昨日の記事の、Megarhyssa sp.の♂たちが集まっているのを見た日から4日後、♂の数も減って静かになったエノキの伐採木で、同種の♀が産卵管を突き立てていました。まだ伐採される前に産卵されたヒラアシキバチの幼虫を探しているのでしょう。既存の虫孔も利用しているようですが、5cmほどもある長い産卵管が根元まで材に挿入されていくのは何度見ても驚きです。来年(1年1世代として)この♀の子孫が生まれてくるまで、伐採木がこの状態で置かれていればいいのですが。またそれより前に、今年もヒラアシキバチが羽化してくるのかも気になります。
2025年6月20日金曜日
2025年6月19日木曜日
♀を待ち受けるオナガバチ(Megarhyssa sp.)の♂たち
一昨年の夏にヒラアシキバチの産卵、そして昨年にはそれに寄生すると思われる2種のオナガバチ(大型の未記載種 Megarhyssa sp.とオオホシオナガバチ M. praecellens)の産卵が見られたたエノキの枯れ木は、その後伐採されてしまいました。しかし切り分けられた幹はそのまま元の場所に置かれていたので、数週間前からMegarhyssa sp.の♂がちらほらと姿を見せはじめ、やがて♀が産卵しているのも確認できました。
そしてこの日の朝様子を見に行くと、その伐採木の一か所に数匹の♂が集まっていました。
2025年6月11日水曜日
トビコバチ科の一種
イタドリの葉裏で見つけたトビコバチ科の一種です。以前のココログも含めてこの科のハチはずいぶん掲載していますが、これは多分初見だと思います。例によって属の見当もつきません。小楯板が青く光ってなかなか奇麗ですが、残念なことに前胸背板が凹んでいます。羽化の際に事故にでも会ったんでしょうか。翅端まで約1.6mmです。
2025年5月29日木曜日
シモツケマルハバチの幼虫
ハチに詳しいFさんから、ハバチの幼虫がいろいろ出てきてるよ、と何箇所かポイントを教えていただきました。これはそのうちの一つ、シモツケマルハバチ Apareophora japonica の幼虫です。名前通りシモツケの葉についていました。透明感のある緑色の体で、背中には真っ白の小さな粒々を並べたきれいなイモムシです。白い粒はワックスの塊のように見えますが、拡大して見るとその中から短い棘が突き出しています。この時は葉を食べていたようですが、咲いている時期には花も盛んに食べるそうで、同じことならその時の方が写真映えしたかも知れません。この日撮影したものはどれも体長17mm前後で、ほぼ終齢のようです。
2025年5月21日水曜日
イタドリの花外蜜腺とオオズアリ
イタドリの茎の、葉柄の付け根のすぐ下のあたりにアリがしきりに口をつけているのでルーペで覗くと、こんな場所に花外蜜腺があるようです。お恥ずかしいことに、イタドリの茎に花外蜜腺があることは初めて知りました。アリは、アカメガシワの花外蜜腺にもよく来ているオオズアリ Pheidole nodus のワーカーです。周囲を見ると、あちこちの蜜腺に1匹づつ来ていました。滑らかな卵型の頭部と長い脚を持った美しいアリですが、何匹もいた個体はどれもいつも見ているものよりだいぶ体色が薄く、内臓や気管が透けて見えます。気になるので念のため図鑑やネット情報を改めて調べてみましたが、別種という可能性はなさそうです。
2025年5月16日金曜日
クノギハバチ幼虫と寄生バチ幼虫(ツブヒメバチ亜科?)
