2019年12月31日火曜日

朽木の双翅目幼虫

朽木樹皮下にいた、体長3mmほどの双翅目の一種の幼虫です。
最近入手した「日本産土壌動物検索図説」(1991年版)での絵合わせではアシナガバエ科あたりではないかと思いますが、自信は全くありません。






一年の締めくくりとしては冴えない記事になってしまいましたが、そらさんも嘆いておられるように、私の身近で目にする虫もここ数年でめっきり少なくなった気がしています。もう一つのテーマであるプランクトンも近所の海での採集では種数・個体数ともに10年前とは比較にならないほど貧しくなってしまいました(瀬戸内海特有の現象かも知れませんが)。
とは言え、しつこく探していると時々は意外な発見もあるもので、そこが生き物を相手にする面白さだと思っています。来年もよろしくお願いいたします。

(2019.12.21・学が丘北公園)

2019年12月30日月曜日

ディセマトストマ(Disematosutoma sp.)

以前のブログにも一度登場した大型の繊毛虫、ディセマトストマ(Disematosutoma sp.)です。






(2019.11.25・明石公園 桜堀にて採集)

2019年12月29日日曜日

ラクダムシの幼虫

冬場に樹皮の下で普通に見つかりますが、成虫にはなかなかお目にかかれない、ラクダムシの幼虫です。

体長約11mm。ケヤキの樹皮下にいました。





(2019.12.21・学が丘北公園)


2019年12月28日土曜日

オソイダニ科(Cunaxidae)の一種

朽ちかけた伐採木の樹皮下から出てきたオソイダニ科(Cunaxidae)の一種です。以前のブログに出したものとほとんど違いが無さそうで、同種ではないかと思います。体長は長い顎体部も含めて約0.8mmです。
「日本ダニ類図鑑」を見ると、オオカマオソイダニ Cunaxa taurus (Kramer)という種と顎体部や触肢の形、2対の非常に長い感覚毛(後部感覚毛の方が長い)、体長など一致する部分が多いようです。この和名は同図鑑(1980年発行)で初めて与えられた新称ということですが、その同じ和名で検索すると、松山市産ダニ類目録(2012)では Armascirus hastatus Shiba 1986 という学名が当てられていて、これらが同じ種を指すのかどうか分かりません。

なかなか格好の良いダニです。

2対の、非常に長い感覚毛。


長く伸びた顎体部と、頭上に振り上げた鎌のような触肢。


最後に、樹皮の下に消えていきました。

次は同じ場所で見つけた、同じオソイダニ科と見られる小型のダニです。
ひょっとすると同種の幼体かとも思いますが、成体であれば別種でしょう。

やはり2対の長い感覚毛が見えます。

長く尖った額体部と角のように前方に突き出した触肢。昔の恐竜ファンはトリケラトプス、と思ってしまいます。体長は、額体部の先までで約0.4mm。



(2019.12.21・学が丘北公園)

2019年12月27日金曜日

クロトンアザミウマ・幼虫

2週間ばかり前にクロトンアザミウマの成虫を見つけたアジサイの葉で、お尻の先に排泄物の球をつけたアザミウマ幼虫がいました。以前のブログで不明アザミウマ幼虫としていたものと同じだと思いますが、今回は同じ植物でクロトンアザミウマの成虫をたくさん見かけたので、この幼虫も同種で間違いないと思います。

体長約1mm。黒っぽく見えるのは消化管でしょうか。

複眼には数個の個眼しかないようです。

尾端には、同じように排泄物をくっつけて歩くアカオビアザミウマの幼虫が持っているような長い毛は見えませんが、この重そうな液体の球をどうやって支えているんでしょうか。

直径約0.3mm。すぐ横に見える黒いゴミが邪魔なので落ち葉の先でそっと取り除くと、この球も一緒にとれてしまいました。


(2019.12.21・学が丘北公園)

