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2022年1月25日火曜日

ミドリワムシ属の一種(Ascomorpha sp.)

 以前のブログに同じタイトルで出したものと同種かも知れません。足や趾がなく、体内の大きな部分が不透明で、全体の形を把握しづらいワムシという印象があります。「日本淡水動物プランクトン検索図説」によれば、ミドリワムシ属 Ascomorpha を含むハラアシワムシ科 Gastropodidae は「胃が大きく四方へ突き出た盲嚢を備え、体腔の空間を占める。胃全体が緑、橙黄、褐色等の色彩をもつ」とのことです。





動画です。


(2022.1.13・明石公園 桜堀にて採集)

2022年1月20日木曜日

ワムシの繊毛冠(ツボワムシ・コガタツボワムシ・ドロワムシ)

顕微鏡では普段横方向からばかり見ているワムシ類ですが、カバーガラスの下に充分な空間をとってやると頭を上に向け、繊毛冠 (corona)がカバーガラスに接した状態で泳ぎ始めることがあります。今回はその繊毛の動きを狙ってみました。

まず最初はツボワムシを暗視野で。多数の個体を一緒に泳がせ、カバーガラスの下面にピントを合わせて探すと、あちこちで深いところから不意に浮上してきて花のように繊毛冠を開くのが見られます。以下、静止画はすべてストロボ撮影です。

繊毛が青く見えるのは構造色でしょう。

次は微分干渉で。

同じく、ピント位置を少し奥に移動したもの。

さらに奥へ。多数の繊毛の規則正しく同期して波打つように動くので、全体が回転しているような錯覚を起こさせます。輪盤とも呼ばれる所以ですね。

これがお馴染みの姿ですね。ツボワムシ Brachionus calyciflorus だと思います。去年の夏に掲載したものと違って、被甲後部の突起(側突起、後方側刺)を持たないタイプのようです。

動画です。

冒頭が暗視野、続いて明視野、微分干渉です。

これは一緒にいたコガタツボワムシ Brachionus angularis です。

少し奥へピントを移動。右側に突き出しているのは背触手、左奥にぼやけているのは卵です。

名前通りツボワムシより小柄です。動画はこちらにあります。

最後はドロワムシ(Synchaeta)の一種。黒いのは眼点です。

やや手前にピントを移動。

もう少し。
全体像はこちらにあります。

(2022.01.13・明石公園 桜堀にて採集)

2021年12月26日日曜日

フクロワムシ属の一種・♂(Asplanchna sp.)(改題)

* 2022.01.01・追記 *

初めて見る種のフクロワムシだと思っていたのですが、わちーさんより、これはフクロワムシの雄であることを教えていただきました。種はサンプル内の雌を確認して類推するしかないそうです。同じ池でよく見つかるこちらと同じ種なのかも知れません。ネットで検索してみると A.priodonta の雄の画像が見つかりました(こちらこちら)。詳しくは分かりませんが、毛束のようなものは lateral antenna(側触角?)に dorsal antennae(背触角?)と呼ばれるもので、それぞれ一対あるようです。また肛門と考えた部分はペニスの出入りする孔のようです。

先日記事に出したたくさんのプレオドリナを眺めていると、その間を見慣れないフクロワムシの一種が泳ぎ回っていました。体長はよく見かけるもの(多分 A.priodonta)の半分くらいで肛門らしきものがあり、また体の中央付近の両側に毛束のようなものが見えます。足や趾は見当たらないのでフクロワムシ属 Asplanchna に間違いないと思いますが、手持ちの図鑑やネット上の画像には今のところ似たものが見つかりません。


フクロワムシの仲間としてはかなり小型です。


後端(右下)に横向きの開口部(肛門?)が見えます。

薄くて見えにくいですが、体の中央付近から毛束が伸びています。

左上の黒い線は撮影中に蒸発で減った水と空気の境界です。

動画です。


(2021.11.24・明石公園 桜堀にて採集)

2021年9月29日水曜日

カメノコウワムシ属の外来種?(Keratella ?americana)

 いつもの池ではごく普通に見つかる小型のワムシで、カメノコウワムシ Keratella cochlearis だと思っていたのですが、あらためて手持ちの図鑑類などで確認すると別種のようです。この種には多くの変種があって、和名の由来である背甲の亀甲模様もそれぞれ異なるのですが、それが図鑑に掲載されているくつかの型のどれにも当てはまりません。そこでネット情報を探してみると、四日市大学生物学研究所のサイトで紹介されている Keratella americana f. hispida という種によく一致することが分かりました。「Keratella cochlearisに似ているが,背面の亀甲模様が全く異なる.Keratella valga等のように,中央に六角の亀甲が4個並ぶことで区別できる。外来種。東海地方の池沼では普通に見られる。」と説明されています。そこに掲載されている画像は小さくて分かりづらいのですが、いくつかの海外サイトの図でよく確認できます。今回は数個体を撮影しましたが、亀甲模様の型はすべて同じでした。

