アベマキの幹や枝にクヌギハバチの幼虫が集まっているのを見てから約1週間後、再び様子を見に行くと、大量にいた幼虫はすべて姿を消していました。おそらく蛹化のために地面に降りて、落ち葉の間か地中に潜ってしまったのでしょう。一方、まだアベマキの葉に残っている幼虫も少数いましたが、よく見るとほとんど(あるいは全部?)が寄生者の幼虫に取りつかれていました。一見正常に見えた丸まった幼虫もその腹部に体長1mm強くらいの寄生幼虫をつけていて(写真1~4枚目)、また既に萎びかけて葉からだらりとぶら下がった幼虫には3mmを超える寄生幼虫が何匹もついています(5~6枚目)。完全に吸い尽くされた寄主の亡骸だけ残っているのもありましたが、寄生幼虫は蛹化のために離れていったのでしょう。寄生された幼虫が幹や枝では全く見られなかったのは、葉から移動するより前の段階で寄生を受けて動きを止められたせいだと思います。
この寄生者について調べてみたのですが、残念ながらよく分かりません。外部寄生ということから最初 Euplectrus (ヒメコバチ科)を思い浮かべたのですが、そちらの寄主は鱗翅目ですし、またコバチ類の幼虫にしては大きすぎます。やはりコマユバチ科が本命かと思って調べてみると、ハバチ類に寄生する種は多くないようです。ハバチヤドリコマユバチ亜科という仲間も存在しますが、こちらを見ると(全てかどうか不明ですが)“ハバチの幼虫の内部寄生性飼い殺し型単寄生蜂”ということなので該当しません。他の亜科の中にも候補があるのかもしれませんが調べがつかないので次のヒメバチ科に行くと、「寄生バチと狩りバチの不思議な世界」(一色出版)という本に亜科の系統関係と寄主、寄生方法に関するリストがあって、その中でハバチ類に外部寄生するものはハバチヒメバチ亜科とツブヒメバチ亜科の二つです。さらに同じ記事の中で、“ハバチヒメバチの1齢幼虫は卵のなかで、寄主が繭を作るのを待ち、寄主が前蛹になった後で卵から顔を出して食べ始める”とあるのでこれも当てはまりません。残ったのはツブヒメバチ亜科 Adelognathinae で、これはハバチ類幼虫に寄生する外部捕食寄生者であることは間違いないようですが、それ以上の説明を見つけることはできませんでした。他にも可能性はあるのかも知れませんが、とりあえずこれを有力候補としておきます。
2025年5月16日金曜日
クノギハバチ幼虫と寄生バチ幼虫(ツブヒメバチ亜科?)
(2025.05.08・明石公園)
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