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2022年7月17日日曜日

イソヤムシの一種(Spadella sp.)

 いつもの海岸で採れたヤムシです。以前のブログに掲載したものと同じイソヤムシ属 Spadella の一種で、おそらくSpadella cephaloptera だろうと思っています。前回も7月に採集しているので、今頃が出現期なのでしょう。図鑑によればこの仲間は本来底生性ですが、時に浮遊するということです。ヤムシの仲間は細長い上にこちらのように無色透明なものが多く、実体顕微鏡で眺めていても動かなければつい見逃してしまうくらいですが、この種は体が太くて不透明なのでよく目立ちます。カバーガラスで封じても元気に動き回りますが、静止したところを狙って18カットほどスタック撮影しました。

1枚だけなので画像サイズはいつもより大きくしました。

(2022.07.14・西舞子海岸にて採集)

2022年3月15日火曜日

ホウキムシ類のアクチノトロカ幼生(Actinotrocha larva)初期?

 久しぶりに見たホウキムシのアクチノトロカ(Actinotrocha)幼生です。以前のブログで何度か(2018.01.15,2012.03.13など)出していますが、今回のもの一応それらしい形にはなっているものの、かなり小型で触手もあまり発達していないので、初期段階と思われます。





もっと発育の進んだものと同様に、胃の内容物が常にくるくる回転しています。

触手はまだ伸び始めたばかりというところですが、全身が繊毛に覆われています。

動画です。



(2022.02.15・西舞子海岸にて採集)

2022年3月2日水曜日

カラヌスの一種

 カイアシ類のカラヌス目(Calanoida)の一種です。先日のコリケウスと同様、動きの止まった時を見計らってピントをずらしながら連写モードし、深度合成しました。


腹側を上に向けています。



(2022.02.15・西舞子海岸にて採集)

2022年2月23日水曜日

コリケウスの一種(Corycaeus sp.)

 メガネケンミジンコという和名を持つコリケウス Corycaeus の一種です。以前このブログに掲載して Corycaeus affinis という種名を教えていただいたものと同種かも知れませんが、こちらの方が後体部が太短いようです。断続的に激しく動いていましたが、その合間を縫ってピントを送りながら連写モードでスタック撮影しました。




(2022.02.15・西舞子海岸にて採集)

2022年1月2日日曜日

滑走運動をするイカダケイソウ(Bacillaria sp.)

「南京玉すだれ 」に例えられる滑走運動で知られるイカダケイソウ(Bacillaria)の一種です。今回は海で採集したものですが淡水性の種もあり、以前のブログでも2度(2013.07.09,2019.06.13)出していますが、後の方は淡水で採集したものです。クサリケイソウという和名も使われています。こういうものを撮影するときは動きを抑えないよういつも水の量を多目にとっているのですが、少し多過ぎたようで、ピントが一部にしか合いません。




動画です。



(2021.11.18・西舞子海岸にて採集)

2022年1月1日土曜日

コアミケイソウの一種(Coscinodiscus ?wailesii)

 これは冬の間、近所の海でネットを引くと大量に入ってくることが多いコアミケイソウ(コシノディスカス Coscinodiscus)の一種で、以前から播磨灘で時折大発生して海苔養殖などに被害を与える Coscinodiscus wailesii という種だと思います。

細胞はきれいな円筒形で、直径と高さがあまり変わりません。

これは深度合成画像ですが、実際は円筒の蓋(殻面)はやや凹面になっています。

別の細胞ですが、中心部には網目模様がありません。偏斜照明+深度合成です。

同じ画像からの切り出しです。

円筒の側面(帯面)。偏斜+深度合成です。

上の画像からの切り出しで、亀甲模様の上にさらに細かな網目模様が重なっているのが見えます。

これは合成に使った画像の1枚ですが、よく見ると亀甲模様と細かい網目模様ではピントの合う位置が少しずれています。円筒の面は画面右に向かって高くなっているので、網目模様は亀甲模様より外側にあるということでしょう。

(2021.11.16・西舞子海岸にて採集)

2021年12月31日金曜日

プレウロシグマ(メガネケイソウ)

 海の珪藻、プレウロシグマ Pleurosigma の一種です。ゆっくりと動いていましたが、止まったところを見計らってスタック撮影しました。

生体でも暗視野で見ると結構綺麗なものです。殻長は370µmほどで、以前に出したものよりかなり大型です。

同じ画像からの切り出しです。

(2021.11.16・西舞子海岸にて採集)

