2024年8月27日火曜日

ツツゾウムシのペアが沢山

 アラカシの枯れ枝で、ツツゾウムシ Carcilia strigicollis のペアを見つけました。撮影しながら周りを探すと、同じ枝にまだ何組ものペアがいて、背中の♂と交尾しながら♀が口吻で樹皮に産卵用の穴を開けていたり、♂を背負ったまま産卵中の♀もいます。この公園ではあまり見ない種ですが、集まるところには集まるもんだと感心しました。

こちらの♀は産卵中です。林の中の非常に暗い場所で、思い切ってシャッター速度を遅くしたので盛大にブレてしまいました。

こちらも産卵中ですが、♂の方が大きいペアです。

こちらでは♀がせっせと樹皮に穴を開けています。

上と同じ。

こんなペアもいました。

(2024.07.25・明石公園)

2024年8月26日月曜日

コウヤツリアブ

 これも先月撮ったものです。樹種不明の切り株の周りを2匹のコウヤツリアブ Anthrax aygulus が飛び回っていました。ときどき1匹が切り株に着地するのですが、もう1匹が近づいてくるとすぐまた飛び上がってしまい、2匹が同時にとまることがありません。縄張り争いでもしているのか、あるいは雌雄で追いかけっこでもしているんでしょうか。
カリバチやハナバチに寄生するハエで、虫孔の開いた枯木などではよく見かける種ですが、当ブログでは初登場だと思います。

上と下、別個体です。


(2024.07.20・明石公園)

2024年8月24日土曜日

産卵するヤノトラカミキリ

 一か月以上も前に撮ったものです。半分枯れたエノキの幹で、ヤノトラカミキリ Xylotrechus yanoi が産卵していました。歩き回りながらあちこちで産卵管を差し込んでいくのですが、あまり低いところまでは降りてきてくれなかったので、写真は1枚だけです。
公園内で立ち枯れになった樹木は倒れたり枝が落ちたりすると危険なので、多くはやがて伐採されることになります。エノキの枯れた幹にはいろいろな虫が集まってくるのでわれわれのような虫好きには貴重ですが、この木も来シーズンは姿を消しているかもしれません。


(2024.07.20・明石公園)


2024年8月23日金曜日

アベマキに産卵するタイワンヒラアシキバチ

 最近この公園でも目撃情報のあったタイワンヒラアシキバチ Eriotremex formosanus を、ようやく撮影することができました。南方系の種ですが、西日本から関東あたりまで記録があるそうで、ご近所の Acleris さんのところでもすでに4年も前に紹介されています。
ほぼ枯れてしまったアベマキの幹の、かなり高い場所を行ったり来たり歩き回っていたのですが、やがて地上2mちょっとのところで産卵をはじめました。カメラを持った手をいっぱいに伸ばしても届かない高さですが、ちょうど地上付近で幹が二股に分かれていて、その上に登り危なっかしく片手でカメラを持って撮影したのが1枚目の写真です。エノキの立ち枯れに来るヒラアシキバチはこの公園でも以前からよく見られますが、そっちの場合は一度産卵を始めると長時間同じ姿勢のまま動かないことが多いので、この種も同様だろうと思って見ていたらほんの数分で産卵管を抜いて再び歩きだし、やがてもっと低くて撮りやすい場所で再び産卵管を突き刺しました。それが2枚目。3枚目は産卵場所を探して歩き回っているところ、4枚目は産卵管を刺したまま死んでいた別個体です。来年あたり、その幼虫を目当てに大型の寄生バチでもやってくると楽しいのですが。





(2024.08.21・明石公園)

2024年8月21日水曜日

ヒラタグンバイウンカ

 今日はいつもの公園で内輪の“観察会”。ビーティング用の小道具を用意していた虫仲間がススキの葉を叩くとこのヒラタグンバイウンカ Ossoides lineatus が落ちてきました。ずいぶん以前にもっと標高の高い場所で撮影したことはありますが、平地の公園で見るのは初めてです。もっといるかも知れないと皆で当のススキの株をかき分けてみれば、葉裏にとまっているのが何匹も見つかりました。この公園でもよく見られるミドリグンバイウンカに似ていて、その頭部を薄く長く引き伸ばしたような格好の美しい虫です。これまでこの公園で見たことが無かったのが不思議ですが、少し離れた場所のススキでは1匹も見つかりませんでした。同じ公園の中でも発生はごく局部的なのかも知れません。

体長約8.6mmです。




(2024.08.21・明石公園)

2024年7月28日日曜日

クリイロヒゲハナノミ

 頭上に垂れ下がったコナラの枝葉の間に、なにやら甲虫らしきシルエットが見えたので手繰り寄せてみると、これまで見たことのない大型のハナノミでした。この仲間の常で頭部を胸元に埋めるような格好で枝につかまっていますが、この姿勢でも体長は15mmもあります。このあたりの平地で見かけるハナノミと言えばほとんどが体長数ミリの小型種ばかりで、滅多に見ない大型種のミツオホシハナノミでも10mmちょっとですから、この大きさには驚きました。保育社の甲虫図鑑を見ると、模様のない茶色一色でこの大きさの種はクリイロヒゲハナノミ Macrotomoxia castanea 一種で、ネット情報なども合わせるとこの種で間違いなさそうです。全く動く気配もないので安心していたら、ちょっと目を離した隙に消えていました。

尾節版が太短く、ハナノミらしくありません。



図鑑の説明にもありますが、とても大きな複眼です。


(2024.07.20・明石公園)

2024年7月26日金曜日

グンバイカスミカメ 成・幼虫

 ヒメグンバイに寄生されたアベマキの葉裏で、久しぶりにグンバイカスミカメ Stethoconus japonicus を見つけました。グンバイムシ類を専門とする捕食性のカメムシです。各種グンバイムシのコロニーの中によくいるのですが、小さい上に姿かたちが獲物によく似ていて、ルーペでも使ってじっくり探さないとなかなか目にとまりません。この日は同じ枝の数枚の葉の裏で成虫や大小の幼虫を数匹見つけましたが、残念ながら捕食の場面は見られませんでした。

成虫です。頭から翅端まで約4mm

小循板が角のように突き出しているのが特徴的です。

別の成虫の顔。

体長約1.1mmの若齢幼虫。

上と同じ。この大きさの幼虫でも、こちらのように立派に狩りをします。

これもまだ若齢ですがやや大きくなっています。

体長は1.8mmほどで、翅芽が伸び始めています。

これでおそらく終齢でしょう。

体長約2.6mm。

ところどころにヒメグンバイの遺骸が仰向けになって残されていました。グンバイカスにカメが成虫を襲う際にはこんなふうにまず獲物を裏返し、腹面から体液を吸います。

少し離れた場所で無事に暮らしているヒメグンバイ。

(2024.07.04・明石公園)