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2024年11月15日金曜日

クロフチャタテ科 Aaroniella sp.

 久しぶりに見つけたクロフチャタテ科 Aaroniella 属の一種です。エノキの幹に1匹づつ、お互いにかなり離れて静止していました。同じように木の幹に住むチャタテでもイダテンチャタテなどは近づくと逃げ回るのですぐ目につきますが、このクロフチャタテの仲間はほとんど動かず、樹皮に溶け込む体色ともあいまってなかなか見つけにくいチャタテです。季節のせいか、この日見たのはすべて成虫でした。写真はそれぞれ別個体です。

頭上には縦横に粗く糸を張っています。イダテンチャタテでも若齢幼虫は同じように糸を張りますが、成虫でそれが見られるのは、このあたりの樹幹で見つかるチャタテではこの種だけだと思います。特に多数が群れているところではそれが天幕のようになって、光の加減でうっすらと光って所在が知れることがあります。


頭の先から翅の先まで約3mmです。

(2024.11.07・明石公園)

2024年6月27日木曜日

イダテンチャタテの羽化

 芝生の広場の真ん中に立ったヤマモモの、ほぼ水平に伸びた太い枝の下面でイダテンチャタテ Idatenopsocus orientaris が羽化していました。このチャタテとはずいぶん長いお付き合いですが、羽化の様子を見せてくれるのはこれが初めてです。胸くらいの高さの枝なので撮影はかなり苦しい姿勢になり、おまけに雨の降りそうな空模様で枝の下面は非常に暗くピンボケを量産しましたが、一応翅が伸びきるまで撮影を続けました。最初のカットから最後まで所要時間は約25分です。




古い殻から出るとお腹が縮んでいきます。

撮影している影響か、何度も体の向きを変えていました。




翅の伸びた姿を見ると♂のようです。まだ体色が整いませんが、このあたりで切り上げました。

(2024.06.20・明石公園)






2024年3月17日日曜日

ムツテンチャタテ属の一種?の幼虫

体じゅうに地衣のかけらや砂粒をくっつけたチャタテ幼虫です。多分ムツテンチャタテ属 Trichadenotecnum の一種だと思いますが、このように体にゴミを纏うのは他の属にも多いらしいので、別属かもしれません。モチノキの幹にいました。
ゴミをくっつけるのは外敵から身を隠すためだと思いますが、以前に一度、よく似た幼虫の脱皮を見たことがあります。古い皮と一緒にゴミも全部脱ぎ捨ててまた一から集めてくるのかと思えば、脱皮前にくっついていたゴミのうちかなりの割合が新しい体表にうまい具合に引き継がれるのを見て感心してしまいました。
ムツテンチャタテ属の成虫は、こちらこちらこちらに出しています。




持ち帰ってスタック撮影しました。倍率を変えながらたくさん撮ったので、あまり意味もありませんが全部出しておきます。


たくさんのゴミを身にまとった様子を撮りたかったのですが、持ち帰る間にかなり落ちてしまいました。


背面には先端が球(粘球?)になった毛が多数生えています。












口部のアップです。

こちらは腹端。

(2024.03.11・明石公園)


2024年3月1日金曜日

ウスイロチャタテ科 Ectopsocus sp.

 枝についたまま枯れたヤブニッケイの枯葉を1枚づつ捲っていると、このチャタテが何匹も出てきました。こちらと同じ、ウスイロチャタテ科の Ectopsocus 属の一種だと思います。ただし、翅脈の末端の斑紋がこちらの方はかなり薄いので別種かもしれません。


翅端まで約2.9mm、体長約1.6mmです。


腹部が貧弱なので♂だと思います。

顔つきは雌雄であまり変わりがないようです。

別の葉にいた個体ですが、これも♂のようです。

(2023.12.28・明石公園)


2023年7月22日土曜日

マダラニセケチャタテ♂?

 これはマダラニセケチャタテ Pseudocaecilius maculosus だと思います。サクラの葉の裏で、粗く縦横に糸をかけてその下でじっとしていました。以前のブログでも2度(2011.10.13,2012.01.05)出していますが、今回は複眼が大きいので♂でしょう。体長約2.1mm、翅端まで3mmです。


よく見ると右前翅の翅脈がちょっと変です。

反対の左前翅にも、別の部分に異常があります。
このような翅脈異常は以前にもヨツモンホソチャタテで見たことがあって、チャタテムシ類では珍しくないことなのかも知れません。


(2023.07.21・明石公園)


2023年3月1日水曜日

コナチャタテ科 Embidopsocus sp.

 これまでに何度も掲載しているコナチャタテ科 Embidopsocus 属の一種です。いつもの公園の一角にある数本のアキニレの樹皮を捲ると必ず見られたものですが、3年前の記事以来その存在を忘れていました。
久しぶりに探してみると、体長1.6mm前後の成虫からその半分くらいの幼虫までたくさんいました。ただサイズから成虫と見られる個体も多くがまだ白っぽく、本来の体色の出ているものは数えるほどです。樹皮下という環境のせいもあるのかも知れません。
この Embidopsocus はコナチャタテ科の中でも、より原始的な特徴を残し他グループだそうです(こちらの記事への psocodea さんのコメント)。






(2023.02.22・明石公園)

2023年1月12日木曜日

葉裏で羽化したケチャタテの一種

 ネズミモチの葉の裏でケチャタテの一種が羽化していました。以前のブログにも12月1月にこの仲間が羽化する様子を出していますが、チャタテに限らずこういう小さな虫は寒い冬の間も平気で活動しているものが多い気がします。

見つけた時にはすでに脱皮殻から離れて翅が伸び始めていました。


1枚目から約5分後。

さらに15分後。翅が伸びきるにはまだまだ時間がかかりそうなのでここで切り上げました。

(2023.01.05・明石公園)

2022年8月28日日曜日

ビロウドチャタテ科の一種(?Echmepteryx sp.)

 モチノキの幹にいたビロウドチャタテ科 Lepidopsidae の一種です。現場では初めて見る種のような気がして念のため採集して帰ったのですが、よく見ると以前のブログに出したものと同じものでした。その時には psocodea さんから、「この種はまだ日本から記録の無い物ですが,割と良くとれています。北米にいる Echmepteryx hageni と同種か,極めて近縁な種と考えています」というコメントをいただいています。その種名で検索すると海外サイトの画像がたくさんでてきますが、確かに写真だけでは見分けがつきません。折角持ち帰ったのでスタック撮影もしてみました。



右の触角そ先が切れています。以下はスタック撮影です。






鱗粉はササの葉かナイフのような形です。

(2022.8.11・明石公園)