以前にはこの公園でも冬場に木の葉をめくって歩くといろいろなコバチ類が見つかったものですが、10年ばかり前からそれが急激に少なくなってしまいました。はじめの2~3年は年による変動くらいに思っていたのですが、以後毎年減り続ける一方で一向に回復の兆しはありません。もちろんコバチに限らずほとんどの昆虫が種数、個体数ともに減ってきているのですが、冬場の虫探しの大きな楽しみだっただけに全く残念です。
この ヒメコバチ科 Sympiesis hirticula Kamijo, 1976 も以前ならごく普通に見られたコバチの一つですが、この日見つけたのは久しぶりです。1枚のイスノキの葉の裏に6匹も集まっていたので、同じ寄主から羽化してきた兄弟姉妹ではないかと思いましたが、周囲を探してもそれらしい残骸は見つかりませんでした。
この種の特徴や判別点については、記載された上條先生からいただいたコメントがこちらの記事にあります。その記事に深度合成画像を載せた個体は♀と判定していただきましたが、BABAさんの記事では♂の深度合成画像が見られます。やはり上條先生からのコメントによれば、この種は腹部の形以外に外見上の雌雄差がほとんどないそうです。
2024年11月23日土曜日
ヒメコバチ科 Sympiesis hirticula
2024年11月20日水曜日
クモヘリカメムシ 越冬前?集団
先日も出したばかりのクモヘリカメムシですが、いつもの公園では今年は例年になく数が多かったような気がします。草むらを歩く足元から次々とび出してくるというような光景はさすがに11月に入るとあまり見られなくなりましたが、あちこちの木の葉の裏でじっとしているのが目につき、さらに写真のように多数の個体がクワの葉の間に集まっているのを見つけました。この場所でこのまま冬を越すわけではないと思いますが、これも越冬の準備かも知れません。
2024年11月18日月曜日
トゲナシミズアブ属の一種(Allognosta SP.)
銅色に輝く、体長16mmほどのミズアブ科の一種です。トウネズミモチの葉にとまっていました。翅脈や小楯板に棘がないことから、トゲナシミズアブ属(Allognosta)だと思います。翅がやや白濁していて翅脈の色も薄いので、羽化後間もない個体かも知れません。それでも、葉をつまんで正面から撮ろうとすると飛んで逃げて行ってしまいました。
2024年11月15日金曜日
クロフチャタテ科 Aaroniella sp.
久しぶりに見つけたクロフチャタテ科 Aaroniella 属の一種です。エノキの幹に1匹づつ、お互いにかなり離れて静止していました。同じように木の幹に住むチャタテでもイダテンチャタテなどは近づくと逃げ回るのですぐ目につきますが、このクロフチャタテの仲間はほとんど動かず、樹皮に溶け込む体色ともあいまってなかなか見つけにくいチャタテです。季節のせいか、この日見たのはすべて成虫でした。写真はそれぞれ別個体です。
頭上には縦横に粗く糸を張っています。イダテンチャタテでも若齢幼虫は同じように糸を張りますが、成虫でそれが見られるのは、このあたりの樹幹で見つかるチャタテではこの種だけだと思います。特に多数が群れているところではそれが天幕のようになって、光の加減でうっすらと光って所在が知れることがあります。2024年11月14日木曜日
ササの葉のスゴモリハダニ
2024年11月12日火曜日
ササの葉のヒメハダニカブリケシハネカクシ
スゴモリハダニ(Stigmaeopsis 属)に寄生されて独特の白い筋が入ったササの葉を、日の光に透かしてルーペで眺めていると、大きな黒い影が視野を横切っていきます。追いかけてよく見ると、ハダニ食いのヒメハダニカブリケシハネカクシ Oligota kashmirica でした。体長1.2mmばかりのハネカクシで、ササの葉で見たのは初めてです。お尻を上げた姿勢で葉面を歩き回るのを、捕食行動を期待してしばらく見ていましたが、それらしい場面を撮れたのは一度だけでした。レンズに追い回されて食事どころではなかったのかもしれません。撮影後、まわりの同じような白い斑入りのササの葉を調べるとかなり高い確率で見つかりました。
2024年11月10日日曜日
キボシチビヒラタムシ♂
絡み合ったクズの蔓をかき分けていると、ちょっと格好の良い甲虫が見つかりました。ヒラタムシの仲間で、体形はオオキバチビヒラタムシの♂に似ていますが、やや大きくて翅に目立つ紋があります。保育社の甲虫図鑑で調べると、オオキバとは別属のキボシチビヒラタムシ Laemophloeus submonilis でした。♂の前胸背板と頭部は幅広い、とあるのでこれも♂でしょう。普通は朽木や樹皮下で見つかる仲間なので、こんな場所にいたのが不思議です。体長は、大あごの先までで約4.5mmです。