2023年10月2日月曜日

テングミズミミズ属の一種(Stylaria sp.)

 ミズミミズの仲間はひと月ほど前にも出しましたが、これは同じ場所で採集した別の種で、テングミズミミズ属(Stylaria sp.)の一種です。琵琶湖生物多様性画像データベースによればテングミズミミズ Stylaria fossularis という種は日本列島や東南アジアに広く分布するそうですが、これがその種なのかどうかは分かりません。

カバーガラスの縁が光って見苦しいですが、ある程度自由に動ける状態で封入すると最初真ん中に置いてもすぐに端っこの方へ移動してしまいます。
ところで、このミズミミズの仲間は通常の有性生殖のほかに、分裂による無性生殖によっても増えるということです。そこで上の写真を見ると、長い体の中央あたりにちょっとくびれた部分が見えます。

その部分を拡大すると、一対の赤い目が見えます。すでに分裂の過程が始まっていて、この部分が分裂後の、後半部の個体の頭部になるんでしょう。

和名の由来はこの頭部を見れば明らかですね。

腹側には熊手のような剛毛が並んでいます。これを使って水草に掴まったり移動したりするんでしょう。

消化管の表面の粒々が金色に輝いてとてもきれいです。

動画です。


(2023.09.01・明石公園の池にて採集)


2023年9月29日金曜日

羽化直後のクビキリギス

 羽化したばかりのクビキリギス Euconocephalus thunbergi を見つけました。

脱皮殻のかたわらで、草の茎につかまってじっとしていました。産卵管が見えるので♀ですね。本当は羽化の最中を見たいのですが、早起きが苦手な身には難しそうです。ちょうど出会った直翅目に詳しい虫撮り仲間が、この連中は羽化の後脱皮殻を食べてしまうことが多いと教えてくれたので、しばらく立ち話で時間を潰してから再度様子を見に行くと、

その言葉通り、やおら体の向きを変えて脱皮殻を食べ始めました。

(2023.09.24・明石公園)

2023年9月28日木曜日

ジョロウグモの交接行動

今頃、公園内のいたるところに張られているジョロウグモの♀の巣網を見て回ると、ほぼ必ず1匹かそれ以上の♂が端の方に陣取って交接の機会をうかがっています。ほとんどはただじっと待機しているだけで、実際の交接行動を見る機会はそう多くないのですが、この日は幸い、その場面に2度遭遇しました。

1件目はバックが薄暗い竹藪だったので、こんな写真しか撮れませんでした。この♂は何度も♀に接近するのですが、腹部を合わせたかと思うとすぐに離れてしまうという、落ち着きのない行動を繰り返していました。

同じ網にもう1匹の♂がいて、時々近寄ってくるのでそれを追い払うのにも忙しそうでした。

何度もこの定位置につくのですが、滞在時間が短いので精子の受け渡しに成功したのかどうかよく分かりません。

2件目はもう少し撮りやすい場所でした。

最初の♀と同様、すぐそばに脱皮殻が見えます。

この♂はかなり長い時間とどまって触肢を動かしていたので、おそらく目的は果たせたのでしょう。この日見た♀はこのように腹部がまだ痩せた個体ばかりでしたが、あとひと月もするとこちらのように丸々と太った巨大な♀が見られるはずです。

(2023.09.16・明石公園)

2023年9月27日水曜日

テングイラガ?若齢幼虫

* 2023.09.30・記事修正 *

明石の蛾達のYMKENさんから、「従来の“テングイラガ”は現在3種類に分かれています。」とご指摘を受けました。「従来の学名(longipalpis)はクロフテングイラガが受け継いでおり ウスイロテングイラガ(yoshimotoi)、キマダラテングイラガ(decolatus)となっています。」ということです。下の記事には不正確な部分があるので、注釈を加えておきました。

ナシグンバイの寄生したサクラの葉裏をルーペで調べていると、こんなものもいました。

体長約1mmの毛虫です。棘の並び方などから見てテングイラガ Microleon longipalpis の幼虫正しくは、テングイラガの一種 Microleon sp. )ではないかと思うのですが、ネット上を探してもこれくらいの若齢幼虫の画像が見つからず、絵合わせができません。

脱皮殻を棘に引っ掛けたまま歩いていました。


小さな顔が子犬みたいでちょっとかわいいですね。

別の葉で同種と思われる、少し大きいのを見つけました。

体長は2.4mmくらいで、よりテングイラガの幼虫らしくなりました。

こちらが頭だと思いますが、顔の代わりにイモムシ状の物体が見えます。寄生バチか何かの幼虫でしょうか。

(2023.09.20・明石公園)


2023年9月26日火曜日

ヒメクダマキモドキの産卵管

 アラカシの葉の上にいたヒメクダマキモドキ Phaulula macilenta です。

薄い翅の下から産卵管が透けて見えるので♀ですね。

今回はサービスで産卵管を出して見せてくれました。体と不釣り合いなほど大きくて立派です。この産卵管で樹皮の隙間などにこんな卵を産むのですが、残念ながら産卵シーンは見たことがありません。

(2023.09.16・明石公園)


2023年9月24日日曜日

ナシグンバイ・産卵と幼虫の脱皮

 サクラの葉裏を見上げているといやでも目に付くナシグンバイ Stephanitis nashi 。それを目当てにやってくるこんな捕食者やこんな寄生者を探していたのですが見つからず、かわりにちょうど産卵中の♀がいました。

腹端を葉面につけ、わずかに前後に揺するように動かしています。

しばらくその姿勢を続けていましたが、やがて立ち上がって離れていきました。

邪魔をしなければまだ産卵を続けたのかも知れません。

立ち去った後の産卵痕。葉面から火口のように突き出しているのが卵殻の上部だと思います。

別の葉で脱皮を始めていた幼虫です。まだかなり小さく、初齢-2齢か2齢ー3齢だと思います。




脱皮を終えた幼虫の体長は約1.5mmでした。

(2023.09.20・明石公園)

2023年9月23日土曜日

ツツジグンバイ 幼虫・成虫

 モチツツジの葉裏の、ツツジグンバイ Stephanitis pyrioides 幼虫です。すぐ後ろに脱皮殻が見えるので羽化したばかりでしょう。

たくさんの棘状突起の先につく粘球は脱皮殻に残していて、脱皮後の突起にはまだ見えません。

体長は約2.2mmです。


次は別の日に撮った成虫です。



ツツジ類の害虫として知られていて、最普通種のはずですが、この公園での生息密度はあまり高くありません。

(幼虫:2023.09.16/成虫:09.08・明石公園)