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2023年12月12日火曜日

カタツムリの交尾(ハリママイマイ)

 前回の記事と同じ日の朝、前夜の雨で濡れたモチノキの根方でカタツムリのペアが交尾していました。

兵庫県特産のハリママイマイだと思います。2匹の間をつないでいる白いものが生殖器でしょう。カタツムリは雌雄同体で、交尾の際には双方がお互いにオス生殖器を相手に伸ばして受精させるそうです。つまり交尾の際には2本の生殖器でつながるはずですが、ここでは1本しか見えません。

反対側に回ってみました。左の個体から生殖器が伸びていますが、右の個体からは出ていないようです。

再び1枚目と同じ位置関係で。

もう一度反対側から。生殖器が片方しか見えないのは、すでに交尾が終盤に近付いて片方の個体が引っ込めてしまったのか、または変則的な交尾だったのかも知れません。30分ばかり眺めている間、ほとんど動きがありませんでした。


いったんその場を離れ、約20分後に戻ってくると、ちょうど交尾が終わったところでした。

(2023.12.06・明石公園)

2023年9月13日水曜日

イタチムシの一種(Polymerurus ?nodicaudus)

 イタチムシの仲間(腹毛類)は池の水などを採ってきて顕微鏡で覗いていると割合普通に見つかる動物ですが、伝統的(?)にプランクトンとしては扱われていないようで、手持ちの何冊かの「プランクトン図鑑」ではほとんど取り上げられていません。唯一の例外は最近出た「プランクトンハンドブック・淡水編」で、「底生性で、意外とふつうに見られる」とあります。厳密な定義に従うと底生性ならばプランクトンではなくベントスだということになるんでしょうが、それを言えばほとんどのアメーバ類をはじめ、なじみ深い多くの生物がプランクトン図鑑から消えることになるでしょう。専門家向けのものはともかく、一般向けの「プランクトン図鑑」にはぜひこのイタチムシにもページを割いてほしいものです。
今回のイタチムシですが、たまに見かける大型の種で、ずばりイタチムシという和名の与えられた Polymerurus nodicaudus という種ではないかと思います。いつもはこちらのような小型種ばかり見ているので、こんな立派な奴に出会うとうれしくなります。



頭部(左下)に見える円いものが口です。


横向きになったところ。画面左を向いた腹側に繊毛が密生していて、この運動によって泳ぎます。腹毛類の名の由来です。

(2023.07.19・明石公園の池にて採集)


2023年8月25日金曜日

ウチワミミズ属の一種?(?Dero sp.)

 池の水を底の泥や水草などと一緒に掬うとよく入ってくる、ミズミミズ(Naididae)の一種です。普段ワムシや原生動物に気をとられてこういう巨大な奴は無視していることが多いのですが、他に面白いものも見つからないので拾い上げて撮影してみました。後端部に手のひらのような鰓突起があるのでウチワミミズ属(Dero)ではないかと思っていますが、よく似たスエヒロミミズ属(Aulophorus)というのもあるそうなのでそっちの方かも知れません。

これはカバーガラスの下に厚さ0.7mmほどのスペーサーを挟んで閉じ込めたもの。空間に少し余裕があるので跳ね回るように激しく運動します。2Xの対物レンズですが、体長が15mmほどもあるのでこんなふうに円くなった瞬間を捉えないと画面に収まりません。

動画です。


次は別個体。

今度はスペーサーを0.3mm厚のものに替えて動きを抑えています。

頭部です。


後端部の鰓突起。

後端から1/3くらいのところまでの体節から長い毛が生えています。


動画をもう1本。


(2023.08.08・明石公園の池で採集)


2023年7月18日火曜日

コウガイビルの一種

 朽木の上をすべるように移動するコウガイビル。扇形に広がった頭部をわずかに浮かせて、木の表面にはほとんど触れることなくその凹凸に応じて自在に形を変えながら進んでいきます。何か非常に高感度のセンサーを備えているかのような滑らかで正確な動きは見ていて飽きません。不思議な生き物です。






