2025年7月29日火曜日

ウシカメムシ孵化幼虫

 サクラの葉の裏で、孵化直後と思われるカメムシの幼虫が卵殻を囲んでいました。はじめクサギカメムシかと思ったのですがちょっと違います。この公園で見つかるカメムシで、木の葉の裏にこんな形の卵を産み付ける種はそう多くありません。キマダラでもなく、チャバネアオでもなく、もしやウシカメムシか、と思ってネット上の画像を探してみると、当たりでした。チャンネルF+というブログにウシカメムシを飼育した詳細な記録があって、そこに掲載された孵化したばかりの幼虫の写真とよく一致したのです。実は以前にも卵殻を囲んだウシカメムシの幼虫を撮影したことがあって、それを1齢幼虫だと思っていたのですが、同じブログの別の記事を拝見すると1齢ではなく2齢だったようです。

6個の卵のうち5個はすでに空ですが、幼虫は3匹しかいません。寄生されていた形跡もないので、2匹はどこかへ出かけているんでしょうか。残りの1個も孵化間近のようです。


体長は約1.4mmですが、幅はそれ以上あります。

最後に残った1個も赤い複眼や触角(?)が透けて見えています。

(2025.07.04・明石公園)

2025年7月28日月曜日

ホソヒョウタンカスミカメ(深度合成)

 先日取り上げたばかりのホソヒョウタンカスミカメ Pilophorus erraticus ですが、これはその少し前に採集した別個体です。先の記事の個体は腹部が大きくて♀ではないかと思いますが、こちらは腹部もややほっそりしていて、また腹端の構造を見ても♂のようです。





(2025.06.25・明石公園にて採集)

2025年7月27日日曜日

エノキ伐採木から出てきたヤマトタマムシ

 先月、多数のオナガバチが集まっていたエノキの伐採木です。いくつかに切り分けられた幹の中に、今シーズンのものと思われるヤマトタマムシの脱出口がいくつも開いているものがありました。ひょっとして、と思って探すとちょうど1匹顔を出しています。すでに胸部の半ばまで見えているので大慌てでカメラを構えましたが、体を捩るようにしてもがくばかりでそれ以上出てきません。穴が十分に拡がらないうちに焦って無理に通り抜けようとしたのか、体が引っかかって動けなくなったようです。
慌てることもなかったと、少し落ち着いて改めて周りを見ると、他にまだ2匹、穴から顔を覗かせていました。1匹目と同じ側の幹の外周面と、手前に向いた切断面で、どちらも穴の周囲をせっせと大顎で齧って拡げている最中です。かなり時間がかかりましたが、やがてどちらも無事脱出を果たしました。
それを見届けた後、上の1匹が出てきたのと同じ切断面にチェーンソーの切り残しが薄い板状にかぶさっていたのを折り取ってみると、その下にも大きな穴が開いていて、奥の方に4匹目の顔が見えました。ようやく脱出口をあけて外界が見えたと思えばすぐその前に板が立ち塞がっていて、出るに出られなかったようです。すでに穴の出口は十分すぎるほど拡げられていたので、最初は驚いて奥に引っ込んでいたのが、しばらくすると一気に出てきました。
引っかかって出られなくなっていた1匹目はというと、頭をそっと押してやっても穴の奥に戻ることも出来ない様子です。このまま死んでしまうのも可哀そうなので、ポケットナイフで穴の周りを少し削って拡げてやったのですが、それでもすぐには出きません。結局2匹目3匹目の撮影に夢中になっている間に、気がつくと出てしまった後でした。
1匹目を見つけてから4匹すべての脱出が完了するまで2時間半ほどでした。立ち枯れていたこのエノキが伐採されたのは昨年のことですが、ヤマトタマムシの幼虫期間は2年から3年ということなので、このまま放置されていれば来年も羽化が見られるかもしれません。

これが最初に見つけた1匹。こすでに長時間この状態だったのかも知れません。

何とかしてくれと言っているように見えます。

これは2匹目。

奥の方にピンボケで見えているのが動けなくなった1匹目です。

出てきました。

長い間待った挙句、脱出はあっという間です。

お尻の先に排泄物がぶら下がっています。外界に出るまで我慢していたのかな。体長は約41mm。しばらくあたりを歩き回った後、翅を拡げて飛んでいきました。

幹の切断面から出てきた3匹目。後ろに見える隙間の奥に、4匹目の穴がありました。




無事に出てきて一休み。体長約39mm。

これが、障害物の下から現れた4匹目。驚かせたので奥の方へ引っ込んでいます。前が塞がれているのを何とか回避しようとした跡か、穴の周りがかなり広く齧られていました。

しばらく様子を見ていましたが。

すでに通路は充分拡げられていたので、いきなり出てきました。

体長約40mm。確認できた3匹はどれもほとんど同じ大きさでした。

(2025.07.04・明石公園)


