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2025年9月25日木曜日

寄生されたモンクロギンシャチホコの幼虫

 頭上のサクラの葉で見つけたモンクロギンシャチホコ Wilemanus bidentatus の若齢幼虫です。近づいて見ると、可哀そうなことにたくさんの寄生者にとりつかれていました。おそらく先日の記事と同じ、ヒメコバチ科の Euplectrus 属だと思います。


モンクロギンシャチホコ幼虫は体長約13mmです。生きていますが、ほとんど動きません。




寄生者は、この丸まった状態で0.7mmくらいの長さです。これらの幼虫は成長すると、やがてこちらのように、吸いつくされた寄主の亡骸の下に潜り込んで粗い繭を紡ぎ、蛹化するものと思われます。

同じ日別の木で見かけた、終齢と思われる幼虫。体長約35mmです。ここまでくれば 、無事に蛹化できるでしょうか。

(2025.09.15・明石公園)

2025年9月18日木曜日

シベリアカタアリとカイガラムシの一種

 クズの葉の裏にアリが集まっていたのでルーペで確認すると、この場所に多いシベリアカタアリ Dolichoderus sibiricus で、1匹のカイガラムシの周りに群がっているのでした。カイガラムシの方は形を見るとカタカイガラムシ科ではないかと思いますが、確かではありません。見ていると時々カイガラムシのお尻から甘露の球が現れて、近くにいたアリがそれをすかさず吸い取ります。その瞬間を撮りたくてしばらく粘ってみたのですが、何度もチャンスがあったもののどうしてもタイミングが合わず、あきらめて次の虫を探しに行きました。





(2025.09.05・明石公園)



2025年9月14日日曜日

クヌギハマルタマフシに産卵するカタビロコバチ科の一種

 先日ナガコバチが産卵していた、そのすぐ近くのアベマキの葉のクヌギハマルタマフシに、今度はカタビロコバチ科 Eurytomidae の一種が来ていました。腹部の大部分が黄色い種で、他の特徴も併せて以前のブログに出したもの(こちら)によく似ています。体長もほぼ同じ(今回のものは約2mm)で、同種の可能性が高いと思います。ゴールの周囲を回りながら試すように何度か産卵管を突き刺してはすぐに抜くということを繰り返していましたが、やがて同じ場所に刺したまま動かなくなり、産卵が始まったようでした。








(2025.09.02・明石公園)

2025年9月10日水曜日

アミメアリとアオオビハエトリ

 アカメガシワの花外蜜腺に来たアミメアリを、アオオビハエトリが狙っていました。脚(第一歩脚)を高々と挙げ、周囲を往ったり来たりしながら何度も獲物に迫るのですが、毎回ギリギリのところでサッと退却します。その間アリは呑気に蜜を舐めていて気付いた様子もありませんが、クモの方ははじめから腰が引けているというか、アリのわずかな動きにもびくびくしている様子です。専門の捕食者でもアリを相手にするのは危険が伴うのでしょう。
見ている分には面白かったのですが、なにぶん動きが早くて撮った写真はほとんどピンボケでした。視力と反射神経に問題があるようです。





(2025.08.19・明石公園)


2025年9月8日月曜日

クヌギハマルタマフシに産卵するナガコバチ科の一種(?Eupelmus sp.)

 クヌギハマルタマフシはクヌギハマルタマバチが産卵することによって出来る虫こぶですが、この公園ではアベマキの葉でよく見られます。緑の葉の上で赤い球が各支脈の上に一つづつ、等間隔で並んでいたりするとなかなか奇麗なものですが、この虫こぶにも寄生するハチがいます。以前のブログでもタマバチ(ヤドリタマバチ?)が産卵しているところを出していますが、今回の寄生バチはナガコバチ科の一種でした。体長は約3mm。過去の記事の中ではこちらによく似ていて、同じ Eupelmus 属ではないかと思います。。

最初、虫こぶにハチが乗っているのを見て思わず葉に触れると、葉面に降りて離れた場所に退却してしまいましたが、そっと手を放して見ているとやがてまた戻ってきて、虫こぶの上をしばらく歩き回った末、腹端をつけて産卵を始めました。

お尻の先に飛び出ているのは産卵管の鞘で、本体は腹部の前寄りから伸びて虫こぶに刺さっています。こうなると少しくらいの刺激では中止することはありません。




産卵を始めてから15分以上、こちらが立ち去る時もこの姿勢を続けていました。


(2025.08.28・明石公園)