(2023.06.24・明石公園)

2022年6月27日月曜日

カタツムリの子どもたち

 モチノキの幹に、小さなカタツムリがたくさんくっついていました。

足元から目の高さくらいまで、幹のぐるりにざっと数十匹。


大きさはどれもほぼ同じで殻の直径が3mm足らずで、種類は分かりませんが孵化して間もない幼貝でしょう。3日ほど前にたっぷり降ったせいでまだかなり湿気が残っていたので、土の中で生まれた後一斉に幹を上ってきたのではないかと思います。


顔を見たいと思って、いくつか取って落ち葉の上に載せてみました。

水分が必要なのだと気がついて、今度は湿った落ち葉に載せてやると間もなく頭を出して歩きはじめました。


背負った殻に比べて目玉や「角」が大きいので、ちょっと可愛いですね。

(2022.06.17・明石公園)

2021年4月9日金曜日

クロスジコウガイビル?

コケの間を見え隠れしながら這っていた、長さ3センチばかりの小さなコウガイビルです。背中を1本の黒い線が走っているので、クロスジコウガイビルという種なのかも知れません。







(2021.04.08・学が丘北公園)


2019年10月7日月曜日

ヒメミミズとソコミジンコの一種

湿った落ち葉の間にいた、この長い虫はヒメミミズ科の一種だと思います。

長さは2~3mm、太さは0.15~0.2mmくらい。そのヒメミミズに混じって、はるかに小さな奴が身をくねらせていました。画面右の光っているものがそれです。

体長は0.3mmくらいで、ヒメミミズの子どもかと思いましたが、写真をよく見ると節足動物のようです。

これは別個体ですが、一対の長い尾毛が見えます。ここでようやく、ソコミジンコの仲間(Harpacticoida)らしいことに気付きました。ケンミジンコなどと同じカイアシ類ですが、この仲間には湿った土壌や落ち葉の間に生息する種がいるそうです。

ヒメミミズにくっついているものが多いのは偶然でしょうか。

よく探すと他にも沢山いました。

ピンボケですが、脚が見えています。
海水や淡水中のカイアシ類はお馴染みですが、こんな場所でお目にかかるとは予想していませんでした。しかし野外で撮影するには小さ過ぎ、いつもの虫撮りカメラではごく大雑把な外見しか捉えられません。本当は持ち帰って顕微鏡で撮影すればよかったのですが、それは次の機会に持ち越しということにしておきます。

(2019.9.20・学が丘北公園)

2019年9月28日土曜日

コシタカシタラガイ

*2020.11.28・追記とタイトル修正* 
種名には自信がありませんでしたが、コシタカシタラでOK、とのコメントをいただきましたのでタイトルから疑問符を外しました。この貝には類似種はないので間違えることはないとのことです。

湿った落ち葉を捲ってダニを追いかけている時に見つけた微小なカタツムリです。
殻径は約0.9mm、殻高も同じくらいで、以前同じタイトルで掲載したものに比べると半分くらいの大きさで巻き数も少ないのですが、殻の形や表面の彫刻はよく似ていて、同種の幼貝ではないかと思います。図鑑やネットで探した限りではベッコウマイマイ科のコシタカシタラガイ Sitalina circumcincta によく一致するようですが、参照できる情報が少なく、判断がつきかねています。この日、ほぼ同じ大きさの個体を数匹見つけました。



上の2枚と下の3枚は別個体です。




(2019.09.12・学が丘北公園)

2019年9月20日金曜日

オカチョウジガイ幼貝

*2020.11.28・追記とタイトル変更*
当初「オカチョウジガイ科?の幼貝」としていましたが、オカチョウジガイで良いと思う、とのコメントをいただきましたので、タイトルを変更しました。

落ち葉めくりで出てきた小さなカタツムリで、以前出したものと同種と思われますが殻高が約3.6mmと1mmほど大きく、形もより細長です。多分成長段階の違う幼貝で、オカチョウジガイ科(オカクチキレガイ科)Subulinidae の一種だと思います。






(2019.09.03・明石公園)