2021年12月30日木曜日

MWS バルバドス産放散虫標本

以前から是非1枚我が家にも、と願っていたミクロワールドサービスさんのバルバドス産放散虫プレパラートを、先日の年末セールで初めて購入することができました。「ニセ散布スライド」というものですが、化石放散虫の骨格がびっしりと敷き詰められたとても美しい標本で、特に中低倍率の暗視野では素晴らしい眺めです。見ているだけでも楽しいものですが、ここ2、3日はMWSさんの「本日の画像」をお手本にあれこれ照明を工夫しながらせっせと撮影していました。なかなかなお手本のようにはいきませんが、普段生きた物ばかり相手にしていると時間に追われる場面が多いので、こんなふうにじっくり腰を据えて撮影出来るというのもいいものです。次に作例を何枚かお見せしますが、なにしろ封入されている数が膨大なので、楽しみは尽きません。

全景です。


暗視野。こちらを使っています。

透過明視野+上方からストロボ光。

透過明視野+深度合成。

偏斜照明+深度合成。

2021年12月9日木曜日

キートセロス属2種(Chaetoceros spp.)

 代表的な海の浮遊珪藻、キートセロス(キートケロス、ツノケイソウ)属の2種です。以前のブログでも同じようなものを出していますが、今回は深度合成しました。それぞれ暗視野と偏斜照明で撮影しましたが、きれいに仕上げるのは難しいですね。





(2021.11.16・西舞子海岸にて採集)

2021年12月8日水曜日

リゾソレニア属2種(Rhizosolenia spp.)

 リゾソレニア属 Rhizosolenia の珪藻を二つ。先月出した ?robusta と違って、ツツガタケイソウの和名通りの形をしています。どちらも深度合成画像です。

これはこちらにちょっと似ています。

こちらは2細胞がつながっています。両端が針のように細長く伸びて画面からはみ出しそうです。

同じ画像から中央部の拡大。接続部を覆う被殻が出来ているようです。

(2021.11.16・西舞子海岸にて採集)

2021年12月6日月曜日

叉肢が美しいオイトナ属の一種(Oithona sp.)

カイアシ類のオイトナ属 Oithona は昨年にも出していますが、これは別種のようで、ちょっと豪華な叉肢をもっています。過去の画像を探してみると、以前のブログで5年前に出したものと同じもののようですが、今回は深度合成しました。

なぜか片方の第一触角を二枚貝の幼生がしっかり咥えこんで放しません。動きが止まったところを見計らって、適当にピントを送りながら連写モードで手早く撮影しました。消化管だけはずっと動いていたので、そのあたりはぼやけています。


1枚目からの切り出しです。

(2021.11.16・西舞子海岸にて採集)

2021年12月4日土曜日

スチコロンケ(の殻?)

 スチコロンケ(Sticholonche zanclea)は現在では放散虫に含められるそうです。以前にも掲載していますが、ピントの浅い画像で全体像を見せるのには大変都合の悪い形をしています。今回は採集したサンプルの中に内容物がほとんど抜けて殻だけになったようなものを見つけたので、バラバラにならない程度にカバーガラスで軽く押しつぶし、深度合成撮影をしてみました。

まず暗視野で。放射状に伸びる針のような骨片の束がいくつも見えますが、このような束が細胞全体では14個あるそうです。

明視野でも撮りました。

これは偏斜照明。針状骨片の基部は鏃のような形です。

(2021.11.16・西舞子海岸にて採集)

2021年12月1日水曜日

オヨギソコミジンコの一種(Microsetella sp.)

近所の海で普通に採れる細長いカイアシ類で、オヨギソコミジンコ (Microsetella 属)の一種だと思います。多数の種があるのだろうと思いますが岩国市立ミクロ生物館監修の「日本の海産プランクトン図鑑」で紹介されている Microsetella norvegica の画像がよく似ていて、本州中南部では秋に多くなる、という点も一致するのでこの種かも知れません。
カバーガラスの下に閉じ込めるとしばらくは暴れまわっていましたが、やがて動きを止めたので明・暗視野で深度合成撮影しました。内蔵(消化管)だけは撮影中も盛んに前後に動いていましたが、画像にはあまり影響しなかったようです。



(2021.11.16・西舞子海岸にて採集)

2021年11月23日火曜日

リゾソレニアの一種(Rhizosolenia ?robusta)

大型の珪藻ですが、船型というか、ミカンの皮かタマネギの一片のような独特の形をしていて、初めて見た時はもっと大きな珪藻の破片かと思いました。実体顕微鏡暗視野ではきれいな青色に光って見えます。リゾソレニア(ツツガタケイソウ)の一種で、手持ちの図鑑やネット上の画像を調べた限りでは Rhizosolenia robusta という種に一致しますが、近縁の別種なのかもしれません。厚みがあってごく一部にしかピントが合わないので深度合成してみましたが、そのためかえって立体像が想像し難くなったようでもあります。
写真は2つの細胞をそれぞれ暗視野と明視野で撮ったものですが、最初のものは(船の形に例えるなら)船底をスライドガラスにつけた状態、2番目はやや横倒しになった状態ということになります。





(2021.11.16・西舞子海岸にて採集)