ラベル 鱗翅目 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 鱗翅目 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2025年10月6日月曜日

ヒメエグリバ

 これはヒメエグリバ Oraesia emarginata で合っていると思いますが、その名で出てくるネット上の画像には翅の色や濃淡に大きなばらつきがあってちょっと戸惑います。ただそんな画像をよく見ると、翅に何本も走る横線の位置や曲がり具合、リング状の紋などはどれもよく一致していて、確かに同じ種だと納得できました。
幼虫の食草はアオツヅラフジで、以前のブログに出しています。



(2025.09.30・明石公園)



2025年9月27日土曜日

クチバスズメの幼虫

 アラカシの葉に、大きなイモムシがぶら下がっていました。一見してスズメガ類であることは分かりますが、何スズメか見当がつきません。そこで詳しい虫仲間に写真を見てもらうと、アラカシであればクチバスズメ Marumba sperchius だろうと。その通りでした。体長は85mmほどもあって、おそらく終齢と思われます。せっかくなので各部アップで撮らせてもらいました。体表は小さな突起で覆われていますが、地肌は透明感のあるきれいな緑色で、とても滑らかそうに見えます。





気門の開口部の両側には細かな毛が密生しています。閉まっているように見えますが、葉っぱの気孔のように自由に開け閉めができるんでしょうか。

(2025.09.19・明石公園)

2025年9月25日木曜日

寄生されたモンクロギンシャチホコの幼虫

 頭上のサクラの葉で見つけたモンクロギンシャチホコ Wilemanus bidentatus の若齢幼虫です。近づいて見ると、可哀そうなことにたくさんの寄生者にとりつかれていました。おそらく先日の記事と同じ、ヒメコバチ科の Euplectrus 属だと思います。


モンクロギンシャチホコ幼虫は体長約13mmです。生きていますが、ほとんど動きません。




寄生者は、この丸まった状態で0.7mmくらいの長さです。これらの幼虫は成長すると、やがてこちらのように、吸いつくされた寄主の亡骸の下に潜り込んで粗い繭を紡ぎ、蛹化するものと思われます。

同じ日別の木で見かけた、終齢と思われる幼虫。体長約35mmです。ここまでくれば 、無事に蛹化できるでしょうか。

(2025.09.15・明石公園)

2025年9月4日木曜日

寄生を受けた蛾の卵とナガコバチ科の一種

 先日、蛾の卵に産卵しているタマゴコバチを撮影したネズミモチのすぐ近くのトウネズミモチで、こんな卵を見つけました。

卵は長径約1.9mmで、先日のものと同じ大型の蛾(シモフリスズメ?)のものと思われます。内部にイモムシ型の幼虫が透けて見えますが、卵殻にはいくつか小さな穴が開いているので、これはおそらく寄生者でしょう。ただ大きさからみてタマゴコバチではなさそうです。

これとよく似た状態の卵は以前にも見たことがあります。自宅に持ち帰るとやがて幼虫は蛹になり、ナガコバチ科の一種が羽化してきました(こちらの記事)。この寄生者もおそらくそれに近い種と思われます。

同じ日の帰りに様子を見に行くと、卵の周りをナガコバチが1匹歩き回っていました。動き回るのでうまく撮れませんでしたが、10年前の記事のものとよく似ています。すでに寄生された卵に用はないように思いますが、そのことを確認していたのかも知れません。

(2025.08.28・明石公園)

2025年9月1日月曜日

セスジスズメ

 昨日の記事のフタテンカメムシを探してススキをかき分けていた時、地上近くで休んでいるセスジスズメ Theretra oldenlandiae を見つけました。幼虫はこの公園でもときどき見かけるのですが、成虫を見るのは多分数年ぶりです。過去に見たのも多くは街中で、夜の間に灯りに惹かれて飛んできたのが帰りそびれた、といった個体でした。ブログに出すのも初めてだと思います。幼虫はこちらこちらに出しています。


見事に機能的なデザインですが、スズメガ類は昆虫の中でも特に飛翔能力に優れているそうです。体長36mm、前翅長35mmくらいです。

真横から撮ろうとしたのですが、手前の葉がレンズにかぶってしまいました。

(2025.08.24・明石公園)

