2025年8月8日金曜日

ヨツボシテントウ?の幼虫

 アベマキの幹の、染み出した樹液で黒っぽくなっているところを白っぽい小さな円盤状の虫が歩いていました。ダルマカメムシの幼虫にしては時期が遅いし、と思いながらカメラを覗くと、ヨツボシテントウ Phymatosternus lewisii の幼虫のようです。アブラムシを餌にしているはずですが、獲物が居そうな場所でもないので、偶然枝葉から移動してきたのでしょうか。体長は約2.7mmです。
この幼虫は以前にも調べたことがあるので種名には間違いがないだろうと思っていたのですが、新海孝さんのブログにモンクチビルテントウ Platynaspidius maculosus の幼虫が紹介されていて、これがヨツボシの幼虫にそっくりです。成虫もそっくりですが、この公園ではどちらかと言えばモンクチビルの方が多いような気がするので、ちょっと怪しくなってきました。ただし、上の新海さんの記事によればヨツボシはクヌギでよく見つかる、ということなのでやはりこれでしょうか。
ヨツボシテントウの幼虫はアブラムシの脚に嚙みついてそこから体液を吸い取るという面白い習性があって、以前のブログでもその場面を掲載しています。それに対して(これも新海さんの同じ記事からですが)モンクチビルテントウの幼虫は、獲物は同じくアブラムシですが、そのお尻に噛みついて体液を吸うというきまりがあるようです。外見のわずかな違いよりも、その行動で判断した方が確実なのかもしれません。やはり以前のブログで、ハゼノキとアベマキにいた幼虫をヨツボシテントウとして幼虫を出していますが、どちらもあいにく食事の様子は見ていないので、ひょっとしたらモンクチビルかも、という気がしてきました。





(2025.07.19・明石公園)

2025年8月6日水曜日

シリアゲコバチの産卵+♂

 シリアゲコバチ Leucospis japonica の産卵風景です。まずまず上手く撮れたと思って写真を編集したのですが、気がつくと去年一昨年も同じものを掲載していました。場所も去年と同じアラカシの幹の枯死した面なのですが、お気に入りの虫、お気に入りの場面なので今年も出しておきます。
このハチの産卵時の動作は何度見ても不思議ですが、4枚目から7枚目で、鞘から離れた産卵管がまず体内に引き込まれ、ぱっくり割れた腹節の間から節間膜を道連れに(破れないかと心配になるほど)弧状に大きく張り出している様子が見てとれます。いかにも無理な態勢ですが、このハチは寄主に達するのに必要な産卵管の長さに対して腹部や脚が短すぎるのでしょう。そのため長い腹部や脚を持った(こちらのような)ヒメバチ類などのように単に背伸びをして腹部を持ち上げただけでは目指す場所に先端をあてがうには足りず、それを補うためにこのような特殊な構造と動作を採る方向に進化してきたのだと思います。










最後はおまけ。近くをうろついていた♂です。羽化してくる♀を待ち受けている様子ですが、産卵中の♀には全く関心が無さそうでした。

(2025.07.19・明石公園)


2025年8月2日土曜日

エビイロカメムシの幼虫と成虫

 いつもの虫仲間に居場所を教えてもらい、エビイロカメムシ Gonopsis affinis の幼虫を撮りに行きました。目当てのススキの葉の間を探すとおよそ10匹近くは見つかりましたが、どれもかなり大きくなっていて、4齢と5齢(終齢)のようです。この日は幼虫ばかりでしたが、約2週間後に同じ場所を訪れると成虫も出てきていました。

これが多分4齢。

同上。

同上の顔です。

これは終齢だと思います。

その顔。

約2週間後、成虫もいました。

(2025.07.10/23・明石公園)


2025年7月29日火曜日

ウシカメムシ孵化幼虫

 サクラの葉の裏で、孵化直後と思われるカメムシの幼虫が卵殻を囲んでいました。はじめクサギカメムシかと思ったのですがちょっと違います。この公園で見つかるカメムシで、木の葉の裏にこんな形の卵を産み付ける種はそう多くありません。キマダラでもなく、チャバネアオでもなく、もしやウシカメムシか、と思ってネット上の画像を探してみると、当たりでした。チャンネルF+というブログにウシカメムシを飼育した詳細な記録があって、そこに掲載された孵化したばかりの幼虫の写真とよく一致したのです。実は以前にも卵殻を囲んだウシカメムシの幼虫を撮影したことがあって、それを1齢幼虫だと思っていたのですが、同じブログの別の記事を拝見すると1齢ではなく2齢だったようです。

6個の卵のうち5個はすでに空ですが、幼虫は3匹しかいません。寄生されていた形跡もないので、2匹はどこかへ出かけているんでしょうか。残りの1個も孵化間近のようです。


体長は約1.4mmですが、幅はそれ以上あります。

最後に残った1個も赤い複眼や触角(?)が透けて見えています。

(2025.07.04・明石公園)

2025年7月28日月曜日

ホソヒョウタンカスミカメ(深度合成)