2025年7月22日火曜日

ナシグンバイの卵を吸うホソヒョウタンカスミカメ

 いつものように木の葉を見上げて歩いていると、ヒョタンカスミカメの仲間らしき影が見えました。サクラの葉の裏で、近づいてみるとナシグンバイの卵を吸っているようです。低倍率で2~3枚撮っておいてから、逃げられるのを覚悟で葉をつまむと案の定離れていきましたが、あまり遠くにも行かず、手を離してしばらく見ているとまた戻ってきます。捨てて行くには惜しい食料なのでしょう。同じことを二、三度繰り返すと慣れてしまったのか、最後には逃げずにゆっくり撮影させてくれました。見つけた時にはすぐそばにナシグンバイも1匹いて、これらの卵の母虫ではないかと思うのですが、撮影しているうちに姿が消えていました。
ナシグンバイの卵は葉肉に埋め込むように産み付けられていて、表面に出た部分が噴火口のように見えています。それを覆うタールのように黒っぽい物質はおそらく母虫の排泄物でしょう。そして中央の円く凹んだ部分が孵化の際に幼虫が押し開ける蓋になっています。カメムシはその蓋の部分を避けて噴火口の麓のあたりに口吻を突き刺していました。
ヒョウタンカスミカメ類は多くが捕食性で、農業害虫の有力な天敵として期待もされているようです。このあたりでも何種見ていますが、今回の個体は4年前にも出したホソヒョウタンカスミカメ Pilophorus erraticus でした。体長は約4mmです。






(2025.07.04・明石公園)

2025年7月19日土曜日

ヌカカ科の一種(?Forcipomyia sp.)の蛹

 アベマキの幹の、樹液が流れて真っ黒になった部分を見ていると、樹皮の割れ目に何やら幼虫のようなものが集まっていました。暗くてよく見えないのでとりあえずフラッシュで撮影してモニタを確認すると、幼虫ではなく蛹です。おそらく双翅目と見当をつけて、こんな場所に縁のありそうな科の蛹の画像を探していると、有力候補が見つかりました。ヌカカ科の Forcipomyia 属で、 “Forcipomyia pupa”で検索するとよく似た写真や図が見られます。Forcipomyia 属は国内でも数十種が記録されているようで、北隆館の原色昆虫大図鑑にも5種が収録されています。以前のブログには同属と思われる幼虫を出しています。

体長は、腹端が樹液に埋もれているので分かりませんが、見えている部分だけで2.5mm前後です。



蛹殻の下にはすでに複眼が見えています。

(2025.07.01・明石公園)

2025年7月18日金曜日

マダラヒメゾウムシ

 イノコヅチの群落で小さなゾウムシを見つけました。探すとあちこちの葉に乗っているのですが、とても敏感というか臆病というか、慎重に近づいてもレンズの射程に入る前にほとんどが転げ落ちてしまいます。散々撮り逃がした後で、それでもやや鈍感な個体(?)を2、3匹撮影することができました。交尾中らしきペアも何組か、花芽の付近にいるのを見かけましたが、こちらは全滅でした。甲虫図鑑その他で調べると、マダラヒメゾウムシ Baris orientalis のようです。同じヒメゾウムシ(Baris)属には黒っぽくて無紋の種が多く、その手の外見であれば種の特定は難しそうですが、このマダラヒメゾウムシは和名通り特徴的な斑紋があるので、酷似種がない限り間違えることはないでしょう。イノコヅチやアカザを食べるそうです。体長は、この日撮影した個体では吻を含めて4.5から5.2mmくらいでした。

丸まって重なり合った葉の間にいた個体です。葉を拡げてもしばらくじっとしていてくれました。



以上4枚と下の3枚は別個体です。



最後に腹面も撮っておきました。

(2025.07.01・明石公園)


2025年7月17日木曜日

アカメガシワの花外蜜腺に来たクサカゲロウ幼虫

 先日、チビハナゾウムシがたくさん集まっていたアカメガシワを見に行くと、ゾウムシはほとんど姿を消していましたが、クサカゲロウの仲間の幼虫が1匹、花外蜜腺に来ていました。


クサカゲロウ類の幼虫が持つ大きな牙は、大顎の溝に小顎がはまりこんで管になったもので(吸収顎と呼ばれます)、獲物の体液はこの管を通して吸収されるそうです。しかしここでは蜜を吸うのに使っているようには見えません。


よく見ると大顎の下から伸びた小腮髭(あるいは下唇髭かな?)が蜜腺に接していて、これで蜜を摂取しているようです。


反対側の蜜腺に移動すると先客あり。まだ残っていたチビハナゾウムシです。

仲良く蜜を分け合うかと思えば、

小さいほうは場所を譲って葉裏に退却。

しかしすぐに戻ってきて、隣にあったもう一つの蜜腺を吸い始めました。

(2025.07.01・明石公園)