2024年7月28日日曜日

クリイロヒゲハナノミ

 頭上に垂れ下がったコナラの枝葉の間に、なにやら甲虫らしきシルエットが見えたので手繰り寄せてみると、これまで見たことのない大型のハナノミでした。この仲間の常で頭部を胸元に埋めるような格好で枝につかまっていますが、この姿勢でも体長は15mmもあります。このあたりの平地で見かけるハナノミと言えばほとんどが体長数ミリの小型種ばかりで、滅多に見ない大型種のミツオホシハナノミでも10mmちょっとですから、この大きさには驚きました。保育社の甲虫図鑑を見ると、模様のない茶色一色でこの大きさの種はクリイロヒゲハナノミ Macrotomoxia castanea 一種で、ネット情報なども合わせるとこの種で間違いなさそうです。全く動く気配もないので安心していたら、ちょっと目を離した隙に消えていました。

尾節版が太短く、ハナノミらしくありません。



図鑑の説明にもありますが、とても大きな複眼です。


(2024.07.20・明石公園)

2024年7月26日金曜日

グンバイカスミカメ 成・幼虫

 ヒメグンバイに寄生されたアベマキの葉裏で、久しぶりにグンバイカスミカメ Stethoconus japonicus を見つけました。グンバイムシ類を専門とする捕食性のカメムシです。各種グンバイムシのコロニーの中によくいるのですが、小さい上に姿かたちが獲物によく似ていて、ルーペでも使ってじっくり探さないとなかなか目にとまりません。この日は同じ枝の数枚の葉の裏で成虫や大小の幼虫を数匹見つけましたが、残念ながら捕食の場面は見られませんでした。

成虫です。頭から翅端まで約4mm

小循板が角のように突き出しているのが特徴的です。

別の成虫の顔。

体長約1.1mmの若齢幼虫。

上と同じ。この大きさの幼虫でも、こちらのように立派に狩りをします。

これもまだ若齢ですがやや大きくなっています。

体長は1.8mmほどで、翅芽が伸び始めています。

これでおそらく終齢でしょう。

体長約2.6mm。

ところどころにヒメグンバイの遺骸が仰向けになって残されていました。グンバイカスにカメが成虫を襲う際にはこんなふうにまず獲物を裏返し、腹面から体液を吸います。

少し離れた場所で無事に暮らしているヒメグンバイ。

(2024.07.04・明石公園)



2024年7月21日日曜日

立ち枯れのエノキに産卵するオオホシオナガバチとMegarhyssa sp.

 昨年8月にヒラアシキバチの産卵を見たエノキの立ち枯れに、期待通り2種のオナガバチが産卵に来ていました。お馴染みの、大型の未記載種 Megarhyssa sp.オオホシオナガバチ Megarhyssa praecellens です。これまでこの公園では Megarhyssa 未記載種の方が普通でオオホシオナガバチはあまり多くは見かけなかったのですが、この日は数が逆転していました。両種とも主にヒラアシキバチに寄生しているのではないかと思っていますが、同種内でも体長の個体差が非常に大きいことを考えると他にも複数の寄主が存在するのかも知れません。
この日来ていたのはほぼ♀ばかりで、幹を歩きながら盛んに産卵管を突き刺しています。産卵に適した場所は決まっているようで多数のハチが一カ所に集まってきますが、特に争う様子もありません。静かに黙々と(?)産卵に勤しんでいました。
あいにくの曇天の上に場所も林の中で非常に暗く、背景が真っ暗にならないよう無理やりの低速シャッターで撮ったものですからどのカットも盛大にブレてしまいました。普段から小昆虫のフラッシュ撮影が主で三脚を持ち歩く習慣が無いのですが、こんな時には欲しくなります。

大きな Megarhyssa 未記載種と産卵中のオオホシオナガバチ。

上のオオホシはこの種としてもかなり小型の個体です。

仲良く並んで産卵中の大小のオオホシオナガバチ。

穿孔を始めたばかりの Megarhyssa 未記載種。背伸びをするような格好で腹部を目いっぱい持ち上げて産卵管を突き立てます。

こちらはオオホシオナガバチ。

材に入っていくのは細い産卵管だけなので、それを左右から包んでいる鞘は二つに分かれ輪を描いて外に残っていきます。

前翅の黒紋が和名の由来でしょう。

Megarhyssa 未記載種(上)とオオホシオナガバチ、どちらも大型の個体です。それにしても、この大きい方の種が未記載と教えてもらってからずいぶん時が経ちますが、ほんとにまだ記載されていないんでしょうか。

(2024.07.04・明石公園)

2024年7月6日土曜日

ヒメバチ科ウスマルヒメバチ亜科の一種(Lissonota sp.)

 アラカシの切り株の上をせわしなく歩き回るハチがいました。旧ブログにも出したウスマルヒメバチ亜科の一種(Lissonota sp.)だと思います。目立つ特徴もない黒いヒメバチですが、外見よりもその動きで同じ種と分かりました。
歩きながらも産卵管を常に前方に伸ばしていて、樹皮の割れ目などに次々と突き刺していくのですが、数秒以上同じ場所にとどまることはほとんどありません。産卵管の先で寄主を探しているだけのように見えますが、あるいはその間に素早く産卵を済ませているんでしょうか。15分ばかり追い続けたくさん撮りましたが、動きが速すぎてピンボケばかりでした。







(2024.07.04・明石公園)

2024年7月4日木曜日

ウズラカメムシ

 普通種ですが当ブログでは初登場のウズラカメムシ Aelia fieberi です。イネ科の草の細い茎や穂にとまっていることが多いのですが、これはイタドリの葉の上に載っていました。ちょっと変わった風貌のカメムシです。




(2024.06.20・明石公園)


2024年7月3日水曜日

アカメガシワの花外蜜腺に来たトビイロシワアリ

 トビイロシワアリ Tetramorium tsushimae はこのあたりでも最普通種ですが、いつもの公園の中でも私が好んで歩くような林の中ではあまり見かけない種です。開けた草地のような環境を好むらしく、この日もそういう、日当たりの良い場所に生えたアカメガシワの花外蜜腺に集まっているのを見つけました。和名通り、頭部から胸部にかけて皺だらけのアリです。






(2024.06.25・明石公園)

2024年7月1日月曜日

カシルリオトシブミと揺籃

 先に出したキボシツツハムシヒメコブハムシを撮影したのと同じ場所のイタドリで、揺籃を巻くカシルリオトシブミ Euops splendidus を見つけました。作業はすでに最終段階のようです。撮影を始めると、揺籃の周りをぐるりと一周した後元の葉の上に上がり、やがて立ち去ってしまいました。普通は最後に葉に繋がる部分を噛み切って揺籃を地面に落とすはずですが、邪魔が入ったので途中で切り上げたのでしょうか。この公園でもごく普通に見られるオトシブミですが、とても敏感で、葉を巻いている最中でも近づくと簡単に落下してしまいます。この個体はよく見ると右の触角を失っていて、すぐに逃げなかったのはそのせいかも知れません。




ここで揺籃を切り落とすと予想したのですが、

やがて向きを変え立ち去ってしまいました。

(2024.06.13・明石公園)