2023年8月31日木曜日

ヨシブエナガキクイムシ(タイトル修正)

* 2023.09.29・タイトル修正 *

タイトルが「ヨシブエナガクチキムシ」になっていると、Aclerisさんからご指摘をいただきましたので、「ヨシブエナガキクイムシ」に修正しました。

前回の記事のヒメクチキムシダマシと同じアベマキの幹を歩いていたナガキクイムシの仲間です。ほとんど止まらないので背面の写真しか撮れませんでした。最近よく見かけるカシノナガキクイムシより細長い体型で、調べてみると以前にも出したヨシブエナガキクイムシ Platypus calamus のようです。前回は上翅先端の突起が目立つ♂でしたが、今回のは♀でしょう。体長は約3.7mmです。




3枚目から一部を拡大しました。前胸背板の後ろ寄りに細かな点刻が集まっていますが、これは胞子貯蔵器官です。この穴の中に菌類の胞子を入れて運び、穿孔した樹木の中で繁殖させ、それを食料とするそうです。ナガキクイムシ科に共通する特徴ですが、この穴の大きさや配列は種によって異なるそうで、以前撮影したカシノナガキクイムシにはもっと大きな穴が並んでいました。

(2023.08.22・明石公園)


2023年8月29日火曜日

ヒメクチキムシダマシ

 大量の樹液を流してたくさんのスズメバチやハナムグリを集めているアベマキで、そんな虫には目もくれず小さなケシキスイやキクイムシを追いかけていると、こんな小甲虫が見つかりました。大きな複眼や翅の模様には覚えがあって、たしか以前にも撮影しているはずだと思って調べてみるとこちらの記事が出てきました。クチキムシダマシ科のヒメクチキムシダマシ Elacatis ocularis。4年ぶりの再会ですが、前回はちょっとした山の上、今回はいつもの街なか公園です。図鑑には枯木性とあって、前回も倒木の上で見つけているので樹液目当てに来たわけではないのかも知れません。体長は約4mmで前回よりやや大型です。大あごをもぐもぐ動かしながらじっとしていましたが、撮影中にあたりを駆け回っていたハナムグリに蹴散らされて消えてしまいました。



触角が片方ありません。

(2023.08.22・明石公園)


2023年8月28日月曜日

産卵管を刺したまま死んだヒラアシキバチ

 先日掲載したヒラアシキバチの産卵を見たその3日後、同じ場所を訪れると産卵中のハチの姿はなく、かわりに産卵管を突き刺したまま死んだ遺骸が3つ残っていました。これらがすべて先日の3匹と同じ個体だという証拠はありませんが、おそらく同じでしょう。少なくとも3枚目の頭部のない遺骸は、足元の樹皮の状態から見て前回の記事の3枚目の個体と同じ場所に産卵管を刺しています。
このような光景は以前にも何度か見ていますが、他のキバチ類も含めて珍しいことではないようです。その理由については産卵後、力尽きてそのまま死んでしまうらしいというような説明もあって、確かに1・2枚目などを見ると捕食者に襲われたような形跡もありませんが、実際のところはよく分かっていないのではないかと思います。
まだ頭部の残っている2匹の遺骸にもすでに多数のハリブトシリアゲアリが集まっていましたが、虫仲間の話ではこの翌日には3匹とも、産卵管を含む腹部の皮だけしか残っていなかったそうです。




翌日には3つの遺骸すべて、このような状態になっていたそうです(これは3匹の産卵中にはすでにあったものです。)

(2023.08.25・明石公園)

2023年8月26日土曜日

久しぶりのヒラアシキバチ

 いつもの虫仲間からヒラアシキバチ Tremex longicollis が産卵中、という情報を貰ったので早速見に行きました。場所は先日の記事と同じ立ち枯れのエノキで、3匹が産卵中です。このハチを初めて見たのは30年ほど前ですが、そのころにはこの公園にも同じようなエノキの立ち枯れがあちこちにあって、このハチや、それを寄主とする大型のオナガバチも毎年どこかで見られたものでした。ところが近年はその資源がとみに少なくなってしまったので、このヒラアシキバチの産卵を見るのも数年ぶりです。
最初の2匹は頭部や胸部に木の粉を一杯つけていて、羽化して間もないようです。以前には幹から脱出してきた個体がそのまま同じ木に産卵を始めるのを見たことがあったので、これらの♀もこの木から羽化してきたばかりなのかも知れません。



薄暗い林の中の撮影で、ストロボは焚いていますが低速シャッターのせいで妙な具合にブレています。

(2023.08.22・明石公園)

2023年8月25日金曜日

ウチワミミズ属の一種?(?Dero sp.)

 池の水を底の泥や水草などと一緒に掬うとよく入ってくる、ミズミミズ(Naididae)の一種です。普段ワムシや原生動物に気をとられてこういう巨大な奴は無視していることが多いのですが、他に面白いものも見つからないので拾い上げて撮影してみました。後端部に手のひらのような鰓突起があるのでウチワミミズ属(Dero)ではないかと思っていますが、よく似たスエヒロミミズ属(Aulophorus)というのもあるそうなのでそっちの方かも知れません。

これはカバーガラスの下に厚さ0.7mmほどのスペーサーを挟んで閉じ込めたもの。空間に少し余裕があるので跳ね回るように激しく運動します。2Xの対物レンズですが、体長が15mmほどもあるのでこんなふうに円くなった瞬間を捉えないと画面に収まりません。

動画です。


次は別個体。

今度はスペーサーを0.3mm厚のものに替えて動きを抑えています。

頭部です。


後端部の鰓突起。

後端から1/3くらいのところまでの体節から長い毛が生えています。


動画をもう1本。


(2023.08.08・明石公園の池で採集)


2023年8月22日火曜日

ネコゼミジンコの一種(Ceriodaphnia sp.)

