2025年6月7日土曜日

キバラルリクビボソハムシの幼虫・その後

 5月中旬に孵化していたキバラルリクビボソハムシの幼虫の、2週間後の様子です。大きいものは後体部が半球状に膨らんだ特徴的な体形で、体長7mm近くまで成長していました。成虫のサイズを考えるとこれくらいで終齢でしょうか。孵化幼虫のように背中に糞を載せている個体はもういませんでしたが、中齢と思われる体長3mmくらいの個体の中には、代わりに頭部の脱皮殻を背負っているものがいました。

体長3.2~3.5mmくらいの中齢幼虫。

背中に頭部の脱皮殻をのせています。

こちらの3匹は4mmから5mmくらい。

画面上の個体は体長7mmちかく。なかなかのボリュームです。

(2025.05.27・明石公園)

2025年6月1日日曜日

鳥の糞を吸うチャバネセセリ

 イタドリの葉の上で、鳥の糞を吸っていたチャバネセセリ Pelopidas mathias です。セセリチョウの仲間では、乾いた糞に自分の排泄物(おしっこ)をかけて液状にしてから口吻で吸う、いわゆる吸い戻し行動がよく見られます。下の写真でも腹端を下に向けているのが分かりますが、そよ風に葉が揺れて、実際におしっこをかけるところまでは確認できませんでした。以前のブログにイチモンジセセリの同じ行動を出していますが、その時の1枚にはちょうどお尻から水滴が出た瞬間が写っています。


(2025.05.27・明石公園)


2025年5月29日木曜日

シモツケマルハバチの幼虫

 ハチに詳しいFさんから、ハバチの幼虫がいろいろ出てきてるよ、と何箇所かポイントを教えていただきました。これはそのうちの一つ、シモツケマルハバチ Apareophora japonica の幼虫です。名前通りシモツケの葉についていました。透明感のある緑色の体で、背中には真っ白の小さな粒々を並べたきれいなイモムシです。白い粒はワックスの塊のように見えますが、拡大して見るとその中から短い棘が突き出しています。この時は葉を食べていたようですが、咲いている時期には花も盛んに食べるそうで、同じことならその時の方が写真映えしたかも知れません。この日撮影したものはどれも体長17mm前後で、ほぼ終齢のようです。





顔は撮れませんでした。


真綿の塊から針が突き出したような棘です。

半透明の皮膚の下に、気門から延びる気管が見えます。

(2025.05.27・明石公園)



2025年5月24日土曜日

ヒメカゲロウ科の幼虫

 クストガリキジラミに寄生されて黒く変色したクスノキの葉を見つけたので、羽化するところでも見られないかと何枚か裏がえしてみましたが、もうその時期は終わったようで、脱皮殻しか残っていません。かわりにヒメカゲロウ類と思われる幼虫が見つかりました。からだに白いワックスをくっつけているところを見ると、やはりキジラミの幼虫や羽化成虫を狙っていたんでしょうか。見たところ、周りにはもう餌になりそうな生きた虫は残っていないようでした。

体長は約5mm。


(20253.05.01・明石公園)

2025年5月22日木曜日

ヒメコブハムシの交尾と産卵

 去年初めて見たヒメコブハムシ Chlamisus diminutus が今年も同じ場所のイタドリに来ていました。実は 昨日の記事のオオズアリもこのハムシを探しているときに見かけたものです。前回は見つけられなかった交尾シーンもようやく撮ることができ、また産卵中の♀もいました。この場所のイタドリは、夏が終わる頃には他の雑草とともにきれいに刈り払われていたので今年も来るかどうか心配していましたが、無事に帰ってきたようです。同属のムシクソハムシは成虫で越冬するそうですが、この種も同じなんでしょう。ただ最近まで食草も不明だったようですから、まだ確認されていないのかも知れません。

交尾スタイルは同属のムシクソハムシとほとんど同じですが、♂は脚も触角もすべてたたんで、♀と繋がった交尾器だけで支えられています。




♀が歩きはじめると♂もくっついたままついていきます。

1匹のメスが卵に糞の上塗りをしている最中だったのですが、撮ろうとすると離れてしまいました。こちらを警戒して中断してしまったのかも知れませんが、仕事はほぼ終わっているようです。茎の表面が広く齧られているのが見えますが、去年の観察でも成虫幼虫ともに葉よりも茎の表皮を食料としているように見えました。

糞ケースの色は、メスが食べた茎の赤い表皮の色そのままです。
孵化後、幼虫はこの糞ケースの一端から顔を出して摂食をはじめ、こちらのように成長につれて自分の糞を付け足してケースを大きくしていきます。

(2025.05.13・明石公園)


2025年5月21日水曜日

イタドリの花外蜜腺とオオズアリ

 イタドリの茎の、葉柄の付け根のすぐ下のあたりにアリがしきりに口をつけているのでルーペで覗くと、こんな場所に花外蜜腺があるようです。お恥ずかしいことに、イタドリの茎に花外蜜腺があることは初めて知りました。アリは、アカメガシワの花外蜜腺にもよく来ているオオズアリ Pheidole nodus のワーカーです。周囲を見ると、あちこちの蜜腺に1匹づつ来ていました。滑らかな卵型の頭部と長い脚を持った美しいアリですが、何匹もいた個体はどれもいつも見ているものよりだいぶ体色が薄く、内臓や気管が透けて見えます。気になるので念のため図鑑やネット情報を改めて調べてみましたが、別種という可能性はなさそうです。











(2025.05.13・明石公園)

2025年5月20日火曜日

アラカシの葉巻の中のムラサキシジミ幼虫

 先のマガリケムシヒキの産卵を見たのと同じ日に、やはり同じFさんがアラカシの新葉が細長く巻かれているのに気づいて拡げてみると、中にはムラサキシジミ Narathura japonica の幼虫が潜んでいました。葉巻の中に身を隠したまま食事をしているようです。周囲には同じような葉巻がいくつもぶら下がっていて、さらに何匹かの幼虫が見つかり、その分泌物を求めてアリも来ていました。また巻かれて垂れ下がった葉は、葉柄近くの主脈に嚙み切られたような傷があります。ある種のオトシブミ類と同様に、葉を萎びさせて柔らかくするためでしょう。だいぶ食べられてすでに空き家になった葉巻もありました。おそらくこの公園の中でも毎年どこかで見られる光景なのでしょうが、教えてもらわなければいつまでも気づかずに終わったかも知れません。日ごろ虫が少なくなったと嘆いていても、注意してさえいればまだまだ新たな発見があるようです。

巻かれたというより、葉が萎びて自然に丸まったようにも見えます。

葉巻の中にいた幼虫。

アリも来ていました。これはシリアゲアリ類のようです。

主脈を噛み切った後がよく見えます。中の幼虫の影も。

この葉巻はすでに用済みのようで、空き家になっています。

(2025.05.08・明石公園)