2025年8月29日金曜日

蛾の卵に産卵するタマゴコバチ科の一種

ネズミモチの葉の上にきれいな緑色の卵が乗っていました。虫の卵と見れば寄生バチが来ていないか探してみるのが習慣になっているので、今回もルーペを近づけてみると、いました。小さな黄色いハチが卵の周囲を歩き回っています。
卵は高さが1.5mm、長径2mmくらいの楕円体です。この場所ではシモフリスズメの幼虫を何度か見ているので、大きさを見ても同種の可能性が高いでしょう。ハチは体長約0.6mm、タマゴコバチ科(タマゴヤドリコバチ科) Trichogrammatidae で間違いないと思います。ネット上ではよく似たハチの画像がキイロタマゴバチ Trichogramma dendrolimi として多く見られますが、なにぶん微小な種なので生態写真での同定は無理でしょう。
ハチはときどき立ち止まっては腹端を卵につけるという動作をくりかえしながら歩き回っていましたが、やがて葉面に近い場所に目標を定めたようで、産卵を始めました。
タマゴコバチ類の産卵行動を見るのは初めてですが、寄主の卵から羽化して出てくる場面は何度か見たことがあります(こちらこちら)。





ここでようやく腰を落ち着けて産卵を始めました。

卵に刺さった産卵管が見えます。



20分ほど産卵管を刺したままの姿勢を保っていましたが、

もう少し大きく撮ろうとレンズを交換している間に産卵管を収めてしまいました。

同じハチの仲間とはいえオオスズメバチの触角のひと節に納まるくらいの大きさですが、それでもちゃんとハチとしてのすべての構造を備えているのが驚きです。

(2025.08.19・明石公園)


2025年8月25日月曜日

カシコスカシバ

 歩いている足元から飛び立ったのが見慣れぬハチのようだったので、少し先の草の葉にとまったのを見に行くと、ハチではなくカシコスカシバ Synanthedon quercus でした。このあたりで見られる数少ないスカシバガ科の仲間の一つです。ずっと以前はこの公園でもアラカシの幹に産卵に来た♀をたまに見かけたものですが、もう長い間お目にかかる機会がありませんでした。またこんな風にじっとしているところを間近に見るのも初めてですが、とても美しい蛾です。


頭から尾毛の先まで約16mmです。



(2025.08.03・明石公園)

2025年8月20日水曜日

ゴマダラチョウの卵、産みたて!

 いつもの虫仲間と3人でいつもの公園を散策していると、1匹のゴマダラチョウが飛んできてすぐ目の前のエノキで産卵を始めました。動作はすばやく、咄嗟のことで産卵行動の撮影は間に合いませんでしたが、チョウが去った後、産みたての卵が一つ見つかりました。透明感のある青緑色の美しい球体で、直径約1.2mm、高さも同じくらいです。ネット上の画像を見ると複数をかためて産み付けていることが多いようですが、人間が気になって落ち着いて産卵できなかったのかも知れません。邪魔者が去るのを待っているのか、3人で卵を眺めたり撮影したりしている間も近くの木の葉の上でじっとしていました。




(2025.07.23・明石公園)


2025年8月19日火曜日

ヒメコバチの一種(?)に外部寄生された蛾の幼虫

 アベマキの葉裏にいた蛾の幼虫ですが、寄生バチのものと思われる幼虫に寄生されていました。外部寄生なので、この公園でもよく見つかるヒメコバチ科のEuplectrus 属かも知れません。蛾の幼虫は体長約6.4mmで、動きは鈍いですがまだ生きていました。




(2025.07.23・明石公園)

2025年7月15日火曜日

モグリチビガ科の一種?

 翅端まで2.6mmほどの微小な蛾です。樹液の染み出たアベマキの幹を調べている時に、ちょうど目の前に飛んできて樹皮の窪みの中にとまりました。こちらと同じモグリチビガ科(Nepticulidae)の一種ではないかと思っているのですが、確信はありません。触角の根元が広がっていて複眼が全く見えませんが、これは眼帽と呼ばれるものです。“みんなで作る日本産蛾類図鑑V2”によるとこの特徴を持っているのはモグリチビガ科の他にはヒラタモグリガ科とハモグリガ科にほぼ絞られるそうなので、他の二つの科のどちらかかも知れません。触角を拡げればばこちらのハモグリガのようにその下から複眼が現れるはずです。





(2025.07.01・明石公園)


2025年6月26日木曜日

ムナブトヒメスカシバ

 イタドリの葉の上に乗っているのを見て一瞬ドロバチかと思いましたが、よく見るとスカシバの一種でした。この仲間としては非常に小さく、見間違えたのもそのせいかも知れません。後で調べてみるとムナブトヒメスカシバ Entrichella constricta という種で、やはり国内では最小のスカシバだそうです。私にとっては初見の大変美しい蛾なので、逃げられぬよう細心の注意を払いながらそろりそろりと近づいたのですが、運よく睡眠中だったのか、最後には葉をつまんで顔のアップを撮り終えるまでじっとしていてくれました。体長は10mm足らず、前翅長は8mmくらい。腹部が太いので♀だと思います。写真では前翅に透明部分が見えませんが、ネット上の多数の画像を見比べると、♂では透明部分がはっきりしていますが♀ではほとんど見えないようです。








(2025.06.19・明石公園)