2021年5月31日月曜日

ヒゲナガヒロクチバエ

毎年この季節になると姿を見せる大型のハエで、ヒゲナガヒロクチバエ Lamprophthalma japonica だと思います。以前のブログにも一度掲載していて、その時は参考にした「一寸のハエにも五分の大和魂・改」の画像に見られる翅の斑紋が見えないことから別種ではないかと考えたのですが、どうやら個体変異のようです。いつ見ても非常に動きの鈍いハエで、今回もとまっているイヌビワの葉をつまんで顔のアップを撮る間、逃げもせずじっとしていてくれました。体長は約11mmです。






(2021.05.26・明石公園)

2021年5月30日日曜日

コナラの葉を綴るアカバキリガ幼虫

 コナラの葉にせっせと糸をかけている芋虫がいました。いつもお世話になっている、YAMKENの明石の蛾達にあたってみると、アカバキリガ Orthosia carnipennis の幼虫のようです。葉を丸めて蛹化の準備に入っているところと見えるのでこれで終齢だと思ったのですが、YAMKENさんの記事によれば終齢では頭部が赤くなるらしく、この個体は亜終齢のようです。多分、無事に葉巻の中に落ち着いてから赤くなるんでしょうね。

芋虫がこういう仕事をしている時はちょっとでも枝葉に触れると固まってしまうので、風で揺れていたりすると撮影には結構難儀します。



ひとしきり糸を掛けた後奥の方へ移動していきます。

葉柄に近いあたりにも既に糸が張られていて、その作業を再開したようです。短時間見ていただけですが、おそらく2か所で交互に作業をして徐々に葉の両端を引き寄せていくのではないかと思います。

(2021.5.14・舞子墓園)

2021年5月29日土曜日

アメーバ(Amoeba ?proteus)

大型のアメーバです。おそらく以前のブログに出したものと同じ種で、どちらもAmoeba proteus だと思っていますが、実は多種との見分け方がよく分かりません。前回はDIC撮影だったので今回は位相差で。




中央の小判型で黒っぽいのが核だと思いますが、その左下の丸いのは何でしょうか。

動画です。


(2021.05.07・明石公園 藤見池にて採集)

2021年5月28日金曜日

ヒメマルカツオブシムシ

ピラカンサの花の上で交尾していたヒメマルカツオブシムシ Anthrenus verbasci です。




体格差の大きなカップルです。

(2021.05.15・明石公園)

2021年5月27日木曜日

獲物を捕えたアシナガバエの一種

イスノキでお馴染みのカタビロコバチを追いかけていた時、目の前の葉にアシナガバエ(Dolichopodidae)が飛んで来てとまったので見ると何か口に咥えています。慌ててカメラを向けましたが、予想通りストロボ一発で視界から消えてしまいました。

獲物は何かの幼虫でしょう。アシナガバエの仲間はストロボの閃光に敏感で、いつもならプレ発光で 飛んでしまい写真には何も写っていないということが多いのですが、今回は獲物が重かったのか一瞬飛ぶのが遅れたようです。

(2021.05.15・明石公園)

2021年5月26日水曜日

ゾウミジンコの筏

 いつもプランクトンを採集している池でときどき、特に春と秋に多いようですが、ゾウミジンコ(Bosmina sp.)が大量に発生することがあります。そんな時に採ってきた水をシャーレに入れてしばらく置いておくと、多数のゾウミジンコたちが水面に浮かび、お互いにくっつき合って筏のような状態になることがあります。平べったい体を寝かせるような姿勢で浮かんでいて、䚡脚をせっせと動かしているのを見ると水中の酸素が足りなくなっているのかも知れません。あるいは水温の上昇が原因でしょうか。シカクミジンコの仲間(Alona sp.)が仲間入りしていることもありますが、普通のミジンコ(Daphnia)がこんなふうに浮かんでいるのは見たことがありません。水をかき混ぜてやると水中に戻って泳ぎ始めますが、しばらく放置するとまた元のように浮かんでいます。自然状態でもこんな行動を見せることがあるのかどうか興味がありますが、何しろ小さいものなので見つけるのは難しそうです。





動画です。


(2021.05.11・明石公園 桜堀にて採集)


2021年5月25日火曜日

外来?カスミカメ幼虫(?Campyloneura virgula)

