ネズミモチの花が終わった頃、開かないままで紫色や褐色に変色したの蕾をつけた枝が残っていました。その多くには中から脱出した虫の蛹殻が残されています。こういう状態になった蕾では、以前同じ季節に
コガネコバチが産卵しているのを見たことがありますが、この蛹殻はタマバエのもののようです。穴の開いていない蕾も残っているので、まだ出て来るかも知れないと思いひと枝持ち帰って様子を見ることにしました。
帰宅してネズミモチの蕾に出来るゴールについて情報を探してみると、
虫えい同好会掲示板の記事が見つかりました(
2018.06.15~17・No.3193,3194,3196,3198,3200)。それによればこのネズミモチの蕾に出来たゴールはネズミモチツボミトジフシと呼ばれるもので、イボタミタマバエ Asphondylia sphaera Monzen によって形成されるそうです。また同じネズミモチの実にゴール(
ネズミモチミミトジフシ ネズミモチミドリフシ)をつくるのも同じイボタミタマバエということです(同じく
2018.04.11~12・No.3030,3031)。
次の日、枝を入れておいたシャーレを覗いてみるとタマバエが1匹、それに小さなハチが3匹出てきていました。イボタミタマバエについては参照できるような画像が見つかりませんが、おそらくこの1匹のタマバエがそうなのだろうと思います。ハチの方はコマユバチで、翅脈からコマユバチ亜科のようです。タマバエの寄生者でしょうか。どちらもまず生きたまま撮影したいと思ったのですが、タマバエがシャーレの中を飛び回り蓋を開ける隙もなさそうなので、容器ごと冷凍庫に放り込んでしまいました。
開かずに変色したネズミモチの蕾と残されたタマバエの蛹殻。
これが1匹だけ出てきたタマバエです。絡み合った脚を拡げてみようとしたのですが、鱗片状の毛がボロボロ落ちてしまうので諦めました。
シャーレの中を暴れまわったせいか、触角が片方、途中で切れています。
最後に、原型を一番よくとどめていた蛹殻です。
長くなったのでコマユバチは次の記事で。
(2020.06.12・明石公園)