エノキの立ち枯れに、ヨコヅナサシガメの幼虫が集まっていました。昨年8月にヒラアシキバチ Tremex longicollis の産卵、この7月にはそれに寄生するオナガバチ類の産卵を見てきたのと同じ木です。今年のヒラアシキバチの産卵は時期を逃して見られませんでしたが、幹に突き刺さったままの産卵管の残骸を見ると、かなりの数が産卵に集まってきていたようです。
幹には今年のものと思われる脱出口が多数開いていてますが、中を覗き込むとかなり高い割合で脱出できずに死んだキバチの頭が見えます。穴が開いた途端、脱出する間もなくサシガメ幼虫に襲われたものでしょう。まだあちこちで口吻を差し込んでいる幼虫が見られました。
その中で、まだ穴の開いていない場所にサシガメ幼虫が集まっているのを見つけました。おそらく樹皮のすぐ下に脱出間近のキバチがいるのを嗅ぎつけてそれを待ち構えているものと思われます。以前にも同じ状況を見たことがあったので、邪魔なサシガメたちを追い払い、キバチが出てくるのを待つことにしました。
過去の経験からそれほど時間はかからないだろうと楽観していたのが結局3時間以上、懲りずに何度も集まってくるサシガメ幼虫を追い払いながら枯木の前に立ち尽くすことになりましたが、その甲斐あって出てきたのはかなり稀といわれる♂個体でした。
ヒラアシキバチは単為生殖とされていて、以前にも脱出した♀がそのまま同じ枯木で産卵するのを見たことがあります。ごくまれに出現する♂は繁殖には貢献しないだろうということですが、今回の♂も、同じ木で育った♀は既に羽化・産卵を済ませているはずなので、相手を見つけることは難しいと思われます。
(2024.08.23・明石公園)
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