ネジキの葉に、初めて見るきれいなカメムシ幼虫がいました。カスミカメ類のようですが成虫の姿が想像できません。とりあえずカスミカメ・幼虫で検索してみると、フッカーSさんの「東京23区内の虫」で同種らしい画像が見つかりました。そこでは成虫も掲載されていて、海外からの移入種と推測されています。その言葉通り Campyloneura virgula で検索すると海外サイトで多数の画像が出てきました。ここではフッカーSさんに倣って疑問符付きで種名を出しておきます。体長は約2.2mmです。





(2021.05.14・舞子墓園)

2021年5月24日月曜日

ニッケイトガリキジラミ1齢幼虫

ヤブニッケイの新葉に、お馴染みの虫こぶができはじめていました。

ニッケイハミャクイボフシ。ニッケイトガリキジラミ Trioza vinnamomi の幼虫の寄生によって生じる虫こぶです。

1枚裏返してみると、葉脈に沿って1齢らしき小さな幼虫がたくさん陣取っています。

体長は約0.3mm。右の幼虫の周囲ではすでに葉面が陥没しはじめています。

こちらでは赤く変色しています。

まだ落ち着き場所が決まらないのかウロウロと歩き回っている奴もいます。

あちらこちらに卵の抜け殻も残っていました。

(2021.05.14・舞子墓園)

2021年5月23日日曜日

ミニ水槽のボルボックス(Volvox sp.)

何度も出しているボルボックスですが、今回は顕微鏡は使わず、奥行き3mmほどの実に水槽に入れたものを水平方向から、ベローズとマクロレンズで撮影しました。照明も違うので、同じような拡大率でもプレパラートに封入して顕微鏡で撮ったものとはかなり違った感じに写っています。


(2021.05.11・明石公園 桜堀にて採集)

2021年5月22日土曜日

Trichromothrips elegans(アザミウマ科/深度合成)

 今年もこの綺麗なアザミウマ Trichromothrips elegans Masumoto & Okajima が大量に発生していました。アオキに寄生するということで、写真の個体もアオキで採集したのですが、他の様々な樹種でも多数の個体が見つかり、それほど移動能力があるとも思えないのでちょっと不思議な気がします。このアザミウマは以前のブログで種名を教えてくださった時鳥庵 庵主さんが皇居吹上御苑の生物調査の際に発見された種で、その経緯は「皇居 吹上御苑の生き物」(世界文化社)に紹介されています。またそのブログ「時鳥庵晴耕雨読」には美しいプレパラート標本の画像が掲載されています。







(2021.05.15・明石公園にて採集)

2021年5月21日金曜日

ミドリムシの一種 Euglena mutabilis

 この細長いミドリムシは Euglena mutabilis という種だと思います。池で採集したサンプルを実体顕微鏡で眺めていると、シャーレの底でのたくっているのが沢山見つかりました。動きは緩慢で、水中に浮かび上がって泳ぐということもしないようです。鞭毛はあるのか無いのか、注意して見ていましたが確認できませんでした。








動画です。


(2021.05.07・明石公園 藤見池にて採集)

2021年5月20日木曜日

ツツジトゲムネサルゾウムシ

 モチツチジの花で久しぶりにツツジトゲムネサルゾウムシ Mecysmoderes fulvus を見かけました。口吻で花弁に穴を開けているのですが、かなり臆病な虫でアップで撮ろうと植物に手を触れると逃げ回ってなかなか自然な姿を撮ることができません。それにしても、ベタベタの粘液に捕まって沢山の虫が命を落としているモチツツジの上を、この小さなゾウムシが自由に歩け回れるのは全く不思議です。







(2021.05.14・舞子墓園)

2021年5月19日水曜日

アオコに付着したツリガネムシ

いつもの池で採集したサンプルに大量のアオコ(ミクロキスティス Microcystis sp.)が含まれていました。シャーレの中で浮遊しているアオコを実体顕微鏡で眺めると、ほとんどの群体にいくつものツリガネムシが付着しています。よくミジンコやワムシにくっついている柄の短いタイプではなく、螺旋状に収縮する長い柄を持っていて、多分ボルチセラ Vorticella の一種でしょう。見たところ水草や藻類に付着しているツリガネムシと違いがないようですが、もしかしたらアオコに便乗するのに特化した種なのかも知れません。






分裂中のツリガネムシもいました。

ミクロキスティスは細胞内にガス胞を持っているそうですが、この写真ではよく分かりません。

(2021.05.07・明石公園 剛の池にて採集)