2020年5月13日水曜日

アベマキハイボタマフシのタマバチ Latuspina abemakiphila

アベマキの葉裏に出来た虫こぶにタマバチが集まっていました。羽化して出て来る♀を待つ♂達らしいのでしばらく様子を見ていましたが、穴の中から覗いているハチに全く動きがなく、手にとって調べてみるとすでに死んでいました。
この虫こぶはこの公園のアベマキでよく見られるものですが、名前も形成者も分からず以前から気になっていたので、周囲にたむろしていた数匹を採集して帰りました。
この度改めて探してみたところ、国立科学博物館の井手竜也博士のTAMABACHI JOHO-KANというサイトで紹介されていることを知りました。虫こぶはアベマキハイボタマフシと呼ばれるもので、形成者はナラタマバチ族の Latuspina abemakiphila という種です。
この Latuspina abemakiphila は2016年に井手博士と九州大学の阿部芳久教授によって新種記載されています。上記井手博士のサイトでは Latuspina 属の特徴としてメスの尾節の先端部が三叉状(フォーク状)に分かれることが知られていたが、最近の研究によってそれが両性世代のメスのみに見られるもので、単性世代のメスでは見られないことが判明したということが紹介されています。そして日本産のLatuspina属全既知種6種のゴールと両性世代の♂♀・単性世代の♀の標本写真が掲載されていますが、ただこの L.abemakiphila に関しては単性世代はまだ発見されていないようです。

虫こぶに開いた穴を覗き込む2匹の♂。

♀の脱出を見られるかと期待しましたが…。

残念ながらすでに死んでいました。

周囲にいた数匹を採集して深度合成撮影。

まず♂。

たくさん付いているのは何の花粉でしょうか。

こちらが♀。

その顔。

重なり合って翅脈が見えにくいですが…。

三叉状に分かれた尾節の先端部。このカットだけ、上記TAMABACHI JOHO-KANでこの特徴を知るまで2週間も放置していた後で撮影したので腹部が乾燥のためぺしゃんこになっています。中央の突起に付着しているのは滲み出た体液でしょうか。

以下、おまけ。

ケブカキベリナガカスミカメ Dryophilocoris miyamotoi がゴールを吸っていました。

コガネコバチの一種も。


寄生目的だと思ったのですが、産卵シーンは見られず。

(2020.04.29 明石公園)


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