅などの特徴からチャバネキクイゾウムシ Kojimazo lewisi としました。ただ、同じデータベースには同属でよく似たササチャバネキクイゾウムシ K. pictus も掲載されていて、標本画像だけではどこが違うのかよく分かりません。ということで、タイトルには疑問符をつけておきます。体長は、口吻の先まで計って約3.4mmです。
2025年2月6日木曜日
ケヤキ樹皮下のヨツモンヒメテントウ
先日、一昨年のヨツモンヒメテントウ Nephus yotsumon の記事にコメントをいただいたので、今年もいるかと思って同じケヤキを見に行きました。多少遠慮しながら樹皮を適当に捲っていくと、前回は1匹しか見つからなかったのが今回は何匹も出てきます。ただ、前回は大量にいたノミゾウムシ類やクロハナカメムシをはじめ樹皮下で越冬中の虫は少なく、急速な減少傾向はここでも変わらないようです。
2025年2月3日月曜日
ヘーネアオハガタヨトウ
ムクノキの幹にとまっていた、かなり地味なガです。目に留まったのが不思議なくらい薄暗い場所で、ファインダーもよく見えず1枚撮るごとにモニタを確認しながらの撮影でした。名前調べは難航しましたが、ヘーネアオハガタヨトウ Nyctycia hoenei で間違いないと思います。晩秋に出現する種だそうです。和名が変わっていますが、“ヘーネ”は種小名から来ているようで、命名者か採集者のお名前でしょうか。寡聞にして知りませんが、他にもこの名を和名に持つ種があるのかもしれません。ついでに頭に何もつかない“アオハガタヨトウ”はどんなガだろうかと調べてみると、“アオバハガタヨトウ”は出てきますが“アオハガタヨトウ”は存在しないようです。例によって鱗粉のアップを撮ってみましたが、ほとんど平らな場所がないのでごく部分的にしかピントが合いません。頭から翅端まで約16mmです。
2025年2月2日日曜日
2025年2月1日土曜日
タイワンツヤカスミカメ
ケヤキの樹皮下から出てきた、タイワンツヤカスミカメ Deraeocoris apicatus です。このカスミカメは旧ブログで2011年にはじめて掲載していて、その時は斑紋に違いがあるもののカワヤナギツヤカスミカメ D. claspericapilatus かな、としていたのですが、その後、acleris さんの記事で10年ぶりに正体が判明しました。近年侵入してきた台湾原産の外来種だそうです。3年前の冬にも記事を出していますが、このあたりではすでに普通種で、この冬も樹皮下などで何度も見かけました。
寝床を追い出されてしばらくケヤキの幹を歩いていましたが、やがて立ち止まり前脚で触角の手入れを始めました。