2025年11月25日火曜日

久しぶりのイスノキモンオナガコバチ

 撮影からだいぶ日が経ってしまいましたが、以前から注意しているイスノキの実に、イスノキモンオナガバチ Megastigmus distylii の♂が集まっていました。この実に産卵しその中で育つ種で、一足先に羽化した♂たちが♀の誕生を待っているのです。2010年に初めて見て以来、毎年この時期になると探すのですが、こんなふうに♂が集まって♀を待つ様子を見るのは2014年以来11年ぶりのことです。
公園のこの一角には数本のイスノキがあって、毎年たくさんの実をつけるのですが、その実の大多数がタマバエ(おそらくイスノキハリオタマバエ)の寄生を受けてイスノキミコガタフシと呼ばれる虫こぶになり、正常に大きくなりません。
このハチの産卵は以前、7月末8月初めに見ていますが、そのころには産卵に適した正常な実はほとんど残っていないことになります。同じような生態を持つ、クロガネモチなどに寄生するニッポンオナガコバチのように毎年大量に発生することがないのはこのタマバエとの競合に負けてしまうせいではないかと思っています。ただ年によってタマバエによる寄生率にも多少の変動があるので、今年は例年より寄生を免れた実が少し多く残っていたのかも知れません。それでもこの日、ざっと見て回ったところでは正常に大きくなった実は数十個に1個程度でした。
この時期羽化した♀はそのまま越冬するものと想像していますが、実際に冬場に確認したのは一度だけです。

大きな実の一つに♂バチが集まって♀の羽化を待っています。同じ枝についた他の実はすべてタマバエの寄生により矮小化しています。

これは別の実。♂たちはときどき、互いに翅を立てて威嚇しあいます。

♀の顔が覗いています。♂バチたちはこの段階になると、撮影のために枝をつまんだくらいでは逃げることもありません。



♀が出てきました。


♀の背中に回り込みます。


ハチの動きについていけずピンボケ続出ですが・・・。

♀は触角に残った蛹殻を前脚でしごいて落としています。


どうにか♀の産卵管が見えます。この後、2匹一緒に飛び去ってしまいました。

(2025.11.14・明石公園)

2025年11月11日火曜日

アオオニグモと巣

 木の枝の間に、きれいな円いクモの巣があるのに主の姿が見えない、という時には、近くの葉の隠れ家にアオオニグモ Araneus pentagrammicus が潜んでいる場合があります。巣網は完全な円網ではなく円周の一部が欠けたいわゆるキレ網ですが、その中心から1本の「呼び糸」が、隠れ家のクモまで伸びています。獲物が網にかかると、その振動がクモに伝わり、隠れ家から飛び出してくるという寸法です。

「呼び糸」がよく見えるように、ストロボを真横に置いて撮りました。


同属のビジョオニグモ A. mitificus にも同様の習性がありますが、明石公園では多くないようです。

(2025.10.28・明石公園)



2025年11月6日木曜日

ハラビロカマキリの卵嚢に産卵するオナガアシブトコバチ

 アラカシの枝にハラビロカマキリの卵嚢が見えたので近づいてよく見ると、以前から探していたオナガアシブトコバチが産卵していました。このハチの産卵を見るのはこれでやっと3度目、実に15年ぶりです。大喜びで撮りはじめましたが、数枚撮るうちに産卵管を抜いてしまい、その後は卵嚢の周りからは離れないものの、産卵行動は見られませんでした。
以前に見たこのハチの産卵は2007年5月2010年6月で、この季節に見るのは初めてです。年1化のカマキリの卵に寄生するのに半年も間を置いて2度も産卵するというのはちょっと不思議ですが、「昆蟲.ニューシリーズ」5 巻・2 号の「ヒメオナガアシブトコバチの寄主」という論文(こちらで見られます)に、オナガアシブトコバチの生活史が簡単に紹介されていました。それによると、越冬したカマキリ卵嚢から早春に羽化したハチ成虫が、 寄主がふ化する前のカマキリの卵嚢に産卵し、その第1 世代成虫と世代を繰り返した第2 世代の成虫が夏を越し,秋になって新たに産み付けられたマキリの卵嚢に産卵するという年2 〜3 化の生活史を送ると考えられている、ということです。この場合の寄主はチョウセンカマキリとオオカマキリですが、ハラビロでも同じなのではないかと思います。
15年前、このハチの産卵を2度目に見た時には、実際の産卵を確認したのは最初の4日間だけでしたが、その後も1週間以上カマキリの卵嚢の上に留まっていました。今回も3日後、4日後、8日後にもハチが卵嚢の上にいるのを確認しましたが、産卵行動は見られませんでした。このように長い間留まっている理由としては、寄主卵の状態が産卵に適した状態になるのを待っているのか、あるいはハチの方で次に産み付けるべき卵がまだ成熟していないのか、または同種の♀が産卵するのを防ぐためか、などと想像しますが、2007年に見た時には3匹が同じ卵嚢に同時に産卵していたので、最後の推測は除外できるかもしれません。

