2022年12月31日土曜日

共生藻を持ったディディニウム

 ディディニウム(Didinium)は以前のブログにも一度出していますが、特徴的な形をした繊毛虫です。ゾウリムシ類を捕食するそうですが、その現場はまだ見たことがありません。

前回、今回ともに細胞内に緑色の粒が多数含まれているのが見えますが、これは共生藻類ではないかと思っています。

円筒形の細胞の前縁付近と中央付近を繊毛列が取り巻いています。

シャーレの中を自由に泳ぎ回っている状態では細胞の直径と長さがだいたい同じくらいに見えるのですが、プレパラートに封じると段々と後端部(上の画像では左側)が伸びてきて細長くなってきます。


動画です。


(2022.12.21・明石公園桜堀にて採集)

2022年12月30日金曜日

越冬前?のクスベニヒラタカスミカメ

 モチノキの幹で、頭を下に向けてじっとしているクスベニヒラタカスミカメ Mansoniella cinnamomi がいました。このカメムシは卵越冬とされていますが、昨年も10月末に幼虫を見ていて、ずいぶん遅くまで活動している印象があります。こちらの資料によれば2月に成虫が確認された例もあり、成虫でも越冬している可能性があるようです。この公園でも冬を越した成虫が、探せば見つかるかもしれません。




(2022.12.21・明石公園)

2022年12月28日水曜日

落ち葉の間で越冬するサビヒョウタンナガカメムシ

 キリの幼木の下に積もった落ち葉をかき分けるとサビヒョウタンナガカメムシ Horridipamera inconspicua の成虫や幼虫がたくさん出てきました。しかし乾燥して丸まった枯葉を片手で拡げながらピントを合わせるのは難しく、カメムシたちもあまりじっとしていてくれません。結局、撮影できたのは下の3匹だけでした。以前のブログでも海岸の石の下で越冬していた成虫を出しています。

成虫の体長は5.5mmくらいです。

約4.5mmの幼虫。

こちらは約3mm。

(2022.12.09・明石公園)

2022年12月27日火曜日

トビコバチ科 Metaphycus sp.

 白黒に色分けされた触角が印象的なトビコバチです。初見の種かと思っていたのですが、帰宅して調べてみると以前のブログに Metaphycus sp. として出していました。おそらく同種でしょう。北隆館の大図鑑に掲載されているタマカタカイガラトビコバチ M. dispar と同属で、この属は全てカタカイガラムシ科に寄生するそうです。すぐに歩きはじめてじっくり撮れないので持ち帰ってスタック撮影をしようと思ったのですが、逃げられました。体長約1.4mmです。





(2022.12.16・明石公園)

2022年12月26日月曜日

ヒメバチ科の一種

 ヤツデの葉裏に、腹部をぶら下げてとまっていた小型のハチです。ヒメバチ科 Icheumonidae だと思いますが、その先は分かりません。先日そらさんのところに掲載されていた種によく似ていて、同種かも知れません。






(2022.12.16・明石公園)

2022年12月24日土曜日

オナガコバチ科の一種・♂

 トウネズミモチの葉裏で見つけたコバチです。ちょうど園内のクロガネモチの実からニッポンオナガコバチ Macrodasyceras japonicum の♀が羽化してくる季節なので、その♂の小型個体だろうと思っったのですが、カメラを向けてみると別種でした。背面が緑金色に輝くきれいな種ですが、オナガコバチ科 Torymidae の♂には違いなさそうです。歩き回って上手く撮れないので、逃げられないうちにフィルムケースに放り込みました。




以下、深度合成画像です。

絡み合った脚を拡げることはあきらめました。腹端から生時には見えなかった針状の器官が突き出していますが、おそらく交尾器でしょう。こちらの♂にも同様のものが見えます。








(2022.12.16・明石公園)

2022年12月22日木曜日

ケブカカスミカメ

 冬場に成虫が見られるカメムシはたくさんいますが、これもその一つ、ケブカカスミカメ Tinginotum perlatum です。モチノキの幹にで頭を下に向けてじっとしていました。調べてみると、以前のブログでちょうど10年前に出して以来の登場です。




(2022.12.21・明石公園)

2022年12月20日火曜日

ヒメコバチ科 Pediobius sp.(深度合成)

 3月に Pediobius atamiensis の深度合成画像を出しましたが、これは同じ Pediobius 属の別種です。過去のブログ記事を探してみるとこちらの2番目に似ていますが、背面の彫刻は一致しません。ただ、以前のBABAさんの記事に「P.crassicornis や P. atamiensisは中胸盾板と小盾板との間に三日月型のすきまがあるのが特徴」という上條先生からのコメントが紹介されていて、5枚目の画像でもその特徴が認められることから、そのあたりに近縁な種であることは間違いないと思います。アラカシの葉裏にいたのを採集しました。


美しいコバチですが、細かなゴミがたくさん、とり切れずに残っているのが残念です。






(2022.12.03・明石公園)








2022年12月18日日曜日

交尾中のクロスジフユエダシャク

 先日の記事にもフユシャクの♀にはなかなかお目にかかれないと書いたばかりですが、この日初めて、交尾中のペアを撮影することが出来ました。たまたま出会って一緒に歩いていた、このあたりの昆虫には誰よりも詳しいFさんが見つけられたのですが、飛んできた♂が落ち葉の間に潜り込むのを目で追っていくとそこに♀がいて、そのまま交尾が始まったそうです。見ると、先日の♂と同じクロスジフユエダシャク Pachyerannis obliquaria でした。過去のフユシャクの♀を見たわずかな例ではどれも木の幹にいたので、このように落ち葉の間に隠れているとは想定していませんでした。探しても見つからなかったはずです。


乗っていた枯葉ごと撮影しやすい場所に移動しましたが、そのまま交尾を続けています。


♀の体長は約12mm。♂よりはるかに大柄です。

♀の顔。

こちらが♂で、触角が櫛状です。

撮影している間にすぐそばでもう一組、交尾を始めました。やはり♂の動きを見ていたFさんが見つけられたものです。

これも同じクロスジフユエダシャクです。

♀は最初のものよりやや小型で、体長10mmくらい。
これらの♀は交尾の後、産卵のために幼虫の口に合う樹木を探しに行くものと思われますが、翅のない♀にとっては大仕事でしょう。この次はその産卵場面を見たいものです。

(2022.12.16・明石公園)

2022年12月17日土曜日

ヤドリノミゾウムシ(深度合成)

 前回の記事のクロハナカメムシと一緒に採集していた、同じくケヤキの樹皮下では常連のヤドリノミゾウムシ Orchestes (Orchestes) hustachei です。





(2022.11.18・神戸市西区伊川にて採集)