春先の野山を歩くとよく目につくビロウドツリアブ Bombylius major ですが、撮影したのは久しぶりです。最近は町中の公園ばかり徘徊しているので目にする機会が減ったという事情もありますが、かなり敏捷な虫で見つけてもたいがい撮る前に飛んで行ってしまうということもあります。たかが普通種という気持ちもあって時間をかけて追い回す気にもなりません。それが今回の個体は珍しく大人しくしていてくれたので以前のブログで2016年に出して以来9年ぶりに登場することになりました。
ツリアブの仲間はどれも寄生性ですが、この種はヒメハナバチ類に寄生するそうです。そして他のツリアブ類と同様、産卵の前には地上に降りてお尻を砂地にこすりつけ、腹端にある「砂室」に砂粒を取り込むと言う面白い習性が知られています。卵に砂をまぶして寄主の目を誤魔化すためと言いますが、それがどんな風なカムフラージュなのか、以前にもちょっと資料を探してみましたが具体的な説明は見つかりませんでした。この砂集めの様子は本種ではまだ見たことがありませんが、以前にスキバツリアブやマエグロツリアブで同じ行動を撮影しています。
2025年4月7日月曜日
ビロウドツリアブ
2025年4月5日土曜日
ゴミグモの一種・幼体
2025年4月4日金曜日
ヒレルクチブトゾウムシの顔(深度合成)
2025年4月3日木曜日
アズキナシオオアブラムシとヒラタアブの幼虫
先日、蟻牧亀虫というブログのこちらの記事を見てアレ、と思い、調べてみると、当ブログでも何度も登場しているナシミドリオオアブラムシ Nippolachnus piri の分類が再検討されて、おなじみのシャリンバイにつく種はアズキナシオオアブラムシ N. micromeli に変わっていました。2018年の論文ですから7年も前のことです。種名が変わったと言っても新種として記載されたわけではなく、もともとアズキナシから得られた標本を N. micromeli として100年も前に記載していたのが後に N. piri のシノニムとして統合され、それが最近の研究によって再び N. micromeli として独立したということのようです。
長年同一種とされていたくらいですから生態写真などで区別できるはずもないと思いますが、寄主植物ははっきりと分かれていて、N. piri(ナシミドリオオアブラムシ)はナシとビワ、N. micromeli(アズキナシオオアブラムシ)はアズキナシ、ナナカマド、シャリンバイにつくということなので、そこから判断しても間違いはないでしょう。つまり以前のココログ時代も含めて当ブログに登場したナシミドリオオアブラムシはどれもシャリンバイに寄生していたものなので、すべてアズキナシオオアブラムシに訂正しなければならないことになります。
以上のように前置きをしておいて、ようやく今回の本題です。
2025年4月2日水曜日
カシトガリキジラミの交尾と産卵
新年度に入るというのにまだ寒い日が続きますが、3月中頃から羽化の始まったカシトガリキジラミが、ようやく開きかけたアラカシの新葉に集まってさかんに交尾していました。
2025年4月1日火曜日
カスリウスバカゲロウの幼虫
いつもの公園で、いつもの仲間数人での虫探し。Fさんが砂の中からウスバカゲロウの幼虫を掘り出してきました。立ち木の根元に粒の細かい乾いた砂が溜まった場所で、この仲間の幼虫はこういう環境でよく見つかるとのこと。いわゆるアリジゴクの親類ですが、すり鉢状の巣は作らず、浅い砂の下に潜んでいて通りかかった獲物を捕らえるそうです。長年同じ場所に通っていて、その存在を全く知りませんでした。幼虫がこんなふうに暮らすウスバカゲロウ類は幾種類もいるようですが、後日Fさんが、ウスバカゲロウの研究をしている知人に確認したところ、カスリウスバカゲロウ Distoleon nigricans の幼虫という返事だったそうです。
これが最大個体です。撮影倍率を控えるのを忘れたので正確な体長は分かりませんが、大顎を含めると15mmくらいはあったように思います。
2025年3月30日日曜日
アカアシノミゾウムシとヤドリノミゾウムシ(深度合成)
冬場のケヤキの樹皮めくりではアカアシノミゾウムシ Orchestes sanguinipes とヤドリノミゾウムシ O. hustacheiという、大変良く似た小さなゾウムシが一緒に見つかることがあります。実際、自分でも最初の頃はすべて同じ種だと思っていました。体色と大きさに違いで見分けられるようなのですが、保育社の甲虫図鑑を見ても、ネット上の記事を拾い読みしてみてもそれ以外の外見上の違いについては言及がありません。そこで先日、散歩がてらに心当たりのあるケヤキで両種を採集してきて、何か明確な違いが見つからないか、深度合成画像で見比べてみることにしました。
しかし例によってこのサイズの甲虫は扱いが難しく、折りたたまれた脚を拡げることがどうしてもできません。図鑑の画像などではどれもきれいに展脚されていて、しかるべき方法でやればできることなんでしょうが、私の技術では標本を傷つけずに展脚することはほぼ不可能なようです。あきらめてそのまま撮影しました。よく似た両種の違いを見つけてやろうと意気込んではじめた割には、重要な部分の多くが写真では見えないというまったく不満足な結果に終わってしまいましたが、とりあえず出来上がった画像を並べておきます。
まず、アカアシノミゾウムシ。体色変異の多い種ですが、これは触角と脚および上翅が赤褐色で他が黒色のタイプです。