見つけた時はすでに産卵管がほぼ付け根まで寄主卵嚢に挿入されていて、外に残った産卵管鞘が輪を描いています。

産卵管を抜いた後も卵嚢の近くを離れませんでした。

4日後。

8日後になってもまだ留まっていましたが、やはり産卵行動は見られず。

(2025.10.24-11.01・明石公園)

2025年11月1日土曜日

ニシキギのキバラヘリカメムシ

 毎年公園内のどこかのマサキかニシキギで見られるキバラヘリカメムシですが、集まる木は年によって変わっていきます。多分実のつき具合などの違いが影響するんでしょうが、どこに現れるかなかなか予測がつきません。今年もこれまでごく散発的にしか見ていなかったのですが、一か所のニシキギで多数発生しているとの情報を虫仲間からいただきました。早速見に行けば、多数の成虫・幼虫が集まり、とても賑わっています。ごく最近にも何度か前を通っていたはずなのですが、全く気づきませんでした。






羽化直後の成虫もいました。

(2025.10.24・明石公園)

2025年10月28日火曜日

甘露をもらうキイロシリアゲアリ

 アベマキの葉の裏で、ポツンと1匹だけのアブラムシに数匹のキイロシリアゲアリ Crematogaster osakensis が集まっていました。アブラムシはおそらくクヌギトゲマダラアブラムシ Tuberculatus capitatus の幼虫で、以前のブログの記事と同じ組み合わせです。アブラムシが排出する甘露をアリが受けとる瞬間を撮りたくて、しばらく粘ってみました。
甘露の球が現れるタイミングは、直前にアブラムシが少しお尻を持ち上げるので分かりやすいのですが、アリがすかさず吸い取ってしまうのでシャッターが遅れたり、ピントが外れたり、他のアリが邪魔をしたりと、なかなか思い通りには撮れませんでした。











(2025.10.15・明石公園)


2025年10月27日月曜日

チョウセンハナボタルの雌雄

 サクラなどの葉裏を見上げて歩いていると時々見つかる甲虫で、以前のブログでは疑問符付きでチョウセンハナボタル Plateros koreanus としましたが、多分これで合っていると思います。交尾中のペアで、ポロリと落ちるかな、と思いながら葉をつまんで引き下ろすと、意外にじっとしていてくれました。体長は♂が約5mm、♀が約5.8mmくらいですが、触角は節数は同じですが♂の方がやや細くて長いようです。







(2025.10.15・明石公園)



2025年10月25日土曜日

ルリシジミの幼虫

 このところまた更新を怠けていて、2週間以上前に撮ったものを今頃出しています。先日のウラギンシジミの幼虫の時と同じ虫仲間に、今度はルリシジミの幼虫の居場所を教えてもらいました。


ルリシジミの幼虫はいろんな植物の花や蕾を食べるそうですが、マメ科は特に好まれるようで、この日見たのもハギでした。葉の裏でじっとしていたこの幼虫は体長約9mmです。体表は細かな毛におおわれていて、触り心地がよさそうです。

緑色のこの幼虫は食事中でしょうか。体長は同じく約9mm。多数のアミメアリが集まっています。シジミチョウ類の幼虫はアリに餌としての甘露を与えるだけでなく、それに含まれる化学物質にはアリを長くとどまらせ、より攻撃的にするという効果があるそうです(こちら)。


これも大きさは同じくらいですが、ややピンクがかった体色です。ネット記事などでは周囲の色に体色を合わせて擬態するとか、食べたものの色に左右されるとか言われていますが、どちらにしても結果は同じかもしれませんね。

(2025.10.07・明石公園)