2019年12月26日木曜日

ゴンフォネマ、アクナンティディウム・他

糸状藻に付着していた珪藻の群体です。

低倍率暗視野で眺めるとキラキラ輝いてなかなかきれいです。

枝分かれした柄(粘液柄と呼ぶそうです)の先に楔形の細胞がついています。ゴンフォネマ Gomphonema の一種だと思います。


角度によって殻の形がずいぶん違って見えます。画面下の大型の個体は別種のようです。

これもゴンフォネマだと思いますが、やや大型です。

たくさん散らばっている小さいのはアクナンティディウム(Achnanthidium sp.)でしょう。

ゴンフォネマ、アクナンティディウムの他に少なくとももう一種はいるようですが、所属が分かりません。

(2019.11.25・明石公園 桜堀にて採集)


2019年12月25日水曜日

アミメアザミウマ亜科の一種(?Anisopilothrips venustulus)

このアザミウマも以前のブログで掲載済みですが、久しぶりに撮影したので再登場です。先日出した Astrothrips aucubae とよく似ていて、同じような場所にいたこともあって初めて見た時は同種と思ったくらいですが、ezo-aphidさんから Anisopilothrips venustulus の特徴に一致する点が多いとのご意見をいただきました。こちらで標本画像を見ることが出来ます。
 Astrothrips aucubae よりやや小型で、腹部を弓なりに持ち上げた姿勢が特徴的です。

ヤツデの葉裏にいました。体長約1mm。

撮影を開始するとおもむろに身繕いをしはじめて、後脚をこすり合わせたり、

背伸び(?)をしたりしていましたが、

これが通常の静止姿勢です。

正面を向いた単眼が目立ちますが、Astrothrips aucubae のような頭部の出っ張りはありません。

(2019.12.13・明石公園)

2019年12月23日月曜日

遊走子を放出するサヤミドロ

先日出したマルサヤワムシを眺めていた際、同じプレパラートの中をこんなものが泳ぎ回っているのに気づきました。

葉緑体を持っているようですが、一端の白く膨らんだ部分の周囲に生えた繊毛を動かして泳いでいます。しかも、探せば他にも同じものがいくつか見つかりました。最初に見た時に確かにこんなものはいなかったはずなのに、と首をひねりましたが、やがて一緒に封入したサヤミドロ(Oedogonium sp.)が放出した遊走子だということが分かりました。
放出はその後も続いて、何度かその瞬間を見ることが出来ました。以下、放出の過程です。

放出直前の細胞。通常の糸状細胞と同じように見えますが、右上端の色が濃くなっています。

突然、二つの細胞の間が折れるように曲がって、下の細胞の内容物が外に出てきます。



出てきた遊走子は透明の袋に包まれています。

まだ袋に包まれていますが、すでに一端に繊毛環が出来ていて、盛んに動かしています。

やがて袋から出て泳ぎ出した遊走子は最初の写真で見た細長いひょうたん型になり、適当な場所を見つけて着生するのだろうと思います。

動画も撮りました。時間がかかるので8倍速に編集しています。

「サヤミドロ属に基づくサヤミドロ科藻類の観察と研究」(山岸高旺・斎藤栄三)という論文(こちらでダウンロードできます)に、「採集材料をシャーレ内に入れておくと、翌日くらいには、いっせいに遊走子を放出して水面に浮かんだり、シャーレ内壁の水面の位置近く付着して、数日中には、それらが糸状体に発育してくるのが見られる。採集材料をシャーレ内などに入れると、なぜ、すぐに遊走子を放出するのか、その理由はわからない。」とあります。今回の、水でプレパラートに封入したサヤミドロも同様の状態だったのでしょう。

何度かの放出場面を写真や動画に撮っている間に、カバーガラスの下は遊走子で一杯になっていました。

遊走子の放出はサヤミドロ類が行う無性生殖の手段ですが、他にもいくつかの方法による無性生殖が知られていて、また有性生殖も行うそうです。

(2019.11.25・明石公園 桜堀にて採集)