最近オークションで手に入れた顕微鏡に落射蛍光装置がついていました。
それが目当てで買ったのではなく、特に蛍光観察に興味があったわけでもないのですが、折角ついているものだから使わない手はありません。予備知識もほとんどありませんが、ネットであれこれ調べてみると蛍光試薬を使わなくても、植物細胞などの自家蛍光の観察だけでも結構楽しめそうなので、試してみることにしました。
装置にはまだ寿命のありそうな水銀ランプと大きな電源も含まれていましたが、水銀ランプは取り扱いが面倒そうです。もともと本格的な蛍光観察に挑戦するつもりもないので、さっさとLEDに交換することにしました。
2023年5月5日金曜日
はじめての蛍光撮影
2021年12月30日木曜日
MWS バルバドス産放散虫標本
以前から是非1枚我が家にも、と願っていたミクロワールドサービスさんのバルバドス産放散虫プレパラートを、先日の年末セールで初めて購入することができました。「ニセ散布スライド」というものですが、化石放散虫の骨格がびっしりと敷き詰められたとても美しい標本で、特に中低倍率の暗視野では素晴らしい眺めです。見ているだけでも楽しいものですが、ここ2、3日はMWSさんの「本日の画像」をお手本にあれこれ照明を工夫しながらせっせと撮影していました。なかなかなお手本のようにはいきませんが、普段生きた物ばかり相手にしていると時間に追われる場面が多いので、こんなふうにじっくり腰を据えて撮影出来るというのもいいものです。次に作例を何枚かお見せしますが、なにしろ封入されている数が膨大なので、楽しみは尽きません。
2021年5月7日金曜日
ストロボを使った顕微鏡撮影について(つづき)
一昨日の記事の続きです。
顕微鏡撮影にストロボを使うようになったきっかけは、20年ほど前に行きつけの中古カメラ店から引き取ってきた古いツアイスの顕微鏡でした。一面にパラフィンがこびりついてジャンク同然に見えましたが、連日格闘した結果十分使える状態になり、大量の付属品の中には本で見たことのある微分干渉装置というものが含まれていることも分かりました。使い方もよく分からないままその微分干渉装置を取り付け、それらしい像を初めて見たときは感動したものですが、これで原生動物などを撮影しようとすると光源が少々非力で(8V15W)動くものを撮影はかなり困難、そこでストロボを使う方法を考えてみることになりました。
もともと設計が理に適っていない上に今のデジタルカメラのようにその場で撮影結果を見ながら調整を加えていくということもできないので、効率が悪くて光量が十分でなかったり照明ムラが出たりと問題は色々ありましたが、とにかく動き回る動物プランクトンをスナップ風にパチパチ撮りたいという目的は一応これで達せられました。
2021年5月5日水曜日
ストロボを使った顕微鏡撮影について
いつもご覧いただいている方はお気づきかも知れませんが、このブログに掲載している顕微鏡写真の多くは光源にストロボを使っています。海外サイトで見る原生動物やワムシの写真ではストロボ使用は珍しくはないようで、最近ではそのための装置を作って販売されている方もあるようですが、日本のサイトではあまり見かけません。使用上いろいろ問題もあって定常光源にとって代われるものではありませんが、動きの速い動物プランクトンの撮影などには大変有用な面があると思うので、私が現在用いている方法をここで紹介します。
これは今使っているニコンオプチフォトにストロボ装置をセットした状態です。4年ほど前にこの顕微鏡を入手した時に作ったもので、その後多少の変更を加えています。中央の黒い箱の中に集光レンズ、コンデンサの下に見える箱の中には45°に傾けたガラス板を入れてビームスプリッターとしています。ただの透明ガラスなので主光源からの光にはほとんど影響はなく、またストロボ光は非常に強いので通常の撮影で光量が不足することはまずありません。微妙な高さ調節が必要なのでストロボは小型のラボジャッキに載せています。顕微鏡の操作には非常に邪魔になりそうな配置ですが、慣れるしかありません。また常に定常光とストロボ光がミックスされているので、ストロボ撮影の場合でもシャッタースピードが遅かったり定常光が強すぎると画像に影響してしまいます。