 先日取り上げたばかりのホソヒョウタンカスミカメ Pilophorus erraticus ですが、これはその少し前に採集した別個体です。先の記事の個体は腹部が大きくて♀ではないかと思いますが、こちらは腹部もややほっそりしていて、また腹端の構造を見ても♂のようです。





(2025.06.25・明石公園にて採集)

2025年7月27日日曜日

エノキ伐採木から出てきたヤマトタマムシ

 先月、多数のオナガバチが集まっていたエノキの伐採木です。いくつかに切り分けられた幹の中に、今シーズンのものと思われるヤマトタマムシの脱出口がいくつも開いているものがありました。ひょっとして、と思って探すとちょうど1匹顔を出しています。すでに胸部の半ばまで見えているので大慌てでカメラを構えましたが、体を捩るようにしてもがくばかりでそれ以上出てきません。穴が十分に拡がらないうちに焦って無理に通り抜けようとしたのか、体が引っかかって動けなくなったようです。
慌てることもなかったと、少し落ち着いて改めて周りを見ると、他にまだ2匹、穴から顔を覗かせていました。1匹目と同じ側の幹の外周面と、手前に向いた切断面で、どちらも穴の周囲をせっせと大顎で齧って拡げている最中です。かなり時間がかかりましたが、やがてどちらも無事脱出を果たしました。
それを見届けた後、上の1匹が出てきたのと同じ切断面にチェーンソーの切り残しが薄い板状にかぶさっていたのを折り取ってみると、その下にも大きな穴が開いていて、奥の方に4匹目の顔が見えました。ようやく脱出口をあけて外界が見えたと思えばすぐその前に板が立ち塞がっていて、出るに出られなかったようです。すでに穴の出口は十分すぎるほど拡げられていたので、最初は驚いて奥に引っ込んでいたのが、しばらくすると一気に出てきました。
引っかかって出られなくなっていた1匹目はというと、頭をそっと押してやっても穴の奥に戻ることも出来ない様子です。このまま死んでしまうのも可哀そうなので、ポケットナイフで穴の周りを少し削って拡げてやったのですが、それでもすぐには出きません。結局2匹目3匹目の撮影に夢中になっている間に、気がつくと出てしまった後でした。
1匹目を見つけてから4匹すべての脱出が完了するまで2時間半ほどでした。立ち枯れていたこのエノキが伐採されたのは昨年のことですが、ヤマトタマムシの幼虫期間は2年から3年ということなので、このまま放置されていれば来年も羽化が見られるかもしれません。

これが最初に見つけた1匹。こすでに長時間この状態だったのかも知れません。

何とかしてくれと言っているように見えます。

これは2匹目。

奥の方にピンボケで見えているのが動けなくなった1匹目です。

出てきました。

長い間待った挙句、脱出はあっという間です。

お尻の先に排泄物がぶら下がっています。外界に出るまで我慢していたのかな。体長は約41mm。しばらくあたりを歩き回った後、翅を拡げて飛んでいきました。

幹の切断面から出てきた3匹目。後ろに見える隙間の奥に、4匹目の穴がありました。




無事に出てきて一休み。体長約39mm。

これが、障害物の下から現れた4匹目。驚かせたので奥の方へ引っ込んでいます。前が塞がれているのを何とか回避しようとした跡か、穴の周りがかなり広く齧られていました。

しばらく様子を見ていましたが。

すでに通路は充分拡げられていたので、いきなり出てきました。

体長約40mm。確認できた3匹はどれもほとんど同じ大きさでした。

(2025.07.04・明石公園)


2025年7月22日火曜日

ナシグンバイの卵を吸うホソヒョウタンカスミカメ

 いつものように木の葉を見上げて歩いていると、ヒョタンカスミカメの仲間らしき影が見えました。サクラの葉の裏で、近づいてみるとナシグンバイの卵を吸っているようです。低倍率で2~3枚撮っておいてから、逃げられるのを覚悟で葉をつまむと案の定離れていきましたが、あまり遠くにも行かず、手を離してしばらく見ているとまた戻ってきます。捨てて行くには惜しい食料なのでしょう。同じことを二、三度繰り返すと慣れてしまったのか、最後には逃げずにゆっくり撮影させてくれました。見つけた時にはすぐそばにナシグンバイも1匹いて、これらの卵の母虫ではないかと思うのですが、撮影しているうちに姿が消えていました。
ナシグンバイの卵は葉肉に埋め込むように産み付けられていて、表面に出た部分が噴火口のように見えています。それを覆うタールのように黒っぽい物質はおそらく母虫の排泄物でしょう。そして中央の円く凹んだ部分が孵化の際に幼虫が押し開ける蓋になっています。カメムシはその蓋の部分を避けて噴火口の麓のあたりに口吻を突き刺していました。
ヒョウタンカスミカメ類は多くが捕食性で、農業害虫の有力な天敵として期待もされているようです。このあたりでも何種見ていますが、今回の個体は4年前にも出したホソヒョウタンカスミカメ Pilophorus erraticus でした。体長は約4mmです。






(2025.07.04・明石公園)