この画像では背甲を上に向けていますが、ピントは腹甲近くに合っています。頭部を出していて、赤い眼が見えます。

ピントを少し上に移動。

背板表面に合わせると、うっすらと亀甲模様が見えてきます。

別個体ですが、ほぼ真横から見ています。背甲にはかなり凹凸があるようです。

これも別個体。腹側から斜めに見ています。腹甲は扁平です。

上の画像では亀甲模様が見えにくいのでもう1枚。これも別個体です。

動画です。


(2021.07.28・明石公園 剛の池にて採集)

2021年8月19日木曜日

マルサヤワムシ科シナンテリナ属の一種(Sinantherina ?spinosa)

 初めて見たワムシの群体です。いつもの公園の、干上がっていることの方が多いような浅い池で採集しました。
球形の群体ということではじめはテマリワムシ科の一種だろうと見当をつけて調べていたのですが、この科でこれくらいの規模の群体を作るのは Conochilus hippocrepis のみで、その種であれば頭頂に1対あるはずの腹触手が見当たりません。胴部にもそれらしきものは見えないのでそもそもテマリワムシ科ではなさそうです。そこであらためて図鑑(日本淡水動物プランクトン検索図説)を眺めると、マルサヤワムシ科シナンテリナ(Sinantherina)属が形も似ていて、やはり群体を作ることが分かりました。日本で知られている2種が掲載されていますが、そのうちの Sinantherina spinosa という種が開いた時の頭冠の形や腹面に並んだ棘、また普通50個体前後の球形群体を作ることなどの特徴が一致し、有力候補です。


今回は採集当日と翌日、計2個の群体を観察しましたが、これは最初の群体です。見つけたときはもっと大所帯だったのですが、周囲のゴミから分離したりスライドガラスに移したりしている間にかなりの数の個体が離れて行ってしまいました。

群体の中心付近には孵化前の卵や幼体が集まっています。


このように側面から見ると以前掲載した同じマルサヤワムシ科のプチグラ属(Ptygura sp.)に形がよく似ています。この画像では上に向いて弓なりに張り出しているのがいるのが腹面で、多数の小さな棘が並んでいるのが見えます。足と胴部の間の背面にある突起は肛門で、上記プチグラ属の動画ではこの肛門から排泄する様子が見られます。

以下は翌日撮影したやや大きな群体です。

最初の群体に比べて内臓や卵の色がかなり薄く見えます。機材や撮影法は全く同じなので、理由が分かりません。


こちらは孵化したばかりの幼体が多いようです。

微分干渉です。上記図鑑によれば、S. spinosa は「頭冠は開くと幅広い卵円形または四辺形に近い」とあります。


群体中心部の幼体と卵です。卵にはすでに眼点が見えるものもあって、孵化間近なのでしょう。

次の動画は2番目の群体です。


(2021.08.04・明石公園の池にて採集)

2021年8月18日水曜日

ミジンコワムシ

 ミジンコワムシ Hexarthra mira はどの図鑑を見ても全国に広く分布する普通種とされていますが、私が採集している範囲ではそう多く見かける種ではありません。太短い体幹の周囲にそれぞれ長さの異なる6本の太い腕が生えていて、全体として非常に厚みがあるので全体像を把握できる写真を撮るのが難しいワムシです。


体長は300~400µmくらいとしている資料が多いのですが、この個体は少し小さいようです。この日見たものはどれも同じくらいの大きさでした。


体の後端(この画像では右側)に拇指状の突起が一対あるのが同属多種との違いだそうです。

最大の腕は腹面中央から生えていて、中間部に数対の鈎状刺があるということですが、この個体ではその鈎状刺があまり発達していないようです。




動画です。最初の部分で、ハネウデワムシのように太い腕をひと振りして跳躍するのが見られます。



(2021.07.28 明石公園 剛の池にて採集)

2021年8月17日火曜日

カマガタツボワムシ

 これはカマガタツボワムシ Brachionus falcatus だと思います。被甲の前後の長い刺状突起が特徴的で、図鑑やネット情報を見ても紛らわしい形態の近似種は無さそうです。ゆっくりと回転しながら泳ぐ姿はなかなかカッコいいと思うのですが、どうでしょうか。







泳ぎながらときどき立ち止り、長い足を伸ばして振り回していました



動画です。


(2021.07.28・明石公園 剛の池にて採集)

2021年8月9日月曜日

ツボワムシ

 いつもの公園の池でツボワムシが大量に発生していました。
このツボワムシ Brachionus calyciflorus には被甲の形、特に棘状突起の位置や形の異なるいくつかの変種乃至品種が存在しますが、今回採集したものはほとんどが被甲後部の側面から1対の突起(側突起、後方側刺)が伸びているタイプです。ただその突起の長さや形には個体によってかなりばらつきがあり、手元の図鑑に掲載されている中のどの型に一致するのかはよく分かりません。以前、同じ公園の別の池でやはり大量に発生しているのを採集した際は、ほとんどがこの側突起(後方側刺)の無い型でした。







動画です。


(2021.07.28・明石公園 剛の池にて採集)