 台風一過の後も相変わらずの猛暑が続いております。
ここいらで涼しげに泳ぐミジンコたちでもご覧ください。

殻をおおう亀甲模様のせいか、一部では人気があるようで、特に海外サイトではこのミジンコの美しい深度合成画像をよく目にします。



動画です。



(2023.08.08・明石公園の池にて採集)

2023年8月18日金曜日

アシナガオニゾウムシを狙うヨコヅナサシガメ幼虫

 ヤノトラカミキリがいると言って虫仲間に案内して貰ったエノキの幹で見た光景。
ヨコヅナサシガメの若齢幼虫が、♀のアシナガオニゾウムシの背中に口吻の先をつけていました。捕食中かと思ってよく見れば、口吻は刺さっているわけではなく、ゾウムシも何事もないように少しづつ移動しながら樹皮を齧っている様子です。やがてサシガメは、刺点を探すようにじわじわと口吻を動かして行き、ゾウムシのお尻のあたりまできましたが、隙が見つからないのか、攻撃に移りません。しばらく成り行きを見ていましたが、長期戦になりそうなのであきらめて引き揚げました。ゾウムシはサシガメに気づいていないのか、気づいていても脅威を感じないのか、どうなんでしょうか。そういえば以前にこんな光景を撮っていました。
因みに目当てのヤノトラカミキリは、頭上高い場所にいて降りてきてはくれませんでした。




(2023.08.12・明石公園)

2023年8月17日木曜日

葉の上に立つ蛾の蛹の抜け殻

 アメリカセンダングサの葉の先に、ハマキガ類でしょうか、小さな蛾の蛹の抜け殻が直立していました。足元の葉が2枚綴られているので、その間で蛹化していたんだろうと思いますが、その脱け殻がこんなふうに葉の上に突っ立っているのはちょっと奇妙です。蛹は自力で移動できないでしょうから、想像するに、羽化の際に半分身を乗り出した成虫が、蛹殻を引き摺ったまま葉の上に出てきたということでしょうか。機会があれば、一度羽化の様子を見たいものです。




(2023.08.12・明石公園)


2023年8月15日火曜日

ウスグモスズ

 先日そらさんのところにも登場したウスグモスズ Amusurugus genji です。モチノキの幹にたくさんいましたが、そらさんも書いておられたようにとても地味で目立たない虫なので、日陰の樹幹になどにいるのは注意して見ていないと気がつきません。個体数はかなり多いはずですが、なぜか昨年はほとんど見かけなかったように思います。年により変動が大きいのかも知れません。

触角が長くて細いので、薄暗い場所ではファインダーを覗いていてもどこまで伸びているのよく見えません。

産卵管がないので♂だと分かりますが、発声器官がないので翅をみても雌雄の区別がつきません。

翅の短い♂です。

♀もいました。

これも別個体ですが、雌雄の別は確認していません。ただ以前に撮りくらべてみたところでは、♂も♀も顔立ちに特に違いはないようです。

触角のお手入れ。

とげとげの脚。

(2023.08.12・明石公園)

2023年8月13日日曜日

キバラヘリカメムシ 成虫・卵・孵化幼虫

 久しぶりにキバラヘリカメムシがたくさん集まっているとの情報を貰って、公園のニシキギを見に行きました。

知らせを受けてから2,3日過ぎていたせいか数は多くなかったものの、ニシキギの果実を吸汁している成虫がちらほら。

卵も数カ所で見つかりました。

長さ1.3mm前後の美しい卵です。孵化の際は色の薄い側に穴を開けて出てくるんだろうと思います。

8日後に見に行くと、卵塊の一つで孵化が始まっていました。

1齢幼虫は体長2.3mm前後。この卵殻から出てきたとは思えない大きさなのは、こちらこちらと同じです。

上の写真にもちょっと写っていますが、他に比べて小型の幼虫が何匹か混じっていました。頭部や胸部、脚や触角は周りの連中とあまり変わらず、腹部だけ委縮したように見えます。

腹部の大きさが中間的な個体も見えるので、もしかしたら孵化後、葉からの吸汁によって腹部が膨らんでいく途中なのかとも思われます。卵殻から出てくる段階から観察できれば確認できることですが、そういう機会にはなかなか恵まれません。
2年前にマサキで見た2齢幼虫や、2齢への脱皮の様子はこちら、羽化はこちらに出しています。

(2023.08.04,08.12・明石公園)


2023年8月6日日曜日

オダカグモの子どもたち

 先日出したばかりのオダカグモですが、産卵の季節に入ったようで、あちこちの葉裏で卵嚢を守る母グモの姿が見られました。その様子は以前にも出しているので、今回の写真はイスノキの葉裏で早々に孵化していた子グモたちと母グモです。

卵嚢の名残りが見えませんが、脱落したんでしょうか。子グモもすでにある程度分散してしまったようで、孵化後だいぶ時間が経っているのかも知れません


母グモは、警戒すると体を横倒しにしてしまいます。


子グモの体長は0.8mm前後で、独特の腹部の形もまだ現れていません。

(2023.08.04・明石公園)


2023年8月2日水曜日

アオマツムシの幼虫

 イタドリの葉の上にいたアオマツムシ Truljalia hibinonis の幼虫です。
レンズを近づけるとうろうろと逃げ回るのですが、あまり遠くにも行かず、ときどき立ち止まっては触角のお手入れをしていました。





(2023.07.24・舞子墓園)