アベマキの幹や枝にクヌギハバチの幼虫が集まっているのを見てから約1週間後、再び様子を見に行くと、大量にいた幼虫はすべて姿を消していました。おそらく蛹化のために地面に降りて、落ち葉の間か地中に潜ってしまったのでしょう。一方、まだアベマキの葉に残っている幼虫も少数いましたが、よく見るとほとんど(あるいは全部?)が寄生者の幼虫に取りつかれていました。一見正常に見えた丸まった幼虫もその腹部に体長1mm強くらいの寄生幼虫をつけていて(写真1~4枚目)、また既に萎びかけて葉からだらりとぶら下がった幼虫には3mmを超える寄生幼虫が何匹もついています(5~6枚目)。完全に吸い尽くされた寄主の亡骸だけ残っているのもありましたが、寄生幼虫は蛹化のために離れていったのでしょう。寄生された幼虫が幹や枝では全く見られなかったのは、葉から移動するより前の段階で寄生を受けて動きを止められたせいだと思います。
この寄生者について調べてみたのですが、残念ながらよく分かりません。外部寄生ということから最初 Euplectrus (ヒメコバチ科)を思い浮かべたのですが、そちらの寄主は鱗翅目ですし、またコバチ類の幼虫にしては大きすぎます。やはりコマユバチ科が本命かと思って調べてみると、ハバチ類に寄生する種は多くないようです。ハバチヤドリコマユバチ亜科という仲間も存在しますが、こちらを見ると(全てかどうか不明ですが)“ハバチの幼虫の内部寄生性飼い殺し型単寄生蜂”ということなので該当しません。他の亜科の中にも候補があるのかもしれませんが調べがつかないので次のヒメバチ科に行くと、「寄生バチと狩りバチの不思議な世界」(一色出版)という本に亜科の系統関係と寄主、寄生方法に関するリストがあって、その中でハバチ類に外部寄生するものはハバチヒメバチ亜科とツブヒメバチ亜科の二つです。さらに同じ記事の中で、“ハバチヒメバチの1齢幼虫は卵のなかで、寄主が繭を作るのを待ち、寄主が前蛹になった後で卵から顔を出して食べ始める”とあるのでこれも当てはまりません。残ったのはツブヒメバチ亜科 Adelognathinae で、これはハバチ類幼虫に寄生する外部捕食寄生者であることは間違いないようですが、それ以上の説明を見つけることはできませんでした。他にも可能性はあるのかも知れませんが、とりあえずこれを有力候補としておきます。
2025年5月6日火曜日
アベマキ幹に集まるクヌギハバチの幼虫たち
何気なく眺めていたアベマキの幹で、ハバチの幼虫が丸まっているのに目がとまりました。ひょっとして蛹化の準備だろうかと思いながら周りを見ると、幹や太い枝で多数の同じ幼虫がくっついていて、どれも同じように丸くなったまま動きません。このアベマキの木では毎年のようにこのハバチ幼虫が葉についているのを見ていましたが、こんなふうに多数が幹や枝に集まっているのを見たのはこれが初めてです。おそらく毎年同じ光景が繰り返されていたのに気づかなかっただけでしょう。
この幼虫については何年も前に一度調べてみたものの正体が分からず、そのまま放置していたのですが、今回もう一度ネット情報を探してみました。アベマキにつくのだからクヌギにもつくだろうと、試しに“クヌギハバチ”で検索するとこちらのリストにその和名が見つかり、さらにその学名 Apethymus kunugi Togashi, 2005 で再検索するとこちらの論文が出てきました。その中で本種についての解説や載せられている幼虫の写真を見るとどうやら当たりのようです。生活史の説明には宿主として新たにコナラが記録され、他のコナラ属の種もこのハバチの宿主となる可能性がある、とされているので、アベマキもその一つになるのでしょう。また飼育下では成熟幼虫は土中に潜ったということなので、アベマキの幹に集まっていた幼虫もやがて幹から下りてきて土中で蛹化するのだろうと思います。成虫は秋に羽化してくるそうなので、気を付けていれば見られるかと期待しています。
2025年4月30日水曜日
クヌギトゲマダラアブラムシとツヤコバチの一種
コナラのひこばえの、まだ柔らかい新葉を裏返してみると、白いアブラムシがたくさんついていました。他の葉を探すと黄色い有翅成虫も見つかり、背面に並んだ突起などの特徴から、クヌギトゲマダラアブラムシ Tuberculatus capitatus のようです。しばらく撮影していると、幼虫の周りを小さな黄色いハチが歩き回っているのに気がつきました。ツヤコバチの一種で、アブラムシに寄生する仲間でしょう。しきりに産卵の機会を狙っているように見えましたが、カメラで追い回したせいか産卵には至らず、やがて見失ってしまいました。アブラムシに寄生する黄色いツヤコバチは以前のブログでも2度出しています。こちらとこちらですが、前者によく似ているようで、あるいは同種かも知れません。