2025年9月4日木曜日

寄生を受けた蛾の卵とナガコバチ科の一種

 先日、蛾の卵に産卵しているタマゴコバチを撮影したネズミモチのすぐ近くのトウネズミモチで、こんな卵を見つけました。

卵は長径約1.9mmで、先日のものと同じ大型の蛾(シモフリスズメ?)のものと思われます。内部にイモムシ型の幼虫が透けて見えますが、卵殻にはいくつか小さな穴が開いているので、これはおそらく寄生者でしょう。ただ大きさからみてタマゴコバチではなさそうです。

これとよく似た状態の卵は以前にも見たことがあります。自宅に持ち帰るとやがて幼虫は蛹になり、ナガコバチ科の一種が羽化してきました(こちらの記事)。この寄生者もおそらくそれに近い種と思われます。

同じ日の帰りに様子を見に行くと、卵の周りをナガコバチが1匹歩き回っていました。動き回るのでうまく撮れませんでしたが、10年前の記事のものとよく似ています。すでに寄生された卵に用はないように思いますが、そのことを確認していたのかも知れません。

(2025.08.28・明石公園)

2025年8月29日金曜日

蛾の卵に産卵するタマゴコバチ科の一種

ネズミモチの葉の上にきれいな緑色の卵が乗っていました。虫の卵と見れば寄生バチが来ていないか探してみるのが習慣になっているので、今回もルーペを近づけてみると、いました。小さな黄色いハチが卵の周囲を歩き回っています。
卵は高さが1.5mm、長径2mmくらいの楕円体です。この場所ではシモフリスズメの幼虫を何度か見ているので、大きさを見ても同種の可能性が高いでしょう。ハチは体長約0.6mm、タマゴコバチ科(タマゴヤドリコバチ科) Trichogrammatidae で間違いないと思います。ネット上ではよく似たハチの画像がキイロタマゴバチ Trichogramma dendrolimi として多く見られますが、なにぶん微小な種なので生態写真での同定は無理でしょう。
ハチはときどき立ち止まっては腹端を卵につけるという動作をくりかえしながら歩き回っていましたが、やがて葉面に近い場所に目標を定めたようで、産卵を始めました。
タマゴコバチ類の産卵行動を見るのは初めてですが、寄主の卵から羽化して出てくる場面は何度か見たことがあります(こちらこちら)。





ここでようやく腰を落ち着けて産卵を始めました。

卵に刺さった産卵管が見えます。



20分ほど産卵管を刺したままの姿勢を保っていましたが、

もう少し大きく撮ろうとレンズを交換している間に産卵管を収めてしまいました。

同じハチの仲間とはいえオオスズメバチの触角のひと節に納まるくらいの大きさですが、それでもちゃんとハチとしてのすべての構造を備えているのが驚きです。

(2025.08.19・明石公園)


2025年8月19日火曜日

ヒメコバチの一種(?)に外部寄生された蛾の幼虫

 アベマキの葉裏にいた蛾の幼虫ですが、寄生バチのものと思われる幼虫に寄生されていました。外部寄生なので、この公園でもよく見つかるヒメコバチ科のEuplectrus 属かも知れません。蛾の幼虫は体長約6.4mmで、動きは鈍いですがまだ生きていました。




(2025.07.23・明石公園)

2025年8月6日水曜日

シリアゲコバチの産卵+♂

 シリアゲコバチ Leucospis japonica の産卵風景です。まずまず上手く撮れたと思って写真を編集したのですが、気がつくと去年一昨年も同じものを掲載していました。場所も去年と同じアラカシの幹の枯死した面なのですが、お気に入りの虫、お気に入りの場面なので今年も出しておきます。
このハチの産卵時の動作は何度見ても不思議ですが、4枚目から7枚目で、鞘から離れた産卵管がまず体内に引き込まれ、ぱっくり割れた腹節の間から節間膜を道連れに(破れないかと心配になるほど)弧状に大きく張り出している様子が見てとれます。いかにも無理な態勢ですが、このハチは寄主に達するのに必要な産卵管の長さに対して腹部や脚が短すぎるのでしょう。そのため長い腹部や脚を持った(こちらのような)ヒメバチ類などのように単に背伸びをして腹部を持ち上げただけでは目指す場所に先端をあてがうには足りず、それを補うためにこのような特殊な構造と動作を採る方向に進化してきたのだと思います。










最後はおまけ。近くをうろついていた♂です。羽化してくる♀を待ち受けている様子ですが、産卵中の♀には全く関心が無さそうでした。

(2025.07.19・明石公園)