次はいつものMWSさんのプレパラートを対物100/1.25の油浸、旧型の(千代田?)アッベコンデンサ1.25、偏斜照明で撮影したものです。1枚目が定常光(LED)、2枚目がストロボで、色収差が強いのでグリーンチャンネルだけ取り出しています。
その他、この方法では視野絞りが使えないという問題もあります。理想的には光源にごく近い位置でストロボ光を導入するのが良いのでしょう。昭和44年発行の「顕微鏡写真」に(竹村嘉生編)各顕微鏡メーカーの装置の図が載っています。ニコンとツアイスでは主光源の位置にストロボ放電管を置き、タングステン球はその後ろに置いて集光レンズによりフィラメントの像を放電管の中心に投影するという方式、ライツではそれぞれの光源にコレクターレンズを配したものを光軸を直交させる位置に置き、反射鏡で光路を切り替える仕組みのようです。どちらもケーラー照明が可能になりますが、素人工作で実現するのは難しいかもしれません。
2021年3月7日日曜日
暗視野コンデンサのお手軽工作
今回は気分を変えて顕微鏡関連の工作を一つ。
古い顕微鏡の本によく図の出ている、パラボロイド型というのを真似た反射式の暗視野コンデンサです。もともと2Xの対物の視野をカバーできるものが欲しくて作ったものですが、一応40X、NA=0.7のレンズでも使えます。こちらやこちらの写真や動画は最初の試作品での作例ですが、今回また新たに作り直しました。よく使用される、アッベコンデンサに中心絞りを入れたものに比べると効率が悪い(つまり暗い)のが難点ですが、眼視観察や動かないものの撮影なら問題ありません。材料費はコーヒー一杯分以下、難しい工作も必要ないので顕微鏡好きの方、コロナ自粛下の暇つぶしにいかがでしょうか。
2020年4月12日日曜日
顕微鏡写真に RawTherapee のフラットフィールド機能を
これは基本的な色調やコントラスト、シャープネスなどに関して恐ろしく多機能なソフトで、実のところ未だよく理解も出来ず使ってもいない部分も多いのですが、その中にフラットフィールドという機能があります。これが顕微鏡撮影には非常に有用なのですが、せっかく無料で用意されているのにあまり知られていないようなので(新型ウィルス騒動のおかげで時間もあるので)、ここで紹介しておきたいと思います。
これは光学系や照明など被写体以外に起因して画像に現れる明るさや色のムラを取り除くために使われるもので、顕微鏡撮影の場合は照明ムラやコンデンサー・リレーレンズ、センサーのゴミなどの影響を打ち消すのに有効です。ただこの機能が使えるのはRAWファイルに限定されますが、色調やコントラストなど他の調整を施した後でも適用できます。
使い方は簡単です。まず補正したい画像を撮影した後、プレパラートを動かして何もない空白の部分を探します。と言っても完全にゴミもチリもないという状態はまず望めないので、ごく小さなものなら我慢します。そしてそのごく小さなゴミが見えなくなる程度に少しピントを外しますが、外す量が大きすぎると照度分布が変わるのでよくありません。その状態で撮影したものを補正用の画像として使用するのですが、その間コンデンサーの位置や絞り、カメラの角度など一切動かしてはいけません。露出も変わらないように、マニュアル設定の方が良いでしょう。
後は補正したい画像をRawTherapeeで開き、フラットフィールド機能を選んで、補正用の画像を適用するだけです。以下は作例です。
これが補正前の画像です。オリンパスBHCに短鏡胴のプランアクロマート40/0.65で偏斜照明、ニコンのHKW10Xにマイクロニッコール55mm F3.5をつけたD7000でのコリメート撮影です。盛大に出ている大小の影はコンデンサーやリレーレンズ、撮影レンズなどのゴミや傷によるものでしょう。被写体はMWSさんの珪藻プレパラートです。