2022年1月31日月曜日

クロモンキスイ

 アキニレの樹皮下から出てきた体長約2mmの小甲虫。キスイムシ科のクロモンキスイ Cryptophagus decoratus だと思います。




(2022.01.25・明石公園)

2022年1月30日日曜日

ケヤキ樹皮下の黄色いハダニ

 冬場にケヤキの樹皮下でよく見かけるハダニです。同種と思われるものがフッカーSさんの東京23区の虫2に掲載されていて、トウヨウハダニ属(アケハダニ属、Eotetranychus)の一種ではないかとされています。体長は0.30~0.33mmくらいです。







(2022.01.25・明石公園)

2022年1月29日土曜日

イクビホソアトキリゴミムシ

 これはイクビホソアトキリゴミムシ Dromius quadricollis だと思います。ムクノキの樹皮下にいました。保育社の甲虫図鑑で挙げられている、前頭複眼近くの縦じわ、前胸背板の上反部、その側縁中央部と後角近くの剛毛、第3間室翅端の孔点などが写真からも確認できます。樹上性のゴミムシのようです。





前胸背板側縁中央部と後角近くの剛毛が見えます。兵庫県のアトキリゴミムシ類 (2)(「きべりはむし」36)によればこの特徴は同属のキタホソアトキリゴミムシとフトヒゲホソアトキリゴミムシにも見られるということですが、県内では両種とも比較的稀だそうです。

(2022.01.22・明石公園)

2022年1月28日金曜日

アラカシで出産するイスノフシアブラムシ

 アラカシのひこばえで、しばらく見かけなかったイスノスシアブラムシ Nipponaphis distyliicola のコロニーを見つけました。

しかしよく見ると、多くの無翅成虫は死んだり寄生バチの脱出口が開いていたり、また脱落した後も多く元気そうな個体は多くありません。

それでも探すと出産中のものがいました。真冬に出産とは意外な気がしますが、以前には12月末3月初めにも見ているので珍しいことではないようです。



小さな体には不釣り合いに太くて長い口吻が見えます。お尻の先の白い塊は卵殻の名残でしょう。

2枚目から30分ほどかかって無事着地しました。
イスノフシアブラムシは春に有翅虫が現れてイスノキに移住しますが、それとは別に一部の系統は周年アラカシで繁殖を続けるそうです。春にアラカシで見た幼虫たちはこちら、また有翅虫と思われるものはこちらに出しています。

(2022.01.22・明石公園)

2022年1月27日木曜日

フロントニアの収縮胞と放射状水管

何度も登場しているフロントニア(Frontonia,クチサケミズケムシ)の一種です。

自分の体長ほどもあるミカヅキモを二つも飲み込んでいます。赤くて丸いのはナベカムリの仲間でしょうか。

背側には一つの収縮胞 contractile vacuole とその周囲に伸びる放射状水管 radial canal が見えます。教科書に載っているゾウリムシの図で二つのヒマワリの花のように描かれているのと同じものですが、フロントニアでは一つだけです。

放射状水管はゾウリムシの図では花芯を取り巻く花弁のように見える部分ですが、フロントニアでは細長くタコの脚のように細長くのたくって伸びています。

収縮胞は閉じるときにいくつかに分裂するように見えます。

放射状水管を含む収縮胞系は細胞内から余分な水を回収して排出し、細胞内の浸透圧を調整する機能を担っているそうです。しかしそんなことを知らなくても、見ていてとても面白い構造であることには間違いありません。

これは腹側で、裂け目のような細胞口が見えます。

動画も撮りましたが、さかんに動きまわるので残念ながら収縮胞や水管の消長はよく分かりません。代わりに、飲み込んだミカヅキモを排出するところが見られます。


(2022.01.13・明石公園 桜堀にて採集)

2022年1月26日水曜日

オナガグモ ♀ 褐色型

 久しぶりに見たオナガグモ Ariamnes cylindrogaster。以前のブログには何度か登場しましたが、“2”では初めてです。

緑色のもいますが、これは褐色型です。モチノキの葉の裏にぶら下がっていました。体長約17mm、伸ばした脚の先まで約27mmです。

よく見ないと顔がどこにあるのか分かりません。

葉を揺らして刺激するとクモの形になりました。触肢が小さいので♀ですね。緑色型の♂はこちらに出しています。クモを専門に捕食するクモとして知られていますが、食事の場面はまだ見たことがありません。

(2022.01.22・明石公園)

2022年1月25日火曜日

ミドリワムシ属の一種(Ascomorpha sp.)

