2025年7月19日土曜日

ヌカカ科の一種(?Forcipomyia sp.)の蛹

 アベマキの幹の、樹液が流れて真っ黒になった部分を見ていると、樹皮の割れ目に何やら幼虫のようなものが集まっていました。暗くてよく見えないのでとりあえずフラッシュで撮影してモニタを確認すると、幼虫ではなく蛹です。おそらく双翅目と見当をつけて、こんな場所に縁のありそうな科の蛹の画像を探していると、有力候補が見つかりました。ヌカカ科の Forcipomyia 属で、 “Forcipomyia pupa”で検索するとよく似た写真や図が見られます。Forcipomyia 属は国内でも数十種が記録されているようで、北隆館の原色昆虫大図鑑にも5種が収録されています。以前のブログには同属と思われる幼虫を出しています。

体長は、腹端が樹液に埋もれているので分かりませんが、見えている部分だけで2.5mm前後です。



蛹殻の下にはすでに複眼が見えています。

(2025.07.01・明石公園)

2025年7月18日金曜日

マダラヒメゾウムシ

 イノコヅチの群落で小さなゾウムシを見つけました。探すとあちこちの葉に乗っているのですが、とても敏感というか臆病というか、慎重に近づいてもレンズの射程に入る前にほとんどが転げ落ちてしまいます。散々撮り逃がした後で、それでもやや鈍感な個体(?)を2、3匹撮影することができました。交尾中らしきペアも何組か、花芽の付近にいるのを見かけましたが、こちらは全滅でした。甲虫図鑑その他で調べると、マダラヒメゾウムシ Baris orientalis のようです。同じヒメゾウムシ(Baris)属には黒っぽくて無紋の種が多く、その手の外見であれば種の特定は難しそうですが、このマダラヒメゾウムシは和名通り特徴的な斑紋があるので、酷似種がない限り間違えることはないでしょう。イノコヅチやアカザを食べるそうです。体長は、この日撮影した個体では吻を含めて4.5から5.2mmくらいでした。

丸まって重なり合った葉の間にいた個体です。葉を拡げてもしばらくじっとしていてくれました。



以上4枚と下の3枚は別個体です。



最後に腹面も撮っておきました。

(2025.07.01・明石公園)


2025年7月17日木曜日

アカメガシワの花外蜜腺に来たクサカゲロウ幼虫

 先日、チビハナゾウムシがたくさん集まっていたアカメガシワを見に行くと、ゾウムシはほとんど姿を消していましたが、クサカゲロウの仲間の幼虫が1匹、花外蜜腺に来ていました。


クサカゲロウ類の幼虫が持つ大きな牙は、大顎の溝に小顎がはまりこんで管になったもので(吸収顎と呼ばれます)、獲物の体液はこの管を通して吸収されるそうです。しかしここでは蜜を吸うのに使っているようには見えません。


よく見ると大顎の下から伸びた小腮髭(あるいは下唇髭かな?)が蜜腺に接していて、これで蜜を摂取しているようです。


反対側の蜜腺に移動すると先客あり。まだ残っていたチビハナゾウムシです。

仲良く蜜を分け合うかと思えば、

小さいほうは場所を譲って葉裏に退却。

しかしすぐに戻ってきて、隣にあったもう一つの蜜腺を吸い始めました。

(2025.07.01・明石公園)


2025年7月15日火曜日

モグリチビガ科の一種?

 翅端まで2.6mmほどの微小な蛾です。樹液の染み出たアベマキの幹を調べている時に、ちょうど目の前に飛んできて樹皮の窪みの中にとまりました。こちらと同じモグリチビガ科(Nepticulidae)の一種ではないかと思っているのですが、確信はありません。触角の根元が広がっていて複眼が全く見えませんが、これは眼帽と呼ばれるものです。“みんなで作る日本産蛾類図鑑V2”によるとこの特徴を持っているのはモグリチビガ科の他にはヒラタモグリガ科とハモグリガ科にほぼ絞られるそうなので、他の二つの科のどちらかかも知れません。触角を拡げればばこちらのハモグリガのようにその下から複眼が現れるはずです。





(2025.07.01・明石公園)


2025年7月12日土曜日

ミツヒダアリモドキ(深度合成)

 ミツヒダアリモドキ Nitorus trigibber は以前のブログで2度出していますが、あらためて確認するとどちらも明石公園で撮ったものでした。これまでに数えるほどしか撮っていない種ですが、何しろ小さいので目に留まらないだけで、ビーティングでもすれば結構落ちてくるのかもしれません。サクラの葉裏で見つけたのですが、逃げ回って撮らせてくれないので今回は持ち帰ってスタック撮影してみました。相変わらず展脚がちゃんと出来ませんが、脚の数が減る前にあきらめました。
姿がアリに似ているからアリモドキですが、写真を見るとそれほど似ているようには見えません。アリとは違って立派な翅を持っているので、その分腹部が大きく見えるせいでしょうか。ただ、木の葉の裏についているのをシルエットで見ると確かにアリと見間違えそうです。






(2025.06.23・明石公園にて採集)


2025年7月10日木曜日

キュウシュウクチブトカメムシの幼虫

 イヌビワの葉に乗っていた美しいカメムシ幼虫。この色や光沢から未だ実物を見たことのないアオクチブトカメムシか、と思ったのですが、虫仲間に見せるとキュウシュウクチブトカメムシ Eocanthecona kyushuensis ということでした。成虫は見たことがありますが、幼虫は初めてです。はじめの3枚はいつものストロボ一発、後の2枚は少し明るい場所に移動して自然光で撮ったものですが、カメラを近づけると逃げ回ってなかなか止まらないので満足な写真は撮れずに終わりました。体長は約10mmで、終齢だと思います。
クチブトカメムシの幼虫と言えば、10年以上も前にこの公園でこの仲間の若齢と思われる幼虫を撮っています(こちら)。図鑑やネット画像などいろいろあたってみたのですが、今のところ不明のままです。






(2025.06.27・明石公園)

2025年7月8日火曜日

チビハナゾウムシ(アカメガシワの花外蜜腺)

* 2025.07.17・訂正 *

何と、和名を間違えていました。ヒメハナゾウムシとしていたのをチビハナゾウムシに訂正しました。

 アカメガシワの葉の付け根で何やらごそごそ動いていると思ったら、花外蜜腺に集まったチビハナゾウムシ Anthonomus (Anthonomus) minor でした。


吻の先まで2mmばかりの微小なゾウムシです。名前通り花の上で見かけることの多い種で、花外蜜腺に来ているのは初めて見ました。

周囲の葉にも数匹づつ集まって蜜を吸っています。





花外蜜腺で見かける昆虫と言えばほとんどがアリで、連中が集まっていると他の虫が寄り付かない感じですが、たまたまこの木にはほとんど来ていなかったようで、こんな小さなゾウムシがのんびりと蜜を吸っていたのもそのおかげかも知れません。

(2025.06.27・明石公園)