 以前のブログに同じタイトルで出したものと同種かも知れません。足や趾がなく、体内の大きな部分が不透明で、全体の形を把握しづらいワムシという印象があります。「日本淡水動物プランクトン検索図説」によれば、ミドリワムシ属 Ascomorpha を含むハラアシワムシ科 Gastropodidae は「胃が大きく四方へ突き出た盲嚢を備え、体腔の空間を占める。胃全体が緑、橙黄、褐色等の色彩をもつ」とのことです。





動画です。


(2022.1.13・明石公園 桜堀にて採集)

2022年1月24日月曜日

クロバネフユシャク・シロオビフユシャク・ウスバフユシャク(改題)

 * 2022.1.29・タイトル・記事訂正 *

当初画像1・2枚目をシロオビフユシャクとしていたのですが、「明石の蛾達」のYAMKENさんから1枚目はクロバネフユシャクだろうとのご指摘をいただいたので、タイトルと記事を訂正しました。シロオビとの判別点は前翅外横線が前縁付近で曲がる角度が鈍角であること、またその部分の白色がより目立つこと、前翅前縁の線がわずかに内側に凹むこと、シロオビに比べてやや小型であること等々だそうです。

公園のトイレの外壁にとまっていたフユシャクの♂2種3種です。
♂がいるからには♀もいるはずですが、この日も一匹も見つかりませんでした。

これはシロオビフユシャク Alsophila japonensis クロバネフユシャク Alsophila foedata。前翅長約17mm。

これはシロオビフユシャク Alsophila japonensis 。やや大きく、前翅長約20mmです。

こちらはウスバフユシャク Inurois fletcheri。前翅長約17mmです。

(2022.01.22・明石公園)

2022年1月23日日曜日

クロスジホソサジヨコバイ ♀♂(深度合成)

強い北風で虫撮りをあきらめ、散歩がてらに行った近所の公園で採ってきたクロスジホソサジヨコバイ Sophonia orientaris です。目についたのを2匹採ってきたのがちょうど♀と♂でした。

まず産卵管を持った♀です。





次が♂。頭部に付着した汚れがどうしても取れませんでした。




こうして並べてみると、以前にフッカーSさんが確認された通り背面の色模様で雌雄を判別するのは無理なようです。また今回撮影した2匹では♂の方がかなり小型ですが、一般的な傾向ではなく個体差ではないかと思います。

(2022.01.18・垂水区松が丘公園にて採集)

2022年1月21日金曜日

Bactrothrips flectoventris(クダアザミウマ科)

 アラカシの葉裏にいたクダアザミウマ。腹部を曲げた独特の姿勢から Bactrothrips flectoventris で間違いないでしょう。この場所ではわりあいよく見る種です。


腹部の両側から角状の突起が出ているのは♂の印です。


別の、やはりアラカシの葉裏でもう一匹見つけました。これも♂です。

すぐに歩きはじめました。角状突起の無い♀はこちらに出しています。

(2022.01.15・明石公園)

2022年1月20日木曜日

ワムシの繊毛冠(ツボワムシ・コガタツボワムシ・ドロワムシ)

顕微鏡では普段横方向からばかり見ているワムシ類ですが、カバーガラスの下に充分な空間をとってやると頭を上に向け、繊毛冠 (corona)がカバーガラスに接した状態で泳ぎ始めることがあります。今回はその繊毛の動きを狙ってみました。

まず最初はツボワムシを暗視野で。多数の個体を一緒に泳がせ、カバーガラスの下面にピントを合わせて探すと、あちこちで深いところから不意に浮上してきて花のように繊毛冠を開くのが見られます。以下、静止画はすべてストロボ撮影です。

繊毛が青く見えるのは構造色でしょう。

次は微分干渉で。

同じく、ピント位置を少し奥に移動したもの。

さらに奥へ。多数の繊毛の規則正しく同期して波打つように動くので、全体が回転しているような錯覚を起こさせます。輪盤とも呼ばれる所以ですね。

これがお馴染みの姿ですね。ツボワムシ Brachionus calyciflorus だと思います。去年の夏に掲載したものと違って、被甲後部の突起(側突起、後方側刺)を持たないタイプのようです。

動画です。

冒頭が暗視野、続いて明視野、微分干渉です。

これは一緒にいたコガタツボワムシ Brachionus angularis です。

少し奥へピントを移動。右側に突き出しているのは背触手、左奥にぼやけているのは卵です。

名前通りツボワムシより小柄です。動画はこちらにあります。

最後はドロワムシ(Synchaeta)の一種。黒いのは眼点です。

やや手前にピントを移動。

もう少し。
全体像はこちらにあります。

(2022.01.13・明石公